TRAVEL

2026.06.17

食べて、眠り、心をほどく。スモールラグジュアリーホテル「エッセンス 軽井沢」開業

時代とともに、さらなる進化を遂げている、軽井沢のホテル。これからオープンする未来のホテルから、別荘として所有するホテル、そして愛され続ける名宿を一挙にご紹介する。今回は、「ESSENCE KARUIZAWA(エッセンス 軽井沢)」をご紹介。【特集 偏愛リゾート軽井沢&熱海】

「エッセンス 軽井沢」のレストラン棟
三角屋根のレストラン棟。屋根の上部は開閉可能で、夏は緑、秋は黄色と、季節ごとに木々の葉が映すさまざまな色の光が入る。

段階的に心をときほぐし自然に還っていく

南軽井沢エリアの広大な森の中、三角屋根の建築が目に飛びこんでくる。屋根の上には木々がのびのびと枝を広げ、この建築もまた森の木の一部であるかのように見える。

ここは、2026年の夏に開業する「ESSENCE KARUIZAWA」。このスモールラグジュアリーを生みだし、運営するメモリードの吉田卓史社長は語る。

「この場所をホテル滞在の『エッセンス』、つまり『本質』を追求する場所にしたいのです」

特徴的な三角屋根はレストラン棟。客室を含むすべての建築を手がけたのは国内外で話題の建築を数多く生みだしてきた中村拓志氏だ。

「このスモールラグジュアリーのコンセプトは『ありのままに還る旅』です。リゾートを通して本当の自分に、そして人間と自然の関係もありのままに還っていけたらと。本質的な寛ぎはその先にあるのではないかと考えました」

人間と自然の関係をありのままに還す。そのために中村氏は、森の木々をできる限り残し、地形を変えないことに心を砕いた。

「敷地中央には小高い丘があり、カラマツの森が広がっています。全12室の客室棟と、レストラン棟がありますが、1本でも木を多く残し、丘は削らず斜面に沈むよう建てました」

レストラン棟の上部がすぼまっている三角の屋根の連なりも、伐採を最小限に抑え、周りの木が枝を広げる余地を残すためだ。

このホテルの建築にあたって、中村氏は書道や茶道など日本の伝統文化における美意識の基本理念「真・行・草」を意識した。規律正しく整った「真」、自由で自然の趣のある「草」、そしてその中間で柔軟性のある「行」の3つからなる考えだ。

「『真』から『行』『草』へと段階的に心をときほぐしながら、自然へと還っていく。その考え方を軸に、お客様が都市からやって来て、緊張をほぐし自然に還るという流れを考えました。客室はスタイリッシュな印象にすることで、『行』となる。レストラン棟は木や土を素材に、アウトドアダイニングも設けて、自然を感じる『草』となるイメージです」

その理念を踏襲したレストランでは、ミシュラン2つ星の日本料理店「傳」の長谷川在佑氏が監修する日本料理が振る舞われる。地元の素材を用いた家庭料理に期待が高まる。

食べて眠る。滞在の本質を極める

モリードの吉田卓史社長は、冒頭に語ったホテル滞在に対する想いを語る。

「滞在とは、食べて、眠り、心をほどくこと。その静かな営みに本質があります。部屋にサウナを備えていますが、ここで汗をかき身体をととのえ、テラスで緑を感じ、レストランの空間で自然に還っていく。食事が緊張を伴うものであっては、『食べる』という本質に行きつけません。だからこそ、中村さんの自然と一体になる建築と、長谷川さんの心ほどける料理が必要だったんです」

リカバリーウェアのベネクス社製オリジナルルームウェア、日本ベッド社の最上位のベッドが導入され、眠りも追求されている。館内には香りの専門家によるアロマや香が焚かれ、五感をとことんまで癒やしに導く。

「食べて眠る」、それは人間の営みの根本だ。婚礼や葬儀を執り行うメモリード社は、長年「ゆりかごから墓場まで」というさまざまな場面での儀式のお手伝いをしてきた。

「婚礼と葬儀は、人生において大事なもの。やり直しはきかないからこそ、我々は常に緊張感を持って勤めています。今日という日は生涯で二度とない。その意識とホスピタリティを持って『ESSENCE KARUIZAWA』でお過ごしいただける一日一日を、素晴らしいものにしていきたいと私たちは努める所存です」

スモールラグジュアリーを追求するESSENCEブランドを今後、各地にて提供していきたいと考えている。その旗揚げとなる地に軽井沢を選んだのにはこんな理由があった。

「春は花、夏は避暑、秋は紅葉、冬はスキーと一年中過ごせるこの地は、一年にわたり、人生の最良の一日を更新し続けてくれる場所だと思うのです」

建築家として軽井沢にこれまで建物を建ててきた中村氏も軽井沢の魅力をこう語る。

「ただ自然があるというだけではなく、『人間と自然がほどよく融合している状態』それが軽井沢だと思うのです」

滞在して、食べて眠る。プロフェッショナルによって追求されたその最上級を味わえる場所が、いよいよその姿を現す。

吉田氏と中村氏
中村拓志/Hiroshi Nakamura(左)
建築家・NAP建築設計事務所 代表。1974年東京都生まれ。隈研吾建築都市設計事務所を経て、2002年にNAP建築設計事務所を設立。代表作に「Ribbon Chapel」「狭山の森礼拝堂」「東急プラザ表参道原宿」など。

吉田卓史/Takashi Yoshida(右)
メモリードグループ 代表取締役。1971年長崎県生まれ。2014年代表取締役就任。「メモリアルをリードする」をモットーに、結婚式、葬儀、互助会事業を行うほか、ホテル、フィットネスなどの事業も行う。

2026年7月22日開業
ESSENCE KARUIZAWA/エッセンス 軽井沢
住所:長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉字広原21-44

【特集 偏愛リゾート軽井沢&熱海】

この記事はGOETHE 2026年7月号「総力特集:偏愛リゾート最前線!」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=安井桃子

PHOTOGRAPH=長尾真志

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