セレブリティがこぞって旅のコーディネイトを依頼するのが、富裕層向けコンシェルジュサービス、アルカディアの才津香果(さいつかぐみ。以下かぐみ)さん。これまで自身の旅にかけてきた自腹総額は9億円超え。非日常を求め世界を回り続ける彼女が紹介する、脳がバグる驚きの旅とは。連載第4回目は、神技光るトップバトラーを独占する、圧倒的に豪華な滞在!
王宮でいたれりつくせり。気分はロイヤルファミリー
モロッコの砂漠を、らくだに揺られながら進む。喉が渇いたところで、砂の上にテーブルがセットされ、紅茶がなみなみと注がれた――。
まるで王族にでもなったかのようなラグジュアリーな気分を味わわせてくれるのは、モロッコのラグジュアリーホテルならでは。コンシェルジュに頼めば、この砂漠でのティータイムをかなえてくれる。
さらにホテルへ戻る際は、ヘリコプターを飛ばしてもらうことだって天候によっては可能。例えばマラケシュに建つ宮殿のようなホテル「ラ・マムーニア」へ。なかでもリアドと呼ばれるアラビア風の邸宅が贅沢だ。
「一番広いリアドは700㎡の広さ! プールや庭園もついた邸宅で王族のような気分が味わえます。そして何より、世界有数のトップバトラーが24時間態勢でパーソナライズなサービスをしてくれるんですよ」
ホテル内でのあらゆる御用聞きをしてくれるのがバトラー。ティーカップの紅茶が少しでも減ろうものなら、すぐに注いでくれるという1対1のサービスを受けながら、博識なバトラーと会話を楽しんだというかぐみさん。そんな時、ふとフルーツの盛り合わせをオーダーしてみたところ、さらに驚きのサービスに気がついたという。
「オーダーしてからものの10分で物音ひとつ立てず、突然フルーツの盛り合わせが現れたんです。私が宿泊したリアドからホテルの厨房まではかなり距離がありました。短時間で持ってくるなんて不可能。聞いてみたところ、リアドの下には各エリアに通じる従業員専用の秘密の地下通路があり、そこからショートカットして来たというのです」
地下通路を通ることで、ゲストを待たせず、カートなどの物音も聞こえないようになっている。つまり、ホテルの建築そのものから、ゲストを想うホスピタリティが隠されていたのだ。
「同じマラケシュにある『ロイヤル マンスール マラケシュ』のリアドにステイした際も、バトラーさんのサービスは素晴らしかった。『朝食はお薦めのものを部屋に持ってきてください』とお願いしたら部屋の大きなテーブルにモロッコの伝統的な卵料理や名産品のオレンジを使ったフレッシュジュース、私が前日好んで食べていたスイーツなどがずらっと並んでいました」
まるで王様の食卓。ロイヤルな非日常のなか、訪れる人に寄り添う。それこそがトップバトラーの仕事なのだ。
才津香果/Kagumi Saitsu
1982年生まれ。アルカディア代表取締役。国内外の富裕層に向けた、会員制のコンシェルジュサービス会社を運営。ギフトのセレクトから、ラグジュアリーな旅の手配までオーダーメイドで富裕層の要望をかなえる。
https://arkadear.com