セレブリティがこぞって旅のコーディネイトを依頼するのが、富裕層向けコンシェルジュサービス、アルカディアの才津香果(さいつかぐみ。以下かぐみ)さん。これまで自身の旅にかけてきた自腹総額は9億円超え。非日常を求め世界を回り続ける彼女が紹介する、脳がバグる驚きの旅とは。連載第3回は、動物と間近に接することができる驚きの食体験!
動物たちとの驚きと興奮の食事体験
タイ、ラオス、ミャンマー3ヵ国の国が隣接するエリア、ゴールデントライアングル。その山岳地帯に建つタイの「フォーシーズンズ・テンテッドキャンプ・ゴールデントライアングル」では、象とともにジャングルを探検できるアクティビティがある。保護され大切に育てられた象たちは、心優しく聡明。かぐみさんとともに、ジャングルをゆっくりと歩く。
「歩き疲れたら、草原に座って象たちとランチ。彼らに手渡しで食事をあげ、私たちも一緒に食事をいただきます。ただ餌が欲しいというだけではない、彼らの目を見ていると、私たちと心を通わせてくれるような優しさを感じました」
都会では到底できない経験。食事とともに、驚きと興奮を感じられる体験を、かぐみさんは「サプライズ・ダイニング」と呼んでいる。
「ケニア、ナイロビの『ジラフマナー』というホテルでは、キリンと朝食をいただけます。動物愛護家のオーナーが絶滅危惧種であるキリンを敷地内に保護していて、このキリンたちとの朝食が大人気。予約は1年先までいっぱいのホテルです」
朝になると、大きな窓からキリンが首を覗かせ、ゲストたちに食事をおねだり。
「敷地はキリンたちが自由に過ごせるほど広大で、ホテルエリアはごく一部。彼らのタイミングでホテルに遊びに来てくれるので、触れ合うタイミングを逃したくないなら、早朝から待つことをお薦めします。間近で見ると、キリンの大きな瞳と睫毛がとても愛らしいですよ」
動物愛護を掲げるこのふたつのホテルは、食事の時間をともに過ごす、まさに「サプライズ・ダイニング」を提供する。旅において食事はどのゲストにも重要で、もっとも記憶に残りやすいからだろう。多くのホテルは一番の魅力を食事という体験に強く打ちだす。
「実は朝食が一番、そのホテルの特色が感じられると思います。例えば、オーガニックやサスティナブルがテーマのリゾートであれば、自慢としている食材はほぼ朝食に出てくる場合が多いんです。地域の名産としている食材はだいたい朝食でいただけますよ。朝食は宿泊費用にインクルードされていることが多く、たくさんのゲストに提供されるからこそ、そのホテルがもっとも力を入れていますから」
ホテルの世界観は朝食に表れる。なかでも、「サプライズ・ダイニング」はその地を楽しむ、おいしいとこ取りの体験といえるだろう。
才津香果/Kagumi Saitsu
1982年生まれ。アルカディア代表取締役。国内外の富裕層に向けた、会員制のコンシェルジュサービス会社を運営。ギフトのセレクトから、ラグジュアリーな旅の手配までオーダーメイドで富裕層の要望をかなえる。
https://arkadear.com