MAGAZINE &
SALON MEMBERMAGAZINE &
SALON MEMBER
仕事が楽しければ
人生も愉しい

TRAVEL

2024.03.13

秘境写真家が教える、死ぬまでに見たい“世界の果て”20選

世界を巡る写真家、wacameraさんが見てきた「世界の果て」を感じさせる場所、そしてそこへ至るまでの旅。【特集 エクストリーム旅】

アイスランド東部
アイスランド東部
アイスランドは夏でも曇り空が多い。家の奥はフィヨルドと呼ばれる入江。10月からは雪が降り始め、冬は一面真っ白な雪の世界となる。

短い夏を楽しむ世界最北の家

年間の多くを旅に費やし、世界中を撮影してきた写真家、wacameraさん。その旅は、旅程が過酷であるほどに喜びに溢れているという。

「上の写真は、アイスランドを夏に8日間かけてクルマで1周した際に見えた風景です。大平原の中を1日250〜500㎞を走っていると、突然1軒だけの家が現れました」

あたり一面草原と山々。人の気配がいっさいないデコボコ道を走り、「今、クルマが故障したらどうなるのだろう」と不安を感じつつこの場所を通り過ぎた。

「世界の果ての家。そういう風に感じました。アイスランドは夏でも気温は平均15度ほど。20度を超えることはほぼなく、この時、地元の方は半袖でした。年間のほとんどを雪で覆われるアイスランドですから、短い夏を楽しんでいたのでしょう」

手つかずの自然の中の幻想的な寺院

下の写真は、インドネシアのジョクジャカルタ郊外にあるボルブドゥール寺院。

ボルブドゥール寺院
ボルブドゥール寺院|インドネシア
活火山の多い地域で、寺院の奥には山々が連なる。モデルはインドネシア人の女性。朝日とは反対の方角で、モヤがぼんやり輝く。

「バンドンという街から8時間列車に揺られたどり着きました。車窓からは田園風景、子供たちが列車に向かって手を振るという場面もありました」

列車を降り、次はクルマで1時間、山に向かって走ると見えてくるのが、回廊が巡らされた30m近い高さの遺跡だ。

「ジャングルを切り開いた大自然の中の遺跡、狭い回廊を登って頂上を目指します。この写真は朝5時頃で朝モヤがかかっています」

脈々と受け継がれる人々の信仰と営み

下の写真は、ベトナムのクアン・フー・カウという線香職人の家が多い「線香村」だ。

クアン・フー・カウ
クアン・フー・カウ|ベトナム
線香の赤い部分が持ち手、白い部分にはこれから火薬をつける。線香作りの最盛期は旧正月前の12月頃。村中でこの景色が見られる。

「ハノイから地下鉄とバスを乗り継ぎ向かいました。観光地化されておらず、いくら調べても正確な場所がわからなかったため、衛星写真を拡大し、大量の赤い線香で真っ赤になった家を見つけ目的地としました。バスは悪路で揺れ、お尻が浮かび上がるほどでした」

写真は線香村のなかでも100年近くの歴史を持つ名家。竹でできた軸に赤く色をつけ、それを干していく作業だ。

「ベトナムは熱心な仏教国、寺院も多く、都心部にもここのお線香が出まわっています。家族で声を掛け合い分担作業している場面を見ました」

息を呑む山岳地帯の絶景

見たことのない景色を求める。そのなかでも感動的だったというのが、ペルーでの風景だ。

「コルカ渓谷、標高約4000mの展望台に着いた時、ペルーの古い民謡『コンドルは飛んでいく』が頭の中に流れました。渓谷の最大高低差はなんと4160m。その谷の間をコンドルが飛び、人々はアルパカを連れ歩く。地球の反対側にこんな場所があるのかと心が震えました」

「いつか」はないかもしれない。だからこそ今、旅に出る

美しい写真を撮りたい。それ以外にも旅を求める理由がwacameraさんにはある。

「いつか行こう、そう思いながらも『今は忙しい』など理由をつけ、旅に行かない時期がありました。けれどその後、私は癌を患ってしまったのです。『来ると思っていた“いつか”は来ないのかもしれない』そう強く思いました。だから治療を終えたあとは、遠くて行くのが困難な場所にこそ自分の力で行くと決め、動いているのです」

遠く、悪路の果てに広がる大自然、あるいは人の営み。世界の果てに到達するたび、人は生きる力を得ることができる。

まだまだ見たい! wacameraさんの秘境リスト16選

wacameraさんが読者にぜひ訪れてほしいと願う、また、自身が次に狙う秘境一wacameraさんが読者にぜひ訪れてほしいと願う、また、自身が次に狙う秘境一覧。これを見なければ死ねない!?

1.チンクエ・テッレ|イタリア
切り立つ岩壁沿いに5つの村があり、カラフルな色合いの家々が建ち並ぶ。1997年に世界文化遺産に認定されている。

2.ソコトラ島|イエメン
独自の生態系により、赤い樹液の「竜血樹」をはじめとする300以上の固有種が生育・生息し「インド洋のガラパゴス」と呼ばれる。

3.バオバブ街道|マダガスカル
「地球上でもっとも大きな木」といわれるバオバブの木が立ち並ぶ。周囲は小さな村で、この街道は牛車も通る村の生活道路でもある。

4.レンソイス|ブラジル
ビーチのような白砂の砂漠の中、雨季にはエメラルドグリーンの湖がいくつも姿を現し、砂漠でありながらも泳ぐこともできる。

5.エンジェルフォール|ベネズエラ
周辺の村からボートで川を渡って到着する979m、世界最大の落差を誇る滝。水は途中で霧となり消えるため滝壺はない。

6.イースター島|チリ
ご存知、モアイ像の島。900体近くのモアイ像が残存している。タヒチから約5時間のフライトで、島内には宿泊施設もある。

7.マーブル・カテドラル|チリ/アルゼンチン
パタゴニア地方ヘネラル・カレーラ湖に浮かぶ巨岩。内部が大理石のようで中の水は澄んだブルー。世界一美しい洞窟ともいわれる。

8.セノーテ|メキシコ
セノーテとは地下水の溜まった泉のこと。メキシコには多くあり、泳ぐことも可能な泉も。「セノーテ巡り」する旅人もいる。

9.グレート・ブルーホール|カリブ海
世界最大の海の穴。深くなっているため、上空から見るとそこだけ濃い青に見える。サンペドロなどから船や飛行機で見学可能。

10.ジープ島|ミクロネシア連邦
直径34m、太平洋にポツンと浮かぶ小さな島。島を管理する夫婦がいて宿泊も可能。真っ青な海をひたすら楽しむ空間。

11.カックー遺跡|ミャンマー
約2480塔の仏塔が立ち並ぶ寺院。外国人旅行者に訪問が開放されたのはわずか24年前のことで、地元パオ族のガイド同行が必須。

12.コモド島|インドネシア
白砂のビーチの火山島、手つかずの自然が残り、世界最大のトカゲ、コモドオオトカゲが生息、島のあらゆる所で見られる。

13.カオリン湖|インドネシア
スマトラ島とカリマンタン島の間、鉱山跡の白い岩の大地に真っ青な水のコントラストが美しい湖。大地は南極かと見紛うほど白い。

14.九寨溝(きゅうさいこう)|中国
原生林豊かな渓谷に100以上の湖沼が点在。透き通った水が美しいユネスコの世界自然遺産。ジャイアントパンダの生息地のひとつ。

15.桂林(けいりん)|中国
カルスト地形で、大きな岩々が林立する。湖と川に囲まれ、霧がかかれば水墨画のような美しさ。

16.ワイトモ・ケーブス|ニュージーランド
オークランドからクルマで約2時間半の場所にある洞窟。土ボタルと呼ばれる虫が暗闇の中でいっせいに光る様子を見ることができる。

wacameraさん
wacamera/ワカメラ
広告業界にて勤務したのち、2010年写真家に。旅先での写真をさまざまなメディアに発表、Instagram(@wacamera)はフォロワー12万人を超える。

【特集 エクストリーム旅】

この記事はGOETHE 2024年4月号「総力特集:エクストリーム旅」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら

TEXT=安井桃子

PHOTOGRAPH=wacamera

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2024年6月号

ボルテージが上がる! 魂のハワイ

2024年6月号表紙

最新号を見る

定期購読はこちら

MAGAZINE 最新号

2024年6月号

ボルテージが上がる! 魂のハワイ

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ6月号』が4月25日に発売となる。今回のテーマは、安息と刺激が共存するハワイ。オアフ島に加え、ハワイ島、ラナイ島と3島にわたるアイランド・ホッピングを総力特集! 知る人ぞ知る、超プライベートリゾートから、新しくオープン&リニューアルしたホテル情報、最旬グルメ、死ぬまでに一度はみたい絶景、最新ゴルフ場事情など、今知りたいハワイを完全網羅する。 表紙は、ソロアーティストとして新たな道を突き進む、三宅健と北山宏光のふたりが登場。

最新号を購入する

電子版も発売中!

定期購読はこちら

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる