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2026.02.17

どうやって選ばれる? 団体でも個人でもOK? 最新リストは?…意外と知らない「人間国宝」の豆知識

技術を極限まで高めた仕事人に与えられる最高峰の称号。大ヒット映画『国宝』でも描かれた知っていそうで実は知らない「人間国宝」とは──。【特集 日本のハイブランド】

歌舞伎
Unsplash / Art Institute of Chicago ※写真はイメージ

一、人間国宝とは何か

人間国宝の正式名称は「重要無形文化財の保持者」。大きく分けて「芸能」と「工芸技術」のジャンルから、文化財保護法に基づき、歴史的・芸術的価値があるものを「重要無形文化財」として国が指定。そのなかで高度な技を持つ個人および団体を、「重要無形文化財の保持者」と認定している。認定されると年間200万円の特別助成金が交付されるほか、保持団体が行う無形文化財の公開事業などの経費の一部に助成金が交付される。

二、どうやって選ばれるのか

「人間国宝」には助成金があるため、人数に上限がある。これまで116名までのところ2026年度から126名になる。死亡した場合は認定が解除になる。年に1回実態調査が行われ、27名の有識者からなる「専門調査会」が調査し検討。そして文部科学大臣によって認定される。国による調査によって選出されるため、自薦他薦は受けつけない。また人間国宝は「伝統を未来につなぐ」ことを期待されているため、自らも技を受け継ぎ、さらにそれを次世代につないでいくことができる人、団体に限られる。

三、団体でも個人でも「人間国宝」なのか

認定には3種類あり、①「高い技術を持つ人」を「各個認定」(例:浪曲語りなど)、②「2人以上が一体となって体現するもので、高い技術を持つ人が構成している団体の構成員」を「総合認定」(例:雅楽など)、③「工芸技術において個人的特色が薄く、技を保持する人が多数いる場合」は「保持団体認定」(例:輪島塗など)としている。

四、新ジャンル認定はあるのか

2025年に、約50年ぶりに文化財保護法の基準が見直され、芸能と工芸だけだった無形文化財の対象に、食文化を含む「生活文化の部」が追加。「保存と活用のために特別な措置が必要」とされる「登録無形文化財」に、加賀料理の「加賀料理技術保存会」が認定されたばかりだ。今後、食の分野で高い技術を持つ、例えば農家や杜氏、料理人などが人間国宝に認定される日も来るかもしれない。

豆知識9選

1.文楽の円熟期は60代

「50歳はハナタレ小僧」といわれるほどに文楽の修行期間は長く、円熟期は60代ともいわれる。人間国宝であった七代目竹本住太夫氏は89歳まで現役を務めた。

2.歌舞伎の認定は役ごと

歌舞伎は、立役(男性役)、女方(女性役)、脇役、竹本(太夫、三味線)など役柄ごとに人間国宝が認定される。

3.琉球舞踊の認定は近年

琉球舞踊の宮城幸子氏と志田フサ子氏は、2021年に琉球舞踊から初の人間国宝認定。また琉球芸能の分野で初の女性。

4.古典落語は意外と少ない

古典落語の人間国宝はこれまでで4名と少なく、最初に認定されたのも五代目柳家小さん氏の1995年と遅い。1950年から文化保護法の制定が始まり、当時は落語がまだ「伝統芸能」よりも「大衆芸能」と考えられていたためとみられる。

5.色絵磁器は若めの世代に

2014年に色絵磁器の十四代 今泉今右衛門氏が人間国宝に認定された際、51歳。陶芸での認定では最も若く、人間国宝全体でも最年少クラス。

6.無名異焼(むみょういやき)とは

陶芸の「無名異焼」とは、佐渡金銀山中より産出する酸化鉄を含む鉱物「無名異」を、高温焼成して作る器。鉄分がありお茶や飲み物の渋みをやわらげ、まろやかにする。

7.巨大蒔絵

蒔絵の室瀬和美氏の作品は、2025年に就航した豪華客船「飛鳥Ⅲ」のアトリウムに展示。高さ8.8m、横幅約3mの巨大な作品になっている。

8.名刀を伝える刀剣研磨

刀の鑑定や研磨を行う「刀剣研磨」の本阿彌光洲氏の一家は、足利尊氏の時代から刀劍奉行を務めていた。刀を研ぐということは、その分貴重な刀が削れてしまうため、古く貴重な刀は名人にしか研げない。

9.国宝を守る手漉和紙

古文書や書画、屏風など重要文化財の修復に手漉和紙は絶対的に必要なため、それを作る技術もまた重要無形文化財。国宝級の腕が形ある国宝を守っている。

人間国宝リスト|重要無形文化財指定・認定一覧

芸能

種別

雅楽

重要無形文化財の名称

保持者(芸名)

能楽

文楽

歌舞伎

組踊

音楽

舞踊

演芸

工芸技術

種別

陶芸

重要無形文化財の名称

保持者(雅号)・保持団体

染織

漆芸

金工

木竹工

手漉和紙

※令和7年2月1日の情報 文化庁『人が伝える伝統の「わざ」 重要無形文化財〜その「わざ」を保持する人々〜』より引用。現在これ以外にも新たに文部科学省に認定を答申されている人たちがいる。

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この記事はGOETHE 2026年3月号「総力特集:日本のハイブランド」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=安井桃子

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