英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第306回。

「黒い羊」ってなんだかカッコいいけど、褒められてない!?
You may be the black sheep.
日本語ペラペラのアメリカ人とオンラインで話していたら、さっきまで日本語だったのに突然英語でそう言われました。
直訳すると「あなたは黒い羊かもしれない」です。
「ダークホース」とか「黒幕」とか、黒を使ったフレーズはなんだか「すごい人」を想起させます。私もそんな、闇のパワーを感じさせる人間に、40代にしてとうとうなれたのか、そう思っていたら。
Black sheep=厄介者
という意味だったようです。そのアメリカ人に「最近仕事相手とうまくいかない」「これまで振ってもらっていた仕事が他の人に回されていた」などと愚痴っていたため「あんた、厄介者だからじゃない」と、返されたようです。「厄介者」って日本語でなんというかわからず、英語で言ってみたのだということ。
羊は大抵白いですから、群れの中に黒い羊がいたら目立ちます。周囲になじめていない、あるいはトラブルを起こす「厄介者」という意味で使われるようになったのでしょうか。黒い羊の毛は、毛糸にした際に染色もできないため「厄介」であったとも言われているようです。
ちなみにちょっと調べたら、この英語のBlack sheepからちなんで、日本語でもグループにおいて厄介な存在を「黒い羊」と表現することもあるんだそうです。周りになじめない孤独な心を歌った「黒い羊」という曲も、櫻坂46の楽曲にありました。
フリーランスとして仕事を始めた当初、私は「なんでもやります!」「先回りしてやっておきました!」というスタンスでした。しかし年齢を重ね、苦い経験も積み、やがて「金額と作業量は見合ったものか」「先回りしてやっておくのは好意からであり、当然だと思われても困る」などと思うようになりました。かつてトラブった経験から妙に人を訝しむようにもなり、その態度から和を乱す「厄介者」と思われているのかもしれません。初心を取り戻して、今一度真摯に仕事に向き合いたいと思った次第です。