英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第260回。
「死んだように眠っていた」=“dead to the world”
先週は毎日仕事が朝早くから夜遅くまで立て込みました。
そのため土曜日はぐったり疲れて、日本語を勉強中のアメリカ人女子とオンラインで会話する約束をしていたのに寝過ごしてしまいました。
「約束の時間にログインしなくてごめんなさい。死んだように眠っていました」
そう日本語でメッセージを打ちながら、「死んだように眠っていた」という強調の表現を、日本語を学習中の彼女がどう受け取るかなと思いました。意味がわからず、もしかしたら病気になったとか、そういうふうに思ってしまうかもしれません。けれど、この機会にせっかくだから新しい表現を学んでもらおうと、メッセージをそのまま送信。するとすぐにこう返事がきました。
You were dead to the world.
“dead to the world”、なんだかメタルバンドの曲名みたいです。
直訳したら「あなたは世界に向かって死んでいた」となります。
「死んだように眠っていた」を英語で言うと…
やっぱり「死んだように眠っていた」の意味がわからなかったのかな、そう思いましたが、調べてみたらこういうことでした。
be dead to the world=とても深く眠る
彼女は「あんた、むっちゃ寝ていたんだね」と言っていたようです。
これはまさに私が言っていた「死んだように眠っていた」を表現できるフレーズだということ。また周りに気づかれずに、突然スコン、と眠りに落ちてしまう時にも使われるのだそうです。飲み会でさっきまで饒舌に喋っていた人がいきなり寝ていたり、仕事中デスクに向かっていたはずなのに気がついたら船を漕いでいたりといった、いわゆる「オチていた」状態のことでしょうか。
「私が寝過ごしたことで、あなたは『死んだように眠る』という日本語表現を、私は“dead to the world”という英語を覚えることができたね」
約束の時間をぶっちぎっておきながら、そう偉そうにメッセージを送ったところ返事が来ません。約束はどんなに疲れていても守らなければと、深く反省した次第です。