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2023.07.10

「お金1.0」。投資詐欺に合わないために必要なスキルとは?――アフターコロナのお金論

投資詐欺を直感的に怪しいと気づくために必要なお金のスキルとは? お金の授業を受けてこなかった大人世代は、「お金の情報の非対称性」を利用されて、お金の知識を持つ人から、一方通行の情報で商品を買わされていることがある。連載「アフターコロナのお金論」とは……

ABCash児玉隆洋の連載「アフターコロナのお金論」

©️Joshua Mayo/Uplash

お金の情報の非対称性

日経平均株価が高値をどんどん更新し、連日前向きなニュースを目にすることも多くなりました。

世界的に著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏も日本の商社への投資を増加させることを発表するなど、日本経済に明るい兆しも見えてきています。さらに2024年には新NISAもスタートしますので、ますます若年層の投資意欲も向上していくことでしょう。

ついに貯蓄から投資へ、が日本全体で動き出すと確信しています。それ自体は素晴らしい変化ではあります。ですがそこにはいくつもの落とし穴があることを忘れはなりません。

警視庁の発表によると、コロナ前後で比較したときに20代30代を狙った投資詐欺比率は2倍にも急増しているのです。以前は投資詐欺というと、退職金をもらった人、シニアで一人暮らしの人が狙われることが主流でした。オレオレ詐欺もその一つでしょう。ですが、今は若年層にもその矛先が向いてきている現実があるのです。

すでに成人している私たちは自分で自分の身を守るしかありません。そこで重要になってくるスキルがあります。

相場力を知ろう

ではお金のトレーニング。投資詐欺に騙されないために、最初に怪しいと直感的に気づけるお金のスキルは「〇〇力」です。それはなんでしょうか?

答えは「相場力」です。投資において、例えば利回りが相場だと何%くらいなのか、100万円投資すると大体1年後にはどのくらいに増えるのが相場なのか? を知っておくことです。

私は牛丼をランチでよく食べるので牛丼で例えることが多いのですが、牛丼が2000円ですと言われたらどう思いますか? 超高級な肉を使っているのだろうか、銀座の一等地にあるお店なのだろうか、と直感的に思うはずです。

また牛丼が50円だったらどうでしょう? 賞味期限が近い肉を使っているのだろうか、そもそも何か怪しい気がする、と直感的に思えるはずです。それは牛丼においての「相場力」があるからです。

それでは投資ではどうでしょうか?

100万円投資したら、1年後に120万円になる投資がありますよ、と言われたらどう思いますか? 1年後に200万円になる投資がありますよ、と言われたらどうでしょう?

両方とも直感的に怪しい、と思えた人は投資の相場力があります。1年後に102万円~104万円になりますよ、くらいが相場だと思っておけばファースト判断は間違わないです。

お金の相場力がないということは、お金のリテラシーが足りてないということです。日本は世界的にみても金融教育が遅れている現状があり、金融リテラシーも先進国で下位ランキングに位置しています。

お金はの世界は、情報の非対称性が残ったまま

欧米だと小学校からお金の授業があるのに、日本だとほとんどお金の授業を受けることなく社会に放り出されてきました。私もそうでした。でもいよいよ2022年から高校の金融教育が必修化されて、日本もついに変わり始めています。

ただ、お金の授業を受けてこなかった我々大人世代は、「お金の情報の非対称性(取引の主体間において、持っている情報の量・質に格差があること)」を利用されて、お金の知識を持つものから、情報が一方通行で商品を買わされていることもあります。

情報が一方通行であることは、webの世界ではweb1.0と表現されます。

ただSNSで情報が民主化されて、世界はweb2.0の時代に突入しました。Twitterを使えば、アメリカ大統領の発言を世界中どこにいても誰でもリアルタイムで受け取ることができます。それが情報が民主化され、情報の非対称性がない、web2.0の世界です。

そしてwebは2.0から、web3の世界にさらに進化しようとしています。

それにも関わらず、お金は情報の非対称性が残ったまま、お金1.0の世界なのです。

先日スタートアップワールドカップという世界大会がありました。日本代表になるとシリコンバレーの世界大会に出場します。日本からは135社のスタートアップから応募があり、ABCashはそこで日本のファイナリスト12社に選出されました。残念ながら優勝は逃しましたが、ファイナリスト12社のサービスは、どれも世の中を2.0、3.0へと進化させようと挑戦しているものばかりでした。

今宇宙事業に挑戦されている堀江貴文氏もその大会に来ており、「今の時代は信用も2.0だよね」と言っていました。すべてが1.0から2.0、3.0へと進化していく。この流れは世界的であり不可逆だと思います。

それではお金のトレーニング。世界的にも日本でも話題になることの多くなったスタートアップ。日本政府は新しい資本主義のなかで、スタートアップを次の日本の成長戦略に位置付けました。スタートアップへの投資額を、5年後にこれまでの何倍にすると決定したでしょうか?

答えは10倍。現在日本のスタートアップへの年間投資額が約8,000億円ですが、これを5年間で10兆円規模にすると政府が方針決定しました。5年で10倍になることが決定している領域は、日本中みてもほとんどありません。日本は少子高齢化が進んでいますので、これからますます国力が下がることが予測されていますが、そんな日本においてもスタートアップは類をみない成長領域なのです。

お金のリテラシーとして経済ニュースも大事ですが、政府の発表も見逃してはいけません。文字が多くて読むのに一苦労しますが、それでもそこには次の上りのエスカレーターが予言されていることも少なくないのです。

■連載「アフターコロナのお金論」とは……
新型コロナウイルスにより、多くの人がお金について真剣に考えたはずだ。先行きが見えないなかで、今後どうお金と付き合い、増やしていけばいいのか。この連載では、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。

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児玉隆洋/Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。著書に『未来のお金の稼ぎ方 お金が増えれば人生は変わる』がある。

TEXT=児玉隆洋

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