お金とは何か、投資とは何かを考える。連載「アフターコロナのお金論」とは……
バブル崩壊後の高値更新した日経平均株価
日経平均株価が3万円を超え、バブル崩壊後の最高値を約1年半ぶりに更新しました。コロナショックや円安などの暗いお金のニュースの中で、日本でも景気の良いニュースも少しずつ増えてきました。
早速ですがお金のトレーニング。投資をする上で基礎的な株価指標であるこの「日経平均株価」、日本の株式市場の大きな動きを把握する際の代表的な指標ですが、何を元に算出されている指標でしょうか?
答えです。日経平均株価とは日本経済新聞社が、東京証券取引所プライムに上場する約2000銘柄のうちから市場流動性(売買の活発さ・安定度など)の高い225銘柄を選定し、その株価をもとに算出する指数となります。この日経平均株価は、東京証券取引所で株式が立会取引されている時間帯に「5秒間隔」で算出され、配信されています。また、選定される225銘柄の構成は、年に1回の定期見直しにより、入れ替えられます。そして、市場流動性の高い銘柄が採用され、低くなった銘柄が除外されているのです。
日経平均株価と近い指標が、アメリカにもあります。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が、ニューヨーク証券取引所やナスダック市場に上場している主要30銘柄を対象に算出する株価指数になります。そこにはアップルやウォルトディズニーなど、日本でもおなじみの企業によって構成されています。構成銘柄が少ないのが特徴です。構成銘柄の株価を合計し、除数で割って求めています。
それではお金のトレーニング。このアメリカの株価指標はなんと呼ばれるでしょうか?
答えは、「ニューヨーク・ダウ」です。ダウ・ジョーンズ工業株価平均、ダウ平均などのようにも呼ばれます。最大の上昇率は、1933年フランクリン・ルーズベルト大統領がラジオ演説を初めて行い世界恐慌で混乱するアメリカ国民の不安をなだめた3日後のことです。ニューディール政策が始動しはじめた直後、アメリカが世界恐慌を克服する第一歩ともなりました。
イギリスだと「FTSE100」と呼ばれる株価指標があり、ロンドン証券取引所に上場している時価総額上位100銘柄を対象に算出する株価指数です。日経平均株価やニューヨーク・ダウとは異なり、時価総額加重平均で求められます。
フランスだと「CAC40」です。ユーロネクスト・パリが、ユーロネクスト・パリ証券取引所に上場している時価総額上位40銘柄を対象に、時価総額加重平均で算出する株価指数です。フランス国外での売上高の比重が高い企業が多いことが特徴です。
ドイツだと「DAX」です。ドイツ取引所の子会社であるSTOXXが、フランクフルト証券取引所に上場している主要30銘柄を対象にして、時価総額加重平均で算出する株価指数です。ドイツは欧州を牽引する存在であるため、この指数は欧州の株価や通貨に影響を与える存在だと言われています。
「お金」が人類が発明した世界共通の道具であるように、「株式」という仕組みも世界共通です。ですので金融リテラシーを一度身につけてしまえば、給与所得という収入以外(資産所得収入)にも視野が広がるだけではなく、日本以外の海外へも視野が広がることになります。
そして投資を身銭を切って始めると、未来について真剣に予測するようになります。過去から学び、未来を予測する、そして有望だと思うところに投資をしたり、自分の身をおいたりすることもできるようになります。そのすべての起点は金融リテラシーにあると思います。
ここまでは投資家の視点でしたが、ここからが供給者(会社員など)の視点で見ていきましょう。
金融リテラシーはビジネスシーンでも重要です。この施策は世の中にとって意義があることなのか、そして売上につながるのかコストダウンになるのか。この両軸を常に考えている人はビジネスパーソンとして優秀と言えると思います。
非営利組織であるボランティア団体であれば大義のみで良いと思いますが、会社という営利組織であれば業績(売上・利益)を追求することが求められます。だからボランティア団体では給与は出ませんが、会社という組織では業績が上がるから自分たちの給与がもらえるわけです。
太古の昔であれば、マンモスを狩ることに成功した村の人々だけが肉を食べることができる、という原理原則です。そこにお金の「交換機能」が入って見えにくくなっていますが、今も昔も原理原則は変わっていません。
私は起業して間もない頃、日本で誰もが知っている大企業の社長にお会いする機会がありました。そこで「売上とはなんですか?」という質問したことがあります。返ってきた答えは「売上とはサービスの対価である」というものでした。いいサービスを1人でも多くの人に提供すればするほど、その提供したサービスの対価として顧客から代金を頂ける、その代金の合計値が売上であるというものでした。
ABCashも金融リテラシーを教えるプロ集団として、「大義と算盤」という考えを大事にしています。社会性の高いことをやろう、そしてちゃんと売上を上げてお金を稼ごう、という考えです。高校生で金融教育が始まったとはいえ、まだ日本にはお金を汚いものだと嫌悪する古きマインドが残っています。
この日本のマインドを変えることができれば、日本でも資産形成をスタートする若い人も増えて、人生に選択肢を持てるようになる。お金が原因で挑戦を諦める社会ではなくなる。お金の不安のない人生を生きるためのきっかけになれる。金融リテラシーにはそういう力があると私は信じています。金融教育が日本の国家戦略になって、本当に嬉しく思っています。
ABCashは、未経験であっても一人でも多くの未来の金融教育のプロを探しています。
■連載「アフターコロナのお金論」とは……
お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営する児玉隆洋氏が、コロナ後のお金と資産運用についてレクチャー。お金とは何か、投資とは何かを考える。
児玉隆洋/Takahiro Kodama
1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。著書に『未来のお金の稼ぎ方 お金が増えれば人生は変わる』がある。