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2023.04.10

投資で得たお金、確定申告した方が“お得”なケースとは?

知らぬ者が損をする。それが今の世の中だ。ことお金の話に至っては、これが如実に現れる。自身や家族を守り抜くためのお金の基本の“き”を、元東京国税局職員の小林義崇氏から学ぶ短期集中連載。第3回は投資で得たお金の申告について。『元東京国税局職員が教えるお金の基本』から一部抜粋してお届けする。#1 #2

元東京国税局職員が教えるお金の基本

投資でもらったお金の申告

最後に、投資に関して確定申告を行ったほうがいいケースをお伝えします。ここは、つみたてNISAを使う場合、iDeCoやDC(確定拠出年金)の場合、その他の場合の3パターンで手続きが変わります。

【つみたてNISA】
つみたてNISAを使う場合は、投資信託を売却などしても確定申告を行う必要はありません。つみたてNISAの限度額以内で投資をすれば、そこから得た利益は全額非課税なので何も手続きが必要ないのです。将来的に投資信託を解約して受け取ったお金は、すべて自由に使えます。

【iDeCo・DC】
iDeCoやDCについては、給付金の受け取り方によって手続きが変わります。一括受取の場合は退職所得として課税されるのですが、金融機関に「退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)」という書類を出せば、受取額から税額が源泉徴収されるので、確定申告は必要ありません。

退職所得申告書を出すことで、原則として退職所得控除額が差し引かれたうえで税金が計算されるので、金額によっては税額がゼロになります。なお、会社から退職金をもらうのと、iDeCoやDCの給付金を受け取るタイミングが重なると、合算したうえで退職所得控除額を差し引く形になります。

元東京国税局職員が教えるお金の基本
■POINT■
退職所得申告書を提出することで受けられる控除はかなりの額になります。例えば40年間iDeCoを利用した場合、控除額は800万円+70万円×20=2,200万円。控除を受けるためには、きちんと手続きをする必要があります。

退職所得申告書を出さずに給付金を受け取った場合、退職所得控除額が考慮されず、受取額に対して一律20.42%の所得税と復興特別所得税が源泉徴収されてしまいます。この場合、確定申告で退職所得控除額を申請して、払いすぎた税金を取り戻す必要があります。

【その他の場合】
つみたてNISA やiDeCo、DC を使わずに通常の投資で利益を得たときは、一律20.315%の税金がかかります。この場合、特定口座(源泉徴収あり)にしておけば、基本的には手続きは不要です。特定口座(源泉徴収なし)や一般口座は申告が必要になります。

ただ、株式や投資信託などを売却して損をした場合、特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告をしたほうがお得な場合があります。

まずは「複数の証券口座があり、その一部で損失が出ている」というケースです。

A証券では1年間で100万円の利益が出て、B証券の口座では1年間で10万円の損をしたとします。この場合、それぞれ特定口座(源泉徴収あり)であれば、A証券は利益100万円に対する税金が源泉徴収されますが、B証券は損失ですから税金の源泉徴収はなされません。

こうした状況で確定申告をすると、A証券の利益とB証券の損失を合算することができます。つまり、100万円−10万円=90万円の所得として税金が再計算されるため、A証券から源泉徴収されていた税額の一部が還付金として戻ってきます。

もうひとつ、確定申告をしたほうがいいケースとしては、「1年間の売買をトータルして損失が出ている場合」です。

上場株や投資信託を売却して生じた損失は、翌年以後3年間にわたって損失を繰り越すことができます。損失が出たとしても、繰り越しておけば、その後3年間に得た利益と相殺でき、その結果、利益が出た年の税金を抑えられるのです。

たとえば、2021年に上場株式を売却して30万円の損失が発生したとして、2022年には50万円の売却益を得たとすると、2022年分の所得税は、50万円-30万円=20万円を基準に算定されるということです。

もっとも、この制度は短期売買をする人にとっては良い制度ですが、長期投資をする人にはあまり使う機会はありません。

まずはつみたてNISA やiDeCo などを最大限活用して、それでも余ったお金があれば短期投資にチャレンジする。そのときに損が出たら、確定申告をすれば損を繰り越せるということを思い出してください。

小林義崇/Yoshitaka Kobayashi
1981年福岡県生まれ。2004年より東京国税局の国税専門官として、株式投資や不動産投資に関する税務調査や確定申告対応等に従事。2年連続で東京国税局長より功績者表彰を受ける。2017年フリーライターに転身。

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TEXT=小林義崇

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