世界の富裕層の間で高い注目を集めるアンティークコイン。40年にわたってコイン販売専門店を経営し、日本におけるアンティークコイン収集の第一人者である大谷雄司氏が、資産性、アート性、歴史的価値などその多様な魅力を解説する連載の第5回。
国、時代、人物……テーマで変わる集め方
紀元前から長きにわたって、世界各地で発行されてきたアンティークコイン。膨大な種類が存在するため、いざ収集を始めたいと思っても何から集めていいのか迷う人もいるだろう。大谷氏が推奨するのは発行された国や年代など、コレクションのテーマを決めて集めることだ。
「例えば、現在のチャールズ3世にいたるまでの“イギリスの歴代国王のコイン”に絞って集めてみるのはどうでしょうか。また、“ナポレオンゆかりのコイン”など人物にフォーカスを当ててコレクションするのも一興です」
人物でいうと、1839年発行のヴィクトリア女王戴冠記念金貨「ウナとライオン」などの代表作で知られる伝説的な彫刻師、ウィリアム・ワイオンが手がけた一連のコインは、コレクターたちの間でも特に人気が高いという。
権力者の肖像だけでなく、ギリシャ神話の神々や乗り物、街の景観など、アンティークコインのデザインは実に多種多様だ。
「また、硬貨といえば円形が一般的ですが、なかには四角形や八角形など変わった形のコインも存在します。そうしたものに限定して集めてみるのも、興味深いコレクション形成につながると思います」
Yuji Otani
1978年に外国貨幣の鑑定・販売を手がけるダルマを設立。自身も数千枚のコインを持つ収集家であり、著書に『あなたも虜になる アンティークコイン』(幻冬舎)等がある。