35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」第155回。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。【過去の連載記事】
浮気? 不倫? 駆け落ち?
先日日本語ペラペラのアメリカ人の方と、著名人のゴシップについて話していました。
日本では不倫がゴシップとして大きく取り立たされがちですので、それを説明する機会はこれまでも何度かあり、“cheating(浮気をする)”とかinfidelity(不倫、不正)“という単語は知っていました。日本語を交えながらも、そんな単語を使って話していると。
Do you know? She ran off with another man!
「知っている? 彼女、他の男とran offしたんだよ」
とその方が言いました。
“run off with”が何かしらの慣用句であるのは感じ取りましたが、意味がわかりません。ただ「他の男と〜した」がただならぬ感じがしたので、「へ〜! うっそー!」とか適当な相槌をうっていると、そこから「その後、消息がわからない」とか「夫の元に弁護士からの離婚の手続き書類が送られてきた」など、ずいぶん深刻な話になっていきました。
run off with someone=〜と駆け落ちする
という意味だそうです。
もともと“run off with something”で「〜を盗み去る」という意味になります。ケンブリッジの英英辞典にはこんな例文がありました。
The dog ran off with my shoe.
「犬が私の靴を持って行っちゃった」ということでしょう。微笑ましいエピソードです。
一方、with以降がsomething(もの)ではなく、someone(人)になると、「someone(人)と暮らすために内緒で一緒に逃げ去る」という意味になるのだそうです。まさに駆け落ちのことでしょう。
「へー駆け落ちって“run off with” っていうんだね〜」と感心していると
「他にもいろいろあるぞ」と、その方が次々と例文を教えてくれました。
Her husband ran off with his secretary.
(彼女の夫は自分の秘書と駆け落ちした)
He had run off with his wife’s best friend.
(彼は、奥さんの親友と駆け落ちしてしまった)
He and the next-door neighbour ran off together.
(彼と隣人は、駆け落ちした)
フレーズというよりは、「あ、そういうパターンあるんだ」と「駆け落ち」するカップルの傾向を教えられたような感じがしました。
最後の例文は、“ran off together”となっていますが、“ran off”だけだと、「突然にいなくなる」という意味にもなり、“together”がついていることで「突然一緒にいなくなる」ということになるのだそうです。
マクミランの辞書には、“run off”についての例文がこのように出ていました。
Their dad ran off when they were little.
(彼らのお父さんは、彼らが小さい時に突然いなくなった)
この場合は「駆け落ち」したかどうかはわかりませんが「蒸発した」ということになるでしょう。
Please run off together.(一緒に逃げてください)
一生に一度でいいから、イケメンにそう言われてみたいなぁと、このフレーズを教わってから日々妄想しています。
Illustration=Norio