35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、現地で恥をかいて学んだフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第61回!
英語力ゼロから英語力0.5になり、帰国!
2018年からイギリスで暮らしましたが、先日、帰国しました。努力がただただ足りず、英語力ゼロからせいぜい0.5になった程度の進歩しかありませんでした。そしてやっと得たこの0.5の英語力すらも、勉強をやめたらすぐに失ってしまうでしょう。これからは日本にいながら、日常のなかで、どんな勉強法を続けていけるか、試行錯誤しながらご紹介していきたいと思います。
Quarantine 一生忘れないであろう単語
イギリスからの帰国便。コロナの影響で、ほぼ無人の空港、ほぼ貸切の飛行機、というこれまでに見たこともない光景を目にして日本に到着しました。
PCR検査を空港で受けて、その結果を待つ間、飛沫が飛ぶのを避け、誰も私語をしませんし、これからの隔離期間のことも考えて、みなさん一様に不安な表情でした。
検査を受けてから8時間後、空港職員が「陰性である」ことを示すピンクの札を渡してくれました。
「この札が見えるようにして、空港内を歩いてください。これを持っていないと、また検疫所に戻されてしまいます」
そう言われて、水戸黄門様の印籠のようにしてピンクの札を掲げて、次のゲートまで進みました。すでに深夜を回っており、空港職員の人が次のゲートまで案内してくれました。職員さんのジャケットに書かれた“quarantine”という文字をぼーっと眺めながら、この単語は、もしかしたら一生忘れられないんじゃないかな、と思いました。
quarantine =検疫
隔離する、という意味もあるので、「自主隔離」の言葉“self quarantine”といいます。これまでイギリスのニュースではこの言葉がずっと叫ばれていましたので、いやがおうにも覚えていた単語でした。
これがイギリス生活をしめくくる最後の英単語になりました。
話題づくりにいい英語!
自主隔離期間中から、英語を使う練習もかねて、日本語を学びたい外国人とオンラインで話すアプリを使っています(とはいっても日本語上級レベルの生徒さんばかりなので、会話の6割は日本語ですが)。先日、生徒さんにこう聞かれました。
Can you tell me famous conspiracy theory in Japan?(日本で有名なconspiracy theoryを教えてくれませんか?)
“conspiracy theory”の意味がわかっている顔をしながら、すぐググりました。
conspiracy theory = 陰謀論
という意味でした。アポロ13号は実は月に行っていなかったとか、ダイアナ元皇太子妃の事故死は実は暗殺だったとか、そういう類のお話のことです。その生徒さんがなぜ、陰謀論が知りたかったのかは謎ですが、わたしも日本で有名な陰謀論がすぐに浮かんできません。苦し紛れに「“人生には3回モテ期がある”という説は、なにがしかの陰謀かもしれない」と言うと、今度はこう言い返されました。
That’s not conspiracy theory. That sounds like urban myth.(それは、陰謀論じゃないよ。urban mythに聞こえるよ)
もちろん、またググりました。
urban myths =都市神話、都市伝説
そこからは、互いの国の都市伝説紹介で盛り上がり、以降さまざまな国の人に“urban myths”を聞いてまわっています。外国の方との雑談に困ったら、「なにかおもしろい都市伝説ある?」と聞いてみるのは、互いの文化の紹介にもなって意外とアリかもしれません。
MOMOKO YASUI
編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英、’20年帰国。