仕事を続けることが一番のアンチエイジングとも言える。生涯現役を目指す3人のビジネスパーソンに活力の源とそのメンテナンス術を明かしてもらった。今回は、堀江貴文氏に話を聞いた。【特集 完全無欠の復活メソッド】

最先端医療で探求する身体の可能性
「身体は究極の資本であり、投資先である」と断言する実業家・堀江貴文さん。ロケットエンジンの開発などさまざまな事業に関わりながら、ある時は日本一過酷なアドベンチャーレースに参加し、ある時は美食を求めて世界を飛び回る。そんな誰もがうらやむパワーを支えているのが最先端医療だ。
「アンチエイジングの効果の検証は、10年単位で長い期間かかります。でもそれを待っていたら手遅れになる。だから必要と思った新しい治療法は、検証がまだ十分でなくても、理論的に納得できれば試しています」
すでに数年続けているのは、月2回、毎回15分かけて行うエクソソームの点滴だ。
「再生医療分野の幹細胞培養のプロセスで見つかったエクソソームは、幹細胞の中にあり、細胞の増殖や分化を促すメッセージ物質。さまざまな種類がある幹細胞のなかでも、脂肪幹細胞のエクソソームは老化や炎症の抑制、血管内皮の修復などの指令を出すことがわかっています」
抗老化研究を通して知ったNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)もいち早く取り入れ毎日服用する。
「老化や寿命を制御する長寿遺伝子とも呼ばれる『サーチュイン遺伝子』を活性化させると言われているのが、NMN。いろいろありますが、僕がプロデュースするNMNは高純度かつ国内生産にこだわっています」

常に最先端の医療情報を入手。あらゆる角度で身体を磨く
そして最近アンチエイジング医療で話題となり、堀江さんが試しているのがデイリータダラフィル。堀江さんもある理由で取り入れる。
「実はタダラフィルはED治療薬として知られているんですが、その効果は血管内皮を健全に保つこと。内皮が傷つけば動脈硬化につながるわけで、ED治療の処方量の1/8から1/4という少量を毎日飲み続けることで、全身の血管の機能を改善できるというわけです」
根本にある考えは、個人差があるからこそ、自分の身体を知ることが最も重要だということ。かつて、10日間のグルコースモニタリングを行った。小さなセンサーを腕に貼り、皮下に刺した細いセンサーで1日の血糖値変動を知ることができるのだが、堀江さんも初めて自分の血糖値の変化がわかったことで、食事の改善につながった。
「ご飯や麺を食べると怖いぐらいに血糖値が上がるのを知り、低糖質の食事に変えました。また何も食べずに運動した時も、血糖値が上がる体質ということもわかったので、朝運動する時は必ず何かを口にするように。逆にアルコールを飲むと下がるので、ご飯類はお酒を飲む時に食べるようにしています」
データは専用アプリでリアルタイムに確認可能。
「乱高下を繰り返す、いわゆる血糖値スパイクも血管を傷める原因。血糖値の上がり方は人によって違うので、自分の状態を知るために、皆さんにもぜひやってみてほしいですね」

進化し続ける医療業界、認知症のリスクを簡単な血液検査で知る未来も近いという。
「アルツハイマー型認知症の発症プロセスとして、最初はアミロイドベータ、次にタウという物質が脳細胞の中に徐々に蓄積していくことが知られています。その検出は、これまで麻酔が必要な骨髄穿刺でしかできなかったのですが、検査技術の発達で血液検査だけでアミロイドベータを検出することが可能に。これなら15年あるいは30年後の発症リスクを知り、予防することも夢ではないんです」
2016年に有識者と「予防医療普及協会」を設立したのも、重要なことが医師の間では知られていても、一般にはまったく知られていない気づきから。
「最新の情報を知っていれば、死なずにすむことがいっぱいある。知らずに損することが一番バカみたいな話だと思います」
堀江さんが実践する攻めのアンチエイジング。試す価値は確実にあるはずだ。

パフォーマンスを上げる! 堀江貴文のアンチエイジング3ヵ条
1.医療は常に進化。最新情報に敏感に
2.理論と必要性に納得したらすぐ試す
3.自身の身体の特徴を理解する

堀江貴文/Takafumi Horie
実業家。1972年福岡県生まれ。実業家。予防医療普及協会理事。ロケットエンジン開発など、さまざまな分野で活動。書籍『日本医療再生計画 国民医療費50兆円時代への提言22』(幻冬舎新書)が2025年9月25日発刊予定。
この記事はGOETHE 2025年10月号「総力特集:完全無欠の復活メソッド」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら