「ファイト、イッパーツ!」のあのCMに、11年ぶりに復帰したケイン・コスギ。2025年で51歳になるが、1回2〜3時間×週5回というトレーニングルーティンで、年齢を超越した筋肉質で動けるボディを維持している。そんな彼に、長年の経験を踏まえたボディメイクの秘訣を教えてもらった。【特集 魅せるカラダ2025】

トレーニング日記で頑張りを見える化
トレーニングはまさに「継続は力なり」。何歳になってもトレーニングをやめなければ、若々しいボディラインは保てる。そこで課題となるのが、鍛えるモチベーションをいかにキープし続けるか。実は、本格的にジムでのトレーニングを始めて30年以上になるケインでも、毎回小躍りしながらジムに向かっているわけではないという。
「ハードに鍛えているほど、『今日もあの大変なトレーニングをするのか。行きたくないなぁ』と感じるのは自然なこと。そこで僕が毎回書いているのが、トレーニングログ。スマホのカレンダーアプリに、その日どんなトレーニングしたかを書くんです。それで頑張りが目に見えるようになって、その努力を無駄にしないように今日もトレーニングしようと思えます」
さらに「今日は超頑張った!」と自身を褒めたい日には、ログに星印を打つ。
「仕事が重なり疲れている日など、メニューを予定通りこなすのは難しいと思える日もある。でも、身体を動かしているうちに『これでへこたれるなんて情けない。昨日の自分を超えよう!』と元気が出てきて、いつもよりハードなトレーニングがクリアできる場合もあります。そんなときに“星”をつけるんです(笑)」
週5回、月20回のジムトレのうち、“星”が付くのは毎月5個前後に留まるとか。
「鍛えている僕を、もう一人の僕がチェック役として観察している感覚で、甘くならないように辛口で採点しています。辛口だからこそ、『それでも“星”をもぎ取ってやろう!』という気持ちになり、トレーニングが続けられるんです」

1974年アメリカ・ロサンゼルス生まれ。高校卒業後に来日。ハリウッド映画に出演するなどアクション俳優として活躍。スポーツバラエティ番組で魅せる身体能力の高さも評判。
パーソナルトレーナーは20年以上のつき合い
知識も経験も豊かなベテランのトレーニーは、一人で鍛えることも可能。しかし、ケインは週5回のジムトレのうち、2回はパーソナルトレーナーとともに鍛えている。その意図は、どこにあるのか。
「幼い頃から僕が学んでいる武道には、必ずマスター(先生)がいます。同じように、トレーニングもレベルアップさせてくれるマスターが必要。それがパーソナルトレーナーです。トレーナーと一緒なら、一人だと『そこまでは無理!』と思うレベルまでどんどん追い込める。僕は負けず嫌いだから、トレーナーが『これを20回続けましょう』と声をかけてくれたら、『いやいや、最低でも25回はやってやるぞ』と余計に頑張るので、体力もボディラインもいい感じになってくるんです」
トレーナーという第三者の客観的な視点を加えることのメリットも大きい。
「20年以上の付き合いなので、僕のほんの小さな変化に僕より早く気づいてくれる。『今日は腰回りが硬そうだから、まずはそこを解してからトレーニングに入りましょう』といったアドバイスをしてくれるので、ケガの心配もなく安心してハードに攻めることができます」
好きなものを食べるのは3食中1食のみ
身体作りにはトレーニングだけではなく、食事に対する配慮も欠かせない。アメリカ生まれのアメリカ育ちだけに、ケインの好物はハンバーガーとピザ。アメリカンで高カロリーなものばかりで、ボディメイクには不向きだ。
「20代までは毎食のようにハンバーガーやピザを食べていましたが、30代になるとそんな食事では体重が落ちなくなり、食事により気を付けるようになりました」
ケインが2022年に21年ぶりに復帰し、現在も出場を続けるスポーツバラエティ番組『SASUKE』では、身軽に動ける方が断然有利。だから、本番1ヵ月前から減量を始め、体重を78kg前後から71kg前後まで一気に落とす。
「僕に必要なカロリーは1日3000kcal程度ですが、体重を落とすときはタンパク質をしっかり摂りつつ糖質を減らして1日約1300kcalまでに抑えます。朝はオートミールのみ、昼は茹でた鶏ささ身とブロッコリー、夜は牛赤身肉のグリルと葉野菜のサラダだけといった感じ。『SASUKE』の本番2日前から、糖質を多めに摂るカーボローディングに切り替えてエネルギーを蓄えます。映画の撮影で痩せなきゃいけないときも、同じやり方で減量しています」
普段の食事も、30代以降はガラリと変わった。
「ハンバーガーのような好きな物を食べるのは、3食中1食のみ。それ以外の2食はタンパク質多め、脂肪少なめで、野菜をたっぷり摂るようにしています。ポテトチップスやフライドポテトも好きだけど、30代からはあまり食べなくなった。年1〜2回、楽しみにしているスーパーボウルなどを観るときくらいにしています(笑)」
毎年9月に1週間の筋肉キャンプを実施
アスリートに厳しいトレーニングは欠かせないけれど、かといって年がら年中ハードに鍛え続けていると心身が疲弊してパンクする。そこで彼らが実践しているのが「ピリオダイゼーション(期分け)」。1年間をいくつかのピリオド(期)に分け、それぞれの狙いに応じて最適な負荷と頻度でトレーニングに励むのだ。
ケインもトレーニングにこのピリオダイゼーションを取り入れている。
「毎年10月に収録される『SASUKE』に向けてコンディションを整えるために、9月中にパーソナルトレーナーと1週間、キャンプをするんです。この間は、トレーニング以外なにもしない。毎朝6時半に起きてランニングしたら、朝食後は3時間のフィールドワーク(野外トレーニング)。ランチ後に2時間ほど昼寝をしてから、午後はジムで3時間みっちりと筋トレをします」
キャンプが開けたら、前述したように徹底した食事制限で身体を絞る。
「『SASUKE』が終わって冬になったら、食事量を増やして、重めのウェイトで筋量を増やすトレーニングに移ります。同じルーティンをずっと続けると飽きる。一年を通してメリハリをつけた方が、目的がハッキリして飽きずに続けられるんです」
※後編はこちら(7/27公開)
■Muscle Data
食事法:好物は1日1食限定。それ以外は高タンパク質・低脂質縛り。
トレーニング頻度:週5回、1回2〜3時間。その後ケアに1時間半前後費やす。
お気に入りの部位:腕
愛用マシーン:筋膜ケアができる「メディセル」を自宅にも装備。
持続の秘訣:スマホにトレーニングログをつけて“見える化”。特に頑張った日は☆をつける。
衣装協力:D-VEC〈グローブライド〉