ホエイやソイ、カゼインの種類の違いや摂取のタイミングなど、知っているようで知らないプロテインの基本中の基本の知識を、プロテインのエキスパートが徹底指南! 【特集 タンパク質】
Q1.ホエイ、カゼイン、ソイ…プロテインの種類はどう違うの?
A.ホエイは牛乳由来、カゼインは牛乳からホエイや脂肪分を除去した不溶性固形成分、ソイは大豆由来のように、原料の違いに応じて特徴が異なります。
ホエイは摂取後2〜3時間で体内に吸収され、必須アミノ酸の含有量が多く、味のバリエーションが豊富で価格がリーズナブルなのが魅力。カゼインは吸収が7〜8時間で、就寝前に摂ると筋肉をゆっくり回復させる効果もありますが、価格は高め。ソイは5〜9時間かけて吸収され、腹持ちがよく値段もホエイより手頃なものが多いです。また、動物性タンパク質が苦手な人にも向いています。
なお、欧米では、エンドウ豆由来のピープロテインがヴィーガンやベジタリアンを中心に人気が出てきていますが、価格が高めで味も独特だからか、日本ではあまり普及していません。
Q2.ホエイプロテイン、WPCとWPIはどちらがいい?
A.ホエイプロテインには、WPC=Whey Protein Concentrateと、WPI=Whey Protein Isolateという2種類の製造方法があります。両者の最大の違いは、お腹がゴロゴロする原因となる乳糖が含まれているかどうか。
WPCは価格がリーズナブルなのが魅力ですが、日本人に多いといわれている乳糖不耐性の方はお腹が緩くなりやすいです。タンパク質の含有率は約70~80%で、WPIに比べると脂質や炭水化物の量が多くてカロリーも比較的高い。
乳糖を完全に除去したWPIは、いわばこだわりのプロテイン。タンパク質の含有量は約90%、余分な脂質や炭水化物が除去されているので、カロリーも控えめです。WPCよりも製造に手間がかかっているため、価格は高い傾向にありますが、その分ボディメイクの効果は上がりやすいです。
Q3.プロテインを選ぶ際のポイントは?
A.プロテインは原料や製造方法によって特徴があるので、自分の体質や利用する目的、コストや味など、続けやすさで選ぶのがお薦め。運動直後は摂取後2~3時間で体内に吸収されるホエイプロテインでタンパク質を摂り、就寝前は吸収がゆっくりのカゼインで就寝中に栄養補給、ダイエット中で食事量を控えている時は腹持ちのいいソイプロテインなど、数種類使い分けている人も多いですね。
私は食事に合わせる時は淡白な味のもの、おやつ代わりには甘いものという風に、フレーバーの違いも楽しんでいます。最近は牧草のみを食べて育ったグラスフェッドの牛からの乳や、天然由来のステビアといった甘味料を用いるなど、原料にこだわった製品も増えていて、それを選ぶ際のポイントにしている人もいるようです。
Q4.プロテインを飲むのはトレーニングの前、後?
A.筋肉がつくられるゴールデンタイムは、運動後30~40分。長らくそれが定説とされてきたので、運動後にプロテインを飲むのを習慣にしている人も多いことでしょう。けれど、最近の研究でタンパク質の摂取は、運動前でも後でも筋肉に対する効果がそれほど変わらないことがわかってきました。もっとも、運動前に飲むと動きづらいからか、運動後にプロテインを飲む人が圧倒的に多い気がします。いずれにしても、運動とセットでプロテインを摂ることが大切。
もうひとつお薦めなのは、食事の間が3~4時間空く時のタンパク質の摂取。身体は合成と分解を繰り返しているので、空腹の時間が長いと体内の栄養素が使われてしまい、筋肉の分解が進んでしまいます。筋肉を維持するためにも、プロテインで栄養補給をしましょう。
Q5.プロテインは何で割って飲んでも大丈夫?
A.牛乳、豆乳、コーヒーなど、基本的には何で割っても問題はありません。ただ、運動後すぐに栄養補給するのが目的なら、水割り一択。身体への吸収が速いうえに、カロリーも抑えられるためです。
逆に、腹持ちをよくしたいなら、牛乳や豆乳などの活用を。私はカルシウムを補給したい時は牛乳、イソフラボンを補いたい時は豆乳などと使い分けています。ただ、牛乳はカロリーが高いのが難点。ダイエット中なら、豆乳またはアーモンドミルクやオーツミルクといった低カロリーのもので割るのがベター。
ちなみに最近の私の朝食は、プロテインを豆乳で割り、甘酒を少しプラスしたものが定番。タンパク質だけでなく糖質もほどよく摂取できます、おやつには、キャラメルフレーバーのプロテインをコーヒーで割ったものもお薦めです。
この記事はGOETHE 2025年3月号「特集:なぜ、今ビジネスリーダーにタンパク質が必要なのか。」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら