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2023.03.31

“伝説のマッスル美女” チェ・スヨンが表舞台から姿を消した理由に迫る

筋肉美をもつ女神シリーズ20人目は、チェ・スヨン。連載「マッスル美女」とは……

7年ぶりの出場で優勝した、チェ・スヨンの復活と苦悩

2022年にシンガポールで行われた『2022マッスルマニア・アジアナチュラルチャンピオンシップ』。“マッスルマニアの華”と称されるミス・ビキニ部門で1位に輝いた選手の経歴に、会場が一瞬どよめいた。

優勝者の名はチェ・スヨン。実は彼女、2013年にマイアミで行われたマッスルマニア世界大会でトップ10入りを果たした“伝説の選手”なのだ。

当時は韓国をはじめ、アジアで筋トレ・ブームが起きる前。彼女の快挙は大きく取り上げられ、フィットネス専門誌『MAXQ』でも表紙を飾ったほど。そんな彼女は2015年に突然、表舞台から姿を消した。

そして今回、“消えたレジェンド”の復活となった。

「以前のマッスル大会にはミス・ビキニ部門やスポーツモデル部門に出場する選手層は薄かったのですが、今は選手も増えて競う部門も増えてビックリ。さらに、選手の質も高くなって、プロとして活躍している選手もいます。そんなハイレベルな大会で、ふたたび優勝できて嬉しく思います」

7年ぶりに1位になった喜びをこう語ったチェ・スヨンだが、気になるのはなぜ彼女が突然、姿を消してしまったのかということだろう。

何しろ韓国では2016年頃から『マッスルマニア』出身のフィットネスモデルたちが人気を集め、今では“スポテイナー”(スポーツとエンターテイナーを合わせた造語)と呼ばれるタレント・ジャンルも生まれている。あのまま続けていればタレントとして脚光を浴びる今もあったはずだ。

「当時の私は孤独でした。大会のために3年間必死でしたし、その努力によって望む成果がでましたが、いざタイトルを手にしてみると虚無感と虚脱感が襲ってきて……。今にして思うと、一種のバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥ってしまったんですね」

ただ、それも仕方なかったという。当時は大会直前になると、筋トレと有酸素運動を合わせて一日5時間はトレーニングに費やす日々。月曜日は下半身、火曜日は体幹、水曜日は肩と背中など、曜日によって鍛える部位も異なった。

カロリーと栄養管理のために外食もせずに、常に自分で手作り。それでもどこか不安で、トレーニングはもちろん、寝食までタイマーで時間を管理して規則正しい生活にこだわった。つまり、24時間すべてを“肉体作り”に費やしていた。

「それにトレーナー業を平行しながら選手生活を続けるのは難しく、当時はスポーツモデルやフィットネス選手業だけで生計を立てるのも難しかった。だから第一線から退くことにしたんです」

こうしてトレーナー業に専念することになったというチェ・スヨン。フィットネス講師としてメディアにも登場し、後進の育成に着手。フィットネス大会の審判なども務めていたが、近年のマッスル・ブームに刺激されて一念発起。再び選手として大会を目指すようになり、シンガポールで1位に返り咲いた。

体作りは自分を追い込みすぎない!

さぞかしハードなトレーニングを積んだのだろうと思われがちだが、かつてのようにすべてを犠牲にして自分を追い込むようなことはせず、孤独感も感じなかったという。むしろ頼れるパートナーとともに二人三脚で楽しく“肉体改造”に取り組んだ。

「昨年7月にボディビルダーのパク・ヒョンソン選手と結婚したんです。彼はマッスルマニア世界大会でフィジーク(上半身の美しさを競う種目)部門1位に輝いたこともあるトレーナー。彼からトレーニングの指導はもちろん、たくさんのことを学びながら楽しく体作りができました」

そして、その過程で自分が身を置くフィットネス業界の変化も感じたという。

「最近はマンションなどの集合住宅にフィットネスセンターが常設されていることも多く、施設の設備やトレーニング機器も大きく変わりました。食事管理にしてもそう。以前は単純に鶏の胸肉を食べるだけで調整していましたが、最近はサプリや栄養補給剤など多様になり、昔では考えられないほど、食べることを楽しみながら体重管理をできるようになりました。誰もが楽しく有意義に体を鍛えられる。体を鍛えて、汗を流すことが、生活の一部になったというか、ポピュラーになったと改めて感じました」

もはや体作りというものは、すべてを犠牲にして自分を追い込み作りあげるものではない。チェ・スヨンの言葉にはそんなメッセージが込められている。気になるのは彼女の今後のことだ。フィットネス選手としてふたたび復帰した今、これからもタイトルを狙っていくのだろうか。

「全盛期ほどではないにしても、選手として少しずつ活動を増やし、これからも大会に出場していきたいと思っています。それに今年は忙しくなりそうです。実は夫と一緒にフィットネスセンターをオープンさせる予定なんですよ。これまでは別々のジムでトレーニングをしていましたが、これからは夫と一緒に後進の育成に励みながら自分たちも鍛えたい。そう思っています」

“レジェンド級のビキニ女神”が人気ボディビルダーの夫とともに運営するフィットネスセンター。想像するだけで華やかでエネルギッシュな光景が目に浮かんでくる。そこではきっと、誰もが楽しくハツラツと汗を流し、体を鍛えているに違いない。

過去連載記事

■連載「マッスル美女」とは……
健康志向が高まり、体を鍛える人が増えている昨今。お隣・韓国でも全国各地で大小さまざまなボディビル大会や"美ボディ・コンテスト"が開催されており、ここから輩出された"マッスル美女"たちが脚光を浴びている。美しくもしなやかな筋肉美をもつ女神をシリーズで紹介する。

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TEXT=新井いるる(ピッチコミュニケーションズ)

PHOTOGRAPH=MAXQ http://www.maxq.kr/

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