PGAツアーの2026年シーズンを締めくくるツアー選手権で、スコッティ・シェフラーが通算16アンダーで優勝。2024年以来となる2度目の年間王者に輝いた。2025年ほどアイアンショットで圧倒したシーズンではなかった一方、パッティングを着実に改善し、最後はプレーオフで2勝。シェフラーの2026年シーズンを振り返りながら、安定したパッティングを支えた練習法も紹介する。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。

スコッティ・シェフラーが2度目の年間王者に。最後はやっぱり強かった
PGAツアープレーオフ最終戦のツアー選手権は、スコッティ・シェフラーが通算16アンダーで優勝し、年間王者に輝いた。最終日は首位のビクトル・ホブランに3打差をつけられてのスタートだったが、序盤から着実に差を詰めて12番までに3つスコアを伸ばすと、16番でバーディを奪い、最後は4アンダーの66でホブランを3打差で振り切った。
これで2026年シーズン3勝目を挙げ、2024年以来となる2度目の年間王者に。最後の最後で、やはりシェフラーが強かったという印象を残してシーズンを締めくくった。
2026年序盤は異変? 得意のアイアンショットで苦しんだシェフラー
2026年のシェフラーはプレーオフまで1勝にとどまり、6勝を挙げた2025年のようにシーズンを通してPGAツアーを支配していたわけではない。2025年は、グリーンを狙うショットの指数であるSG:アプローチ・ザ・グリーンがツアー1位で、バーディーチャンスを量産する圧倒的なショット力が、シェフラーの強さを支えていた。
ところが2026年は、その最大の武器に明らかな変化が起きた。4月のマスターズを前にPGAツアーが掲載したデータでは、シェフラーのSG:アプローチ・ザ・グリーンは78位。前年まで3年連続でツアー1位だったカテゴリーが、シーズン序盤には80位前後まで落ちていた。
特に象徴的なのが100~125ヤードだ。マスターズ前の時点で96位まで落ちており、2025年の2位から大きく順位を下げていた。短いパー4の2打目やパー5の3打目でピンに寄せる精度の高さを武器としていたシェフラーにとって、この数字はショットの不調を象徴するものだった。
ただ、シーズンを通してショットが悪かったわけではない。SG:アプローチ・ザ・グリーンはその後に順位を上げ、シーズン終了時点では2位まで戻している。2026年序盤のシェフラーは、前年のようにショットで大きな差をつけることができず、レギュラーシーズンの優勝も開幕戦の1勝にとどまった。2025年のようにシーズンを通して勝利を積み重ねる展開にならなかった一因ともいえる。
もう一つ、2026年の特徴として挙げたいのが「初日」の出遅れだ。シーズン序盤のシェフラーは、前年までのように初日からスコアを伸ばして主導権を握るケースが少なかった。開幕戦のアメリカン・エキスプレスでは初日に63をマークして優勝したものの、その後はフェニックスオープンで73と出遅れるなど、マスターズも含めて6試合連続で70台のスコアとなり、初日に躓く大会が目立った。
この傾向は数字にも表れている。マスターズ前の時点で、シェフラーの初日のスコア平均はツアー77位。一方、2日目は7位、3日目と4日目はともに1位だった。2025年は初日から4日目まで、すべてのラウンドのスコア平均がツアー1位だっただけに、2026年は特に初日の成績が前年と大きく異なっていた。
それでも、そこからしっかりと巻き返して上位に入るのがシェフラーだ。2026年に2位に入った5試合のうち、マスターズは70、キャデラック選手権は71と初日に出遅れながら、最終的にはいずれも2位まで順位を上げている。このように、初日に出遅れた試合でも、最終的には上位まで順位を上げるケースがあった。
一方、シーズン後半になると初日から好スタートを切る大会も増えてきた。6月末のトラベラーズ選手権は64、7月末の3Mオープンは65をマークして2位に入り、序盤に見られた初日の出遅れとは傾向が変わってきた。こうした初日からの安定したスタートも、シーズン後半の復調を感じさせるものだった。
プレーオフで復調。パッティングの改善が支えた2026年シーズン
プレーオフに入ると、シェフラーはさらに復調が進んだ。初戦のフェデックス・セントジュードでは初日を68でスタートし、2日目に61をマークするなど、8打差をつけて通算17アンダーで優勝。続くBMW選手権は12位だったが、ツアー選手権では65、67、66、66と安定したスコアを並べ、通算16アンダーで優勝した。
2026年のシェフラーは、前年ほどショットのキレがなかった一方で、パッティングでは改善が見られた。SG:パッティングは2023年の162位から、2024年は77位、2025年は22位まで上昇。そして2026年は最終的に6位まで順位を上げた。かつて大きな課題だったパッティングが、ここ数年で着実に改善し、2026年はトップクラスの水準に入ったのである。
その改善には、パッティングコーチのフィル・ケニオンによる指導に加え、パターの変更やクローグリップの導入なども関係している。シェフラーはマレット型のパターに変更し、その後クローグリップも取り入れるなど、パッティングのスタイルを変えてきた。SG:パッティングは22位まで順位を上げ、2026年はそこからさらに6位まで上昇。かつての弱点だったパッティングを、武器の一つに変えている。
2025年はアイアンショットを中心としたショット力が成績を支えていたのに対し、2026年はショットの精度が落ちた時期にも上位を維持できた。その背景には、パッティングの改善も大きく影響したといえる。前年とは異なる内容ではあったが、トップ10を13回記録し、最後はプレーオフで2勝して年間3勝。2026年もシェフラーがPGAツアーを代表する存在であることを示すシーズンとなった。
フォローをスムーズに出す。シェフラーが取り組むパッティングドリル
2026年、パッティングでも安定した成績を残したシェフラーが取り組む練習の一つが、バックストロークで一度止まってから再スタートするドリルだ。パッティングコーチのフィル・ケニオンとともに、練習グリーンでこのドリルを繰り返している姿をよく見た。
練習方法は、バックストロークをして切り返すポジションで2秒ほど静止し、そこからストロークを再開する。ストロークを止めたところから再スタートさせることで、パターと体を一体化させて動かす感覚が生まれ、フォロースルーもスムーズに出しやすくなる。また、この練習によって、バックスイングからフォロースルーへの切り替えもイメージしやすくなる。
フォロースルーが出づらく、減速したインパクトになってしまう人や、切り返しが不安定な人は試してみてほしい。
動画で解説|スコッティ・シェフラーに学ぶパッティング練習法
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

