今回は、今回はアイスホッケーの動きを取り入れた練習ドリルを紹介する。

アイスホッケーとゴルフの共通点
私は北海道苫小牧市出身で、子どもの頃は公園に設けられたスケートリンクで遊びながら、自然とアイスホッケーに親しんでいた。北海道の冬は厳しく、夜に水をまけば翌朝にはスケートリンクが完成するほど寒い。そのため、冬には頻繁にスケートをする機会があり、周りにもアイスホッケーをする人が多くいたので自然と身についた。
アイスホッケーは寒冷地以外ではあまりなじみのないスポーツかもしれないが、実はアイスホッケーのシュート動作とゴルフスイングには多くの共通点がある。
アイスホッケーで用いる「スティック」と呼ばれる道具は、ゴルフクラブと似た形状をしており、柄の部分は「シャフト」、先端の曲がった部分は「ブレード」と呼ばれる。選手はシャフトを操作して、ブレードで氷上の「パック」を打つ。このパックをシュートする動作は、ゴルフスイングに共通する部分が多い。
アイスホッケーでは、右利きの人がシュートを打つ場合、左足を前に出しながらスティックを振る。
このとき、氷の上でスケート靴を履いているため、地面にしっかりと足を踏ん張って止まることができない。そのため、足の動きによってバランスを保ちながらパワーを生み出す必要がある。もちろん手や腕だけの力では強い勢いのシュートは打てない。
これはゴルフにおいても同様で、下半身を効果的に使わなければ、力強く安定したスイングをすることは難しい。
ゴルフの場合は、地面を踏みしめた状態でスイングができるため、つい上半身だけで打ってしまいがちだ。アイスホッケーのシュートをヒントに、下半身主導のスイング感覚を養うことで、効率的なスイングを身につけることができるようになるはずだ。
左足を踏み込むアイスホッケードリル
今回はアイスホッケーの動きを取り入れた練習ドリルを紹介したい。このドリルを行うことで、下半身を使ってクラブを振る感覚が体得できるため、飛距離を伸ばすことができる。加えてアイスホッケーのようにクラブを握ることで方向性も良くなるという、一石二鳥の練習法だ。
まず、普段のアドレスの位置よりも、やや右後方に両足を揃えて立つ。このとき、クラブはアイスホッケーのスティックのように、両手の間を離して握る「スプリットハンド」にする。
手打ちの人がスプリットハンドでボールを打つと、左右のどちらかの手や腕が優位に働くため、ボールが左右に散らばってしまう。スプリットハンドで練習をすることで、体と腕のシンクロが高まり、手先に頼らずに体でスイングをコントロールすることができるようになる。
次に、右足を一歩前に踏み出しながらバックスイングを行い、続けて左足を自分から見て左前方に踏み込みながらダウンスイングに移る。
左右の足を踏み込むときは、上半身やクラブよりも先に足から動き出せるように、踏み込むタイミングを早くすることを心掛けてほしい。
そして、このような踏み込み動作では、加重に意識が向きがちだが、踏み込む意識が強すぎると振り遅れのミスにつながるので、抜重するタイミングも考えながら練習に取り組むといいだろう。
この一連の動作により、足と体の動きが連動し、全身を使ったスイングが自然と身につく。はじめのうちはボールをうまく打てないかもしれないが、シャドースイングだけでも効果がある。
足を踏み込みタイミングに合わせて「1、2」と声を出しながら動きを確認したり、慣れてきたら少し距離を取って助走をつけてスイングしてみてもいいだろう。
素振りがなじんできたら、短い番手のクラブでボールを打つ練習を行ってみてほしい。 上半身だけでクラブを振ってしまう癖が抜けない人や、スイングの力強さに悩んでいる人は、ぜひ一度試してみてほしい。
飛距離も方向性もよくなるアイスホッケードリルの動画解説はコチラ
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。