GOLF

2025.03.23

AI、最新の光学強化レーダーでスイングを数値化! ジャパンゴルフフェアで見つけた最先端ゴルフギア

最新のゴルフギアがお披露目された「ジャパンゴルフフェア2025」にて、ティーチングプロ・吉田洋一郎が注目した最先端ギアを紹介する。

「Trackman iO Indoor Range」

技術革新を実感したジャパンゴルフフェア

2025年も3月7日から3日間、パシフィコ横浜で開催された国内最大級のゴルフ関連商品やサービスの展示会「ジャパンゴルフフェア2025」。国内外の220社が出展し、クラブやウェアはもちろん、トレーニング機器や弾道測定器、ゴルフ関連グッズなど、さまざまな商品が展示されていた。

例年同様、プロゴルファーのトークショーやレッスンなどのイベントが開かれたほか、アパレルブランドのアウトレットセールも開催され、会場はたくさんのゴルフラバーでにぎわっていた。

主催者によると、来場者は3日間で5万3000人を超え、約1万3000人も増えた。

私も会場に足を運んだが、会場では各ゴルフメーカーのブースはもちろん、練習器具や弾道計測器を出展しているブースにも多くの人が集まり盛り上がっていた。改めてゴルフ人気の根強さを感じたが、そのなかでも特に興味をもった製品を紹介したいと思う。

インドア練習場向けのトラックマン新製品

今回のジャパンゴルフフェアでは、多数のゴルフシュミレーターメーカーが出展していた。アメリカでは、PGAツアーのトッププレーヤーたちが、リアルとバーチャルを融合させた舞台でチーム戦を行うゴルフリーグ「TGL」が話題となっているが、日本でもインドアゴルフ市場の盛り上がりを感じた。

そのなかでも、トラックマンが2025年1月に発売した新製品「Trackman iO Indoor Range」の完成度は高かった。

トラックマンといえば、2つのレーダーと1つのカメラを使った弾道計測器「Trackman 4」が有名。多くのトッププロや、ゴルフ用品メーカーが同社の計測器を用いている。

このテクノロジーを屋外練習場に応用した「Trackman Range」、プレミアムなインドアゴルフ体験を提供するために開発された「Trackman iO」などもあり、最近はトラックマンを導入する施設や個人が増えているので、使ったことがある人もいるだろう。

Trackman iO Indoor Range」

Trackman iO Indoor Rangeはインドアゴルフ施設向けに特化した製品。日本のインドアの練習場やスクールのニーズに合わせて開発したという。

トラックマンといえば、オレンジ色の弾道計測器「Trackman 4」をイメージする人も多いと思うが、この製品は天井設置型で、インドアの限られたスペースでも複数設置が可能。

操作は打席近くに設置された機器のタッチパネルで行い、初めてでもわかりやすく使用することができた(打席に設置する操作機やタッチパネルは別売り)。

肝心のデータに関しては、レーダーと高速赤外線イメージングを組み合わせた最新の光学強化レーダー追跡(OERT)技術を使って、正確に弾道や飛距離を測定する。

弾道を測定するだけでなく、インドアでの練習や上達に役立つ4つの練習モードを搭載。インパクト直前のクラブの動きとボールの打ち出しをラインで表示する「インパクト動画」の機能が搭載されており、インパクトのクラブやボールの動きが自動的に可視化されるため、効果的なレッスンや練習が可能になる。

グリーンのレイアウトやピンポジション、距離を選択して練習ができる「パフォーマンスセンター」は、ツアープロにも人気の機能。グリーンのレイアウトやピンポジション、距離を選択し、よりコースに近い練習を行うことができる。各ショットのデータをスコア化し、男女ツアー選手の平均値と比較する機能もあるので、上達の度合いを数値で把握できる。

なかでも人気を集めそうな機能が、国内外の有名30コースを再現した「バーチャルコース」だ。

国内では、川奈ホテル富士コースや太平洋クラブ御殿場コース、海外ではセントアンドリュースリンクス、PGAウエストスタジアムなどを詳細に再現したコースがモニターに映しだされ、シミュレーションゴルフを楽しみながら練習ができる。

また、ニアピンゲームやファンタジーゲームなど、あらゆるレベルのプレーヤーが楽しめる3つのゲームや、世界中の選手と競うことができる数々のバーチャルトーナメントが備わっているなどエンターテインメント性も備えているので、飽きずに練習することができる。

2025年1月から日本限定で販売されているので、近くの練習場で見かけたときはゲーム感覚で試してみてはどうだろうか。

AIカメラと体圧分布センサーがスイングを解析

インドアゴルフシュミレーターとともに出展が目立っていたのが、AIを使ったスイング分析システムだ。

国内外のAIを使用したスイング分析システムが展示されていたが、そのなかでも初出展の住友理工が開発した「ゴルフスイング可視化システム:INGRAVITY」は興味深かった。

住友理工の本業は化学製品の開発、製造で、ホースやゴム製品が主力だ。建物に使われる制震ダンパーや、自動車や新幹線などの揺れを抑える防振ゴムなどの高度で専門的な製品のほかに、圧力を感知してセンサーの役目をする体圧分布センサーも開発し、医療や介護の分野で使われている。

この体圧分布センサーとAIカメラを組み合わせたのが、今回ジャパンゴルフフェアに出展されていた「ゴルフスイング可視化システム:INGRAVITY」だ。

体圧分布センサーがスイング時の重心の位置や重心移動を計測し、AIカメラが体の動きを記録することで、スイング中の動きをリアルタイムで可視化する。

これまで、スイング中の体の動きをとらえるには、モーションキャプチャーのセンサーを体中に取り付けなければならなかったが、このシステムならゴム製のセンサーの上でスイングするだけで科学的な分析が可能になる。

「ゴルフスイング可視化システム:INGRAVITY」

AIカメラによるスイング動作分析システムは多数あるが、本製品はセンサーマットによって地面からのスイングデータ計測を同時に行うことができるため、より精度の高いスイング分析を行うことができる。

必要なのはAIカメラとセンサーマット、アプリケーションだけなので、小さな練習場でもスペースを気にせずに導入できそうだ。

今回はデモ展示ということだったので、モーションキャプチャーと比べてどの程度の精度なのかは今後の検証が必要かもしれない。

また、可視化されたデータを読み取り、指導につなげる知識やスキルも必要になるので、使用する側の知識レベルも要求されることになるだろう。

すでに、AIがスイングを詳細にわたって分析したり、効果的な練習方法を提案してくれたりするシステムはあるが、今後はさらに高度になっていくと思われる。指導者のレッスンスキルとAIによる精密なデータ分析が融合すれば、ゴルファーへの指導環境が大きく変わっていくことだろう。

2025年のゴルフフェアは、ゴルフ業界の今後の流れを感じることができる貴重な機会だった。

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

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