2024年日本ツアーで通算6勝を挙げ、賞金ランキング2位となった平田憲聖に学ぶ、コンパクトトップでショットを安定させるコツとは。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。

厳しくなった下部ツアーからPGAツアーへの昇格
PGAツアーで戦うことを目指す選手たちには、さまざまなルートが用意されている。なかでも米下部ツアーのコーンフェリーツアーから昇格するルートは、最も昇格人数が多いため王道のルートといえるだろう。
しかし、2024年までコーンフェリーツアーのポイントランキング30位までの選手がPGAツアーへ昇格できたが、2025年からは20位までとなり、門戸が狭まることになった。
2024年は大西魁斗が25位に入り、2025年からPGAツアーで戦っているが、現在下部ツアーで戦っている選手たちはより厳しい条件でPGA昇格を目指すことになる。
2024年日本ツアーで通算6勝を挙げ、賞金ランキング2位となった平田憲聖もそのひとりだ。
米下部ツアーで奮闘する平田
PGAツアーが2024年秋に決定した新たな下部ツアーからの昇格ルールよって昇格できる人数が減少したが、コーンフェリーツアーで年間3勝を挙げれば、即昇格が可能という条件は変わらない。
年間3勝はハードルが高いが、決して無理ではない。2024年はマット・マッカーティが3勝を挙げて昇格。さらにPGAツアーに昇格してからわずか2戦目のブラックデザート選手権でPGAツアー初勝利を手にした。
平田憲聖は2024年12月に行われたPGAツアーの最終予選会であるQスクールファイナルステージに出場。最後に猛追をみせたものの8位タイに終わり、あと一歩のところでPGAツアーの切符を逃した。
同じくQスクールに参加していた金谷拓実は3位となってPGAツアーの出場権を獲得し、明暗がわかれた。Qスクール前に行われた国内の賞金王争いにおいても、平田は金谷に最終戦で逆転されて2位となり、2024年末は悔しい結果が続いた。
それでも、Qスクールの結果によってコーンフェリーツアーの限定的な出場権を獲得し、26戦あるうちの序盤の12試合に出場できることとなった。
下部ツアー2025年シーズン2戦目のバハマ グレートアバコクラシックで2位タイとなってよいスタートを切り、ここまで3試合に出場して平田はポイントランキング11位。この調子でポイントを稼いで上位に食い込みつつ、優勝を目指したい。
コーンフェリーツアーで戦うことで、日本と異なる芝への適応や、移動の疲労もある。今後PGAツアーで戦うことを考えれば、よい経験になることだろう。
下部ツアーからの昇格ルールだけではなく、PGAツアーのフルシード権も上位125人から100人に減らされることが決まっている。どのツアーでも選手は生き残りをかけた厳しい戦いになるが、平田には弱肉強食の世界でチャンスをつかんでほしい。
コンパクトトップで方向性を安定させる
平田のスイングはコンパクトなトップ・オブ・スイングが特徴で、スイングの再現性に優れており、方向性もよい。ショットの方向性に悩んでいる人は、平田のようなコンパクトトップを取り入れてみてもいいだろう。
コンパクトトップを作るときに重要なポイントが3つある。それは腕の使い方と切り返しのタイミング、下半身の使い方だ。
コンパクトトップを作るためには、腕の運動量を減らす必要がある。
体と腕をシンクロさせ、わきをしっかり締める。それによって腕の動きを抑制することができる。特に、右わきがあいてしまうとトップ・オブ・スイングが大きくなるので気をつけてほしい。
切り返しでは、早めのタイミングで左足を踏み込むようにする。バックスイングで左腕が平行になったあたりで切り返しを始める意識を持つことで、コンパクトな位置にトップ・オブ・スイングが収まる。
クラブが惰性で上がっている間に下半身を動かすことで、上半身と下半身が逆方向に動くことになり、上下が拮抗することでバックスイングが上がらず、コンパクトトップになる。
そして、コンパクトトップでボールを飛ばすために、ダウンスイングからインパクトにかけて下半身をしっかり使うことも大事だ。
切り返しで左足を踏み込み、左脚が伸びる抜重の動きを行うことで、地面反力を利用して力強いスイングをすることができるようになる。下半身を使ってスイングをすることができれば、振り幅を小さくしても飛距離を出すことが可能だ。
コンパクトトップはどちらかというと筋力があり、飛距離よりも方向性を重視したいというゴルファーに向いている。自分の適性を見極めたうえで、取り入れてほしい。
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◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。