GOLF

2025.02.28

肩を縦回転させて飛距離を伸ばす!? 全米で活躍する日本人プロに学ぶ、スイングスピードUP術。

2025年からPGAツアーに参戦する大西魁斗のように、肩の縦軸回転で飛距離を伸ばす練習法を紹介する。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。

スイングする大西魁斗

2025年シーズンはPGAツアーに日本人が5人

プロゴルフの最高峰、PGAツアーでプレーする日本人選手が増えてきた。2025年は松山英樹を筆頭に久常涼、星野陸也、金谷拓実、大西魁斗の5人がPGAツアー選手として名を連ねる。日本人選手が5人在籍するのは2003年以来のことだ。

日本ゴルフプロ界の海外挑戦は、宮本留吉や中村兼吉といったレジェンドに始まり、青木功ら多くの選手が海を渡ったが、その多くは日本大会で腕を磨いてから海外ツアーへ挑戦している。

しかし、最近はアマチュア時代から米国に渡り、PGAツアーを目指す選手も増えてきた。2025年からPGAツアーに参戦する大西魁斗もその一人だ。

大西は9歳から渡米し、フロリダのIMGアカデミーで腕を磨き、南カリフォルニア大学では全米アマに出場するなど活躍して2021年にプロ転向した。

2022年には日本ツアーの「フジサンケイクラシック」で優勝を果たすが、同年の米下部ツアーのコーンフェリーツアーの予選を突破して米下部ツアーを主戦場にしてきた。そして2年目の2024年にUNCヘルス選手権で優勝し、最終的にコーンフェリーツアーのポイントランキング25位となり、上位30人に付与されるPGAツアーへの切符を手にした。

2024年シード権を守ったコーンフェリー卒業組は14人

コーンフェリーツアーからPGAツアー昇格してすぐに活躍する選手がいる一方で、なかなか活躍できず、年末まで出場権獲得に向けて試合に出場し続けなければならない選手も多い。

下部ツアーから昇格したといっても、それは入り口に過ぎず、厳しい生存競争のスタートラインに立っただけなのだ。

どれくらいの選手がPGAツアーで生き残れるのかを知るために、2023年にコーンフェリーツアー上位30位に入り、2024年にPGAツアーに参戦した選手の成績を振り返って分析をしてみたい。

下部ツアーから昇格した30人のうち、フェデックスカップ・ランキング125位までに入って翌年のPGAツアーのシード権を獲得したのは14人。

優勝した選手にはフルシード権が付与されるため、メキシコ・オープン優勝のジェイク・ナップ、マートルビーチクラシックで勝ったクリストファー・ゴッタラップ、バミューダ選手権で勝利したラファエル・カンポスの3人はフェデックスカップ・ランキングの順位に関係なくフルシード権を手にした。

1月のソニー・オープンで優勝したグレイソン・マレーもシードを獲得したが、残念ながら5月に亡くなってしまった。125位から150位までの条件付きの準シードは3人なので、フルシード権と準シード権を獲得した17人にマレーを加えると18人となり、半数以上がPGAツアーでプレーする権利を獲得したことになる。

シード入りした選手の最高位はマックス・グレイザーマンの48位。優勝はなかったものの、3Mオープンとウィンダム選手権で2位となり、プレーオフシリーズまで進出した。

また、コーンフェリーツアーのランキング1位となったベン・コールスはザ・CJカップ バイロン・ネルソンで優勝争いの末2位となり99位だった。

こうしてみると、コーンフェリーツアーから昇格した選手の半分以上が生き残ったことになるが、実は2026年からはPGAツアーのフルシード枠が100位以内までとなり、PGAツアーに残留する条件が厳しくなる。

これを2024年の成績に当てはめると、フルシード権獲得者は7人(そのうち優勝者は3人)となる。ゴッタラップは優勝によるシード権が付与されるが119位で圏外となってしまう一方、優勝経験がなくてもトップテン入り5回のパトリック・フィッシュバーンは81位でシード圏内となる。

来季のPGAツアーのシード権を確保するためには、昨年以上に年間を通して上位争いを続けることが必要になるだろう。そう考えると、コーンフェリーツアーランキング25位だった大西には厳しい戦いになるかもしれない。

実際、2023年のコーンフェリーツアーポイントランキング20位以下の選手でシードを獲得したのは、優勝したゴッタラップ(23位)とカンポス(30位)の2人だけで、それ以外の選手は誰も生き残ることができなかった。

このような結果から、大西は小規模な大会や、昇格試合の裏試合などのフィールドの薄い大会で上位に入り、シード権確保の足掛かりにしたいところだろう。

大西と同じ2024年にPGAツアーメンバーの権利を獲得した選手のなかにはすでに実力を発揮している選手もいる。

2024年コーンフェリーツアーの賞金王となったマット・マッカ―ティがすで2024年のフェデックスカップ・フォールのブラックデザート選手権で勝利を挙げ、2位のマックス・マクグリービーも2024年に日本ツアーのダンロップフェニックスで勝利している。大西もチャンスをものにしてPGAツアーに定着してほしい。

地面反力を使って前後軸を回転させる

大西のスイングは肩が縦に回転し、前後軸をメインに使っていることが特徴だ。

ゴルフスイングには「垂直軸」「前後軸」「飛球線方向軸」という3つの軸があるが、前後軸はスイングをするときに肩を上下に動かす軸で、飛距離を出すのに重要な役割を果たす。

前後軸の回転速度を上げるためには下半身の使い方が重要だ。

切り返しで左足を踏み込むことで、インパクトに向けて左脚が伸びていく。この下半身の動きによって、右肩が下がりながら縦回転して目標方向に出ていく動きが促進される。

このようにダウンスイングで下半身を使って地面からの反力を利用することで、前後軸を速く回転させることができ、飛距離を伸ばすことができるのだ。

前後軸を回転させるイメージがつかめない人はクラブを短く持って、体をグッと深く前傾させ、肩を縦回転させてみるといい。

この動きを行う際、膝をがっちり固定するより、両膝を交互に伸ばしたほうが回転させやすいことがわかるはずだ。地面反力を使って脚を伸縮させながらスイングをしたほうが回転速度も上がる。

前後軸を理解することで、地面反力を効率的に使ってスイングスピードも上がるはずだ。飛距離を伸ばしたいという人はぜひ試してほしい。

動画解説はコチラ

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=ZUMA Press/アフロ

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