今回は右手の使い過ぎを抑えドリルを紹介する。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】。
右手に力が入るとボールが左に出る
先日、何気なくスタートホールでアマチュアゴルファーのティーショットを見ていると、切り返しで力が入ってボールが左方向に飛んでいく人を多く見かけた。
ボールが左に飛び出て戻るカットスライスを打っていた人は飛距離が出ておらず、左に引っかけるプルフックを打っていた人は林やOBなどのトラブルになっていた。
春の暖かい空気に誘われて久しぶりにコースに出てみたものの、このように力が入って思うようなプレーができないと残念な気持ちになるものだ。久しぶりのラウンドでカットスライスになったり、ひっかけてしまったりする人は、利き手の右手に必要以上に力が入っている可能性が高い。
右手に力が入るとアウトサイドからクラブを振り下ろすしやすくなり、フェースの向きによってスライスやプルフックとなる。
利き手の右手に頼ってスイングしている人のなかには、極端な人だと右手が9割、左手が1割といった力の配分になっていることもある。左右のバランスは5:5くらいの配分にするのが理想だ。
右手を使い過ぎないようにするには、右手に過度な力が入らないようにすることが大切になるが、力を抜くことは簡単ではない。
そもそも右手に力が入るのは、右手に頼らざるを得ない状況ともいえる。普段の生活で使う機会の少ない左手を使うことができるようになれば、右手に頼ることがなくなるため、右手の力を抜くことができるようになる。
左手素振りでスイング軌道を改善する
今回は右手の使い過ぎをおさえ、左手を積極的に使うためのドリルを紹介しよう。利き手ではない左手の使い方を身につけるには、左手1本でのスイングがお薦めだ。
左サイドにはクラブ軌道をつくる大切な役割があるため、この練習を行うことでスイング軌道が改善し、安定した球を打つことができるようになる。
また、左手は右手のように器用ではないので、左手だけでクラブを振ることが難しく、自然に体の回転を主体としたスイングになる。体と腕のシンクロが高まることで、アウトサイドからクラブが下りてくることもなくなり、適切な軌道でクラブが下りてくるようになるはずだ。
このドリルでは左手でクラブを持ち、右手で左上腕をおさえて、わきが締まった状態でスイングする。振り幅はハーフスイング程度を目安として、大振りしないように気をつけてほしい。
スイング中は腕だけでクラブをコントロールしようとせず、胴体や下半身を連動させてスイングを行う。体と左腕がシンクロして、体の回転によって腕とクラブが動く感覚を身につけよう。
左手を意識してスイングできるようになることで、右手を使う必要がなくなってくる。レッスンなどで「右手を使い過ぎないように」と注意された経験がある人は少なくないと思うが、普段使い慣れている右手を使わないように意識するのは難しい。
それよりも、普段使わない左手を意識したほうが、右手と左手のバランスが良くなる。この練習を繰り返して右手と左手を使う配分が適切になれば、アウトサイドからクラブが下りてくることもなくなり、球筋も安定してくるはずだ。
久しぶりのラウンド前の練習では、左手1本の素振りに取り組んでみてほしい。
ラウンド中に力が入り始めたときには、素振りをしてリセットするのもいいだろう。左サイドを意識することで、暖かいシーズンのゴルフが楽しくなることだろう。
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■連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。