今回はノーコックワッグルについて。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】。
アドレスで力むとスムーズに始動できない
朝イチショットなどの緊張した場面では、アドレスで手や腕に力が入ってしまい“手上げ”になりがちだ。手の末端部分に力が入ってしまうと、体が動かずに手打ちスイングとなり、飛距離が出ないだけではなく、ボールも左右に散らばってしまう。
プロゴルファーはどのような状況でも落ち着いて普段通りのスイングをするために、独自のルーティンを持っている。そのルーティンの一つがワッグルだ。ワッグルとは英語で「揺れ動く」という意味で、スイングの前にクラブヘッド揺らすように動かすのが一般的だ。
かつての名選手、ベン・ホーガンは手首を柔らかく使い、クラブヘッドを大きく動かすワッグルが特徴的だった。クラブヘッドを動かすワッグル以外にも、パトリック・キャントレーのように、足踏みをしてリズムを取る「足ワッグル」をする選手もいる。
いずれのワッグルも、動きを止めてからスイングを始動する「静から動」ではなく、常にクラブや体を動かす「動から動」の流れでスイングをスタートすることで動きの再現性を高めている。
このようにプロゴルファーは独自の決まったワッグルをしているが、アマチュアゴルファーはその時々でスイングするまでの動きが変わりやすく、ミスショットの原因になる。自分に合ったワッグルを取り入れることができれば、スムーズにスイングを始めることができるようになる。
ワッグルで体を動かし流れに乗ってクラブを上げる
今回はノーコックでクラブを大きく動かすワッグルを紹介したい。プロゴルファーは手首を柔らかくしてヘッドを揺らすワッグルをしている選手が多いが、PGAツアーで8勝を挙げ、2003年のマスターズを制したマイク・ウィアのように、手首をほとんど使わずにクラブが地面と平行になるくらいまで大きくクラブを上げるワッグルを行う選手もいる。
ウィアが行っているノーコックワッグルは、手首は使わずにテイクバックと同じように体の回転を使ってクラブを上げることで手打ちを防止することができる。クラブを地面と平行の位置まで上げることで、テイクバックの軌道をイメージすることもできるため、スムーズにクラブを上げることが可能になる。
ノーコックワッグルを行うときに注意してほしいのは、クラブヘッドを上げる方向だ。シャフトが地面と平行になった時、飛球線後方から見てクラブヘッドが手元よりも内側にあると体と腕のシンクロが崩れやすくなる。
逆に、クラブヘッドが手元より極端に外側に上がっても、手や腕を使った手上げになっている可能性がある。理想は手元とクラブヘッドが重なるか、若干クラブヘッドが外側にある状態が望ましい。クラブヘッドが外側にあるほうが体と腕がシンクロしやすいので、クラブヘッドは手元の位置よりも2個分くらい外でも問題はない。くれぐれもインサイドに入らないように気を付けてほしい。
ノーコックワッグルでテイクバックの始動をスムーズに
このようにクラブヘッドの上がる方向を確認しながら、1、2回クラブを上げ下げすることで、スムーズにスイングを開始することができる。まずは鏡の前で体の回転でクラブを上げながら、クラブポジションを確認してみてほしい。
アドレスで力んでスイングがぎこちなくなってしまうという人は、ぜひノーコックワッグルを取り入れてみてほしい。力みが抜けたスムーズなスイングができるようになるはずだ。
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■連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。