GOLF

2023.11.25

腰痛ゴルファー必見! 復活のジェイソン・デイに学ぶ、腰にやさしい&飛距離UPのスイング法

今回は体にやさしい効率的なスイングについて。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】

腰痛を克服して5年ぶりの優勝を手にしたジェイソン・デイ

今シーズンのPGAツアーは、フェデックスカップ・フォール最終戦のザ・RSMクラシック(2023年11月16日~19日開催)が閉幕してすべての日程が終了した。

今季は復活優勝をした選手が多かった印象だが、なかでも見事な復活を遂げた選手にジェイソン・デイ(36歳)がいる。

オーストラリア出身のデイは、12歳のときにオーストラリア人の父親を亡くし、フィリピン人の母親に育てられながらゴルフの技を磨いた。

2006年にプロに転向した後はめまい症に苦しみながらも、2015年に全米プロで優勝。世界ランク1位になるなど活躍し、2018年までにPGAツアーで12勝を挙げた。

ところが、その後は腰痛に悩まされて成績が低迷し、2021年以降のフェデックスカップポイントランキングは100位台となり、シードを確保するのがやっとの状況だった。

そんななかで迎えた今シーズン、2023年1月のファーマーズインシュランスオープンで7位に入ると、4試合連続でトップ10入り。5月のAT&Tバイロン・ネルソンでは5年ぶりの優勝を果たした。

その後も7月に全英オープンで2位タイになるなど活躍し、フェデックスカップポイントランキングは28位まで上昇し、2022年末には112位だった世界ランクも20位台まで戻った。

腰痛の原因とは

デイが腰を痛めたのには理由がある。

彼は以前のスイングでは横方向への体重移動を意識しており、その動きによって打ち終わった後に大きく背中が反る「逆Cフィニッシュ」になっていた。

ひと昔前のゴルフ界では逆Cフィニッシュが主流で、ジャック・ニクラウスやトム・ワトソンといった名選手が逆Cのフィニッシュだった。

その後のスイング理論の進化によって、逆Cフィニッシュは体を酷使する割には効率的ではないことがわかり、むしろ故障しやすいスイングといわれている。

デイは30代半ばに差しかかり、これまでのスイングでは選手生活を続けられないと判断したのだろう。3年前からクリス・コモの指導を受け、スイングの改造に取り組んできた。

コモといえば、同じように腰痛に苦しんでいたタイガー・ウッズを指導し、体への負担が小さいスイングに改造して復活に導いてきたことで知られる。

デイの今シーズンの復活は、コモの指導の成果がようやく表れたものだといっていいだろう。

左右ではなく前後の体重移動を意識

デイのように横方向の体重移動を意識して、左右に動きすぎてしまうアマチュアゴルファーは多い。

左右に体重移動をして、フィニッシュで体を反らしながらスイングすることで、体全体を使って振っているように感じるかもしれない。

しかし、前出のように、この打ち方は体に負担がかかる割には良いパフォーマンスが期待できない。

効率の良いスイングをするには左右の体重移動ではなく、前後の体重移動に意識を向けてほしい。そして、アドレスの足幅の中で体を回転させることが大事だ。

前後に体重を移動させるためには、足裏の意識が重要になる。

そのために、両足のかかとを意識して素振りをする練習が効果的だ。

バックスイングのときには右足のかかとに体重を移し、左足のかかとは地面から浮かしてヒールアップをする。そして、ダウンスイングでは左足のかかとを踏み込み、右足のかかとは地面から浮かせる。

このように、足裏の体重移動を意識しながら素振りをすると、左右に体を動かさずに、その場で体を回転させる動きが身につく。

この動作を行うときに、左手で左足の横にクラブを立てて、右腕だけでシャドースイングをしてみてほしい。

この練習を行うことで、体が左に移動しすぎるとシャフトに左腰や脚が当たりフィードバックが得られる。クラブにできるだけ当たらないように、その場で回転することを意識して練習をするといいだろう。

足裏の前後の体重移動を身につけることで、横移動が減り、体を痛めずにすむ。効率的なスイングができるようになれば、今まで以上に飛距離を伸ばせるはずだ。

動画解説はコチラ

■連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

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TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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