スニーカー時代が到来してから、革靴への価値観も変化している昨今。そんななか、今もなお愛されている“色褪せない靴”は存在する。各店の目利きのバイヤーらが、それぞれベスト3を厳選しご紹介。今回は、エストネーション 六本木ヒルズ店バイヤーのお薦めを紹介する。【特集 靴と鞄】

革靴はフォーマルなものから、スタイルのある遊び靴にシフト
オフィス街でもあり、遊び場でもある六本木ヒルズに店を構える21年目のエストネーション。同店のシューズラインナップは他店とはまた違ったコンセプトが特徴だ。
「著名人や経営者、講演会をするような、人に見られるような方がお客様に多く、そのためシューズでも色気があって目を引くようなものを多く展開しています。革靴という普遍的なアイテムでも、今の時代性に沿ったスタイルを表現することに重きを置いています。そういった意味でもオーベルシーはロングセラーといえます。同時にスーツをお洒落着として嗜む方が多いのも当店の特徴でもあります」
幅広いライフスタイルにマッチする靴を求められる
人に見られるシーンが多い人は、装いにも気を使うのは当然。印象つけるためにも一点一点のセレクトがとにかく重要だ。
「1週間のなかで、装いを変えるべきシーンがいくつもあるお客様が多いんです。そのため同じフォーマル靴でも、ほかとは異なる個性的なデザインを求める傾向があります。オーベルシーのような、艶っぽい上品靴がまさに。
もうひとつの人気靴が、アンライニングのローファーです。ジョージ クレバリーも少し変わっていて。アンライニングで仕立てたスエードローファーと聞くと、リラックスシューズとしてはベーシック。ですが、美しいラストかつレザーソールにすることで、高級感ある雰囲気を残しているんです。こうした〇〇なのに××、といったアイテムが好評を得ています」
元来フォーマルなものとして捉えられてきた革靴は、スニーカー人気の現代ではお洒落のための一手。スニーカーがビジネスに使われるようになった変化と同義だ。スニーカー以上に洗練さと上品さをもたらす分、大人のお洒落において、今はより革靴が身近になっているのだ。
1.オーベルシーのニール
エストネーションで随一の人気を誇るモンクストラップ。なかでも、こちらはパリ本国のビスポーク用モデルを起用した、エストネーションだけの特別仕様。ネイビーのボックスカーフの光沢感に、クロスしたモンクストラップが目を引くエレガンスを提供。履きこむほどに艶が増すのも魅力だ。

2.ジョージ クレバリーのジョージ
コンフォートな靴が人気を博すなか、レザーシューズにおける筆頭はアンライニング。スエードの質感が上品さを引きだす。

3.オーベルシーのマット
ブーツのなかで最もスマートな印象を添えるサイドゴアブーツ。色気溢れるバーガンディカラーとボックスカーフの光沢感がアクセントに。


小林謙介
エストネーション 六本木ヒルズ店 メンズスタッフ。宮城県生まれ。新卒で入社後、エストネーションひと筋のメンズスタッフ。銀座店から六本木店を経験しドレスのVMDや企画、バイイングを兼任。顧客に合わせながらも、ブランドの色を出す企画力に一家言あり。
この記事はGOETHE 2025年3月号「総力特集:自分らしくいる、靴と鞄」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら