スニーカー時代が到来してから、革靴への価値観も変化している昨今。そんななか、今もなお愛されている“色褪せない靴”は存在する。各店の目利きのバイヤーらが、それぞれベスト3を厳選しご紹介。今回は、バーニーズ ニューヨーク 銀座本店バイヤーのお薦めを紹介する。【特集 靴と鞄】
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10年履ける革靴より10年買い続けられる革靴
ミドル世代を中心に、20代から海外の方まで幅広い客層を持つバーニーズ ニューヨーク銀座本店。世代間で求めるものの違いはあるものの、共通しているのが高級感にあるそう。
「10年売れ続けているモデルとなると、ずっと変わらずに展開を続けているのがクロケット アンド ジョーンズの『ランガム』です。銀座という土地柄、高級感があって被らないものが売れる傾向にあるのですが、派手ではなくて。高級感を感じられるうえに、強すぎないアクセントのあるものが好まれます。それもあってか、別注モデルは特に好評をいただいています」
革靴に対する履き方がここ数年で大きく変化
10年変わらずに展開を続けている靴とはいえ、別注モデルはマイナーチェンジを続けている。それと同時に、高いシェアを誇っているのが快適な靴だ。
「やはりコンフォート志向は強くなっています。それによって、革靴に求めているものも変化してきました。いい革靴は、一般的に修理や手入れで10年履き続けられるというのが魅力でしたが、アンライニングをはじめとするいわゆる楽ちん靴は、履きなじみがよい分、長く愛用するには不向きです。そのため、買い換えながらいい靴を履き続けている方が多くなったんです」
もちろん、富裕層の多い銀座本店ならではともいえるが、快適さを求めてスニーカーに傾倒している昨今では、革靴にも同様の需要があるのだとか。
「一方で、若い方が背伸びしていいものを買うとか、一生ものを買う方が多いです。10年というスパンやロングセラーの在り方も幅を持つようになったと感じています」
若者が一生ものを買う一方で、ミドル世代は進化した一足を手に入れる。この振り幅が、現代の革靴の在り方なのだろう。
1.クロケット アンド ジョーンズのオックスフォード
バーニーズ ニューヨークで10年売れ続けているクロケット アンド ジョーンズの別注モデル。マイナーチェンジを続け、’40年代のオフィサーシューズを、ホーウィンのハッチグレインカーフで別注。オンオフ問わずに、男らしさが漂う風格が唯一無二の存在感を放つ。
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2.エドワード グリーンのドーバー
シャープな32ラストを使用したUチップ。上質なカーフレザーアッパーが上品さを香らせ、スキンステッチが目を引く。
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3.クロケット アンド ジョーンズのランガム3 タッセル 375e
タッセルコードを編みこみで別注したローファー。ほどよいボリューム感と小ぶりな踵(かかと)設計で日本人の足に最適。
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藤田開知
バーニーズ ニューヨーク 銀座本店 メンズバイヤー。兵庫県生まれ。バーニーズ ニューヨーク銀座本店のセールスからスタートし、現在はクラシックチームのバイイングを担当。勤続9年のなかで培った経験で、数々の人気商品や別注商品を生みだしている。
この記事はGOETHE 2025年3月号「総力特集:自分らしくいる、靴と鞄」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら