“キング・オブ・ポップ”と言われるアーティスト、マイケル・ジャクソンの輝かしいキャリアを描いた映画が2026年6月12日から全国で公開。今回は、EXILE NAOTOに話を聞いた。

ダンサーにとってマイケルは教科書の“トビラの1ページ目”です
一度だけ至近距離で、マイケル・ジャクソンを見たことがあります。2006年5月に東京の国立代々木競技場で開催された、MTVビデオ・ミュージック・アワード・ジャパンの時です。当時23歳だった僕は、EXILEのサポートメンバーとして会場の駐車場でスタンバイしていました。そこに本物のマイケルが現れた。
黒塗りのリムジン、国家のプレジデント級の警護……。セキュリティのマニュアルだと思いますが、そこにいる全員が動くことを禁じられていました。微動だにしない僕たちの目の前をマイケルが歩いていく。これが憧れてきたあのマイケル・ジャクソンか──息を呑みました。
マイケルのすごさをリアルに感じた最初は、本気でダンスを始めた高校時代です。僕たちのチームはマイケルの「スムーズ・クリミナル」でショーケースを構成しました。マイケルのオリジナルのミュージックビデオを擦り切れるほど観て研究し尽くしました。静と動のバランス、タイミングの妙は努力だけでは到達できない領域です。
『シャイニング』などで“ホラーの帝王”と言われるアメリカの作家、スティーヴン・キングが脚本で参加した短編映画『ゴースト』もダンサーのバイブルです。劇中、古城で「2Bad」を歌い始めるシーンは強烈なインパクトでした。ゾンビの集団を率いるマイケルが吠え、踊る。それは鋭利な刃物のような動きでした。
マイケルのミュージックビデオは長尺。ストーリーがあります。それ以降映像も心待ちにするようになりました。
マイケルは歌でリスナーの聴覚に訴えますが、ハイレベルのダンスで歌詞の描く物語が立体的になり、物語性が増し、リアルになる。「スムーズ・クリミナル」や『ゴースト』のパフォーマンスは今も僕のバイブルであり続けています。ダンサーにとってマイケルは、まず学ぶべき教科書の“トビラを開いた1ページ目”です。ダンサーには共通認識・共通体験としてマイケルが刷りこまれています。
EXILE TRIBEのなかでも、EXILE ÜSAさんやELLYをはじめ、ほとんどのメンバーがマイケルの影響を受けています。EXILE ÜSAさんのムーンウォークのパフォーマンスは抜群の精度です。
そういう自分のなかにも、知らず知らずのうちにマイケルが息づいています。例えば音楽が終わってパフォーマンスをフィニッシュすると、無意識に左胸に手を当てています。映像で見たマイケルの姿が瞼の裏に焼きついているからでしょう。ステージ構成も、気づくと僕はマイケルをスタンダードに考えています。そんなアーティストは他にはいません。
では、マイケルにもルーツはあるのか──。映画『Michael/マイケル』では、パフォーマンスの原点として『雨に唄えば』のジーン・ケリー、『黄金狂時代』のチャールズ・チャップリン、『天井桟敷の人々』のマルセル・カルネなどが垣間見られます。ただしそれらを完全に自分のものにしています。僕の目には無から有を生んだオリジナルに映ります。
LDHにも若いグループが次々と生まれています。年齢的に、マイケルの全盛期を知らない後輩も増えました。にもかかわらず、彼らのパフォーマンスからもマイケルが感じられます。10代、20代のダンサーの身体にも、マイケル・ジャクソンのDNAは脈々と受け継がれているのです。
ピッチ、シャウト、フェイク、ポージングから息づかいにいたるまで、ダンサーとシンガー、両方のオリジナリティが合わさり進化した存在がマイケル・ジャクソンなのです。

1983年埼玉県生まれ。パフォーマー、ディレクター、ラッパー。2007年に当時のJ SOUL BROTHERSに参加。2009年にEXILEに加入。同時進行で2010年からは三代目J SOUL BROTHERSのリーダーとしても活動。現在、プロダンスリーグのD.LEAGUEに参加するチーム、LDH SCREAMのディレクターを務める。2024年に1st写真集『Onestà』を発売。同年、ソロツアー「NAOTO PRESENTS HONEST HOUSE 2024」を開催する。
『Michael/マイケル』
2026/アメリカ
監督:アントワーン・フークア(『トレーニング デイ』『イコライザー』シリーズ)
製作:グレアム・キング(『ボヘミアン・ラプソディ』)、ジョン・ブランカ、ジョン・マクレイン
出演:ジャファー・ジャクソン、ジュリアーノ・ヴァルディ、コールマン・ドミンゴ、ニア・ロング、ケンドリック・サンプソン他
配給:キノフィルムズ
2026年6月12日より日本公開。全国63館でのIMAX上映に加え、プレミアム・ラージ・フォーマットのDolby Cinema®、Dolby Atmos®、MX4D®、4DX、SCREENX、ULTRA 4DXでも上映
https://www.michael-movie.jp/

