日本での韓流人気だけでなく、韓国で日本ドラマのリメイクが制作され、日本人アーティストの韓国公演が完売するなど、2024年は日韓エンタメ交流が本格化した。その動向はビジネスパーソンとしてキャッチアップしておきたい。
日韓のエンタメ交流が本格化
2024年、韓国のエンタメ業界にはさまざまな出来事があったが、なかでも日韓のエンタメ交流が本格化したのは喜ばしいことだ。
記憶に新しいところでは、二階堂ふみとチェ・ジョンヒョプが主演したTBS火曜ドラマ『Eye Love You』が2024年1月期に放送されており、10月にはイ・セヨンと坂口健太郎がダブル主演した韓国ドラマ『愛のあとにくるもの』がPrime Videoで配信された。
また、Netflixでは主演に小栗旬、ハン・ヒョジュを迎えた日本オリジナルシリーズや、福士蒼汰が出演する韓国シリーズの制作が進んでいる。
日本では7月期に放送されたテレビ朝日の木曜ドラマ『スカイキャッスル』や、横浜流星主演のNetflixシリーズ『わかっていても The Shapes of Love』、11月公開の映画『他人は地獄だ』のように、韓国ドラマをリメイクした作品も次々と制作された。
一方、韓国では『愛の不時着』や『涙の女王』で知られる制作会社スタジオドラゴンが『コンフィデンスマンJP』の韓国リメイク版を準備中。長澤まさみが演じたダー子役を『キム秘書はいったい、なぜ?』のパク・ミニョンが務める。
YOASOBI、藤井風の韓国公演が大盛況
音楽業界においても、日韓交流は欠かすことのできない要素になっている。2024年、日本ではK-POPが、韓国ではJ-POPが愛された。
YOASOBIは12月7、8日の2日間、韓国が非常戒厳により大混乱状態だったにもかかわらず2度目の来韓コンサートを盛況のうちに終了。加えて地上波の音楽番組にも出演し、韓国でも大人気を見せつけた。
12月14日には、藤井風のアジアツアーファイナルとなる韓国ソウル公演が開催され、メジャーリーグの開幕戦で大谷翔平がプレーしたことで記憶に新しいドーム球場「高尺(コチョク)スカイドーム」がファンで埋め尽くされた。ちなみに高尺スカイドームで公演した日本アーティストは藤井風が初となる。
日本ではK-POPアーティストの日本公演だけでなく、年末の音楽特番にも続々と顔を出している。
12月4、11日に放送された『2024FNS歌謡祭』(フジテレビ系)には、なんと韓国から12組、日韓合作グループ3組と計15組のK-POPアーティストが出演した。今までは多くて3~4組だったK-POP勢だが、2024年はK-POP特集と言っても過言ではないほどだった。
第66回日本レコード大賞では、NewJeansが『Supernatural』で優秀作品賞を受賞。新人賞にILLIT、特別賞にTOMORROW X TOGETHER、特別国際音楽賞にLE SSERAFIMと、4組のK-POPグループが受賞し、K-POPの変わらぬ人気を示した。
大みそかに放送される『第75回NHK紅白歌合戦』の出場者ラインナップもK-POP色が強めだ。
紅組にはTWICE、LE SSERAFIM、ILLIT、ME:I、白組にはTOMORROW X TOGETHER、JO1と全6組が名を連ねている。ILLITは昨年のNewJeansと同じく日本デビュー前の出場になるが、メンバー5人中2人は日本出身なので注目してみたい。
もはや日韓の文化交流はリアルタイムかつダイレクトに行われる時代だ。おそらく2025年も、このような動きは続きそうだ。
■著者・李ハナ
韓国・釜山(プサン)で生まれ育ち、独学で日本語を勉強し現在に至る。『スポーツソウル日本版』の芸能班デスクなどを務め、2015年から日本語原稿で韓国エンタメの最新トレンドと底力を多数紹介。著書に『韓国ドラマで楽しくおぼえる! 役立つ韓国語読本』(共著作・双葉社)。