CAR

2024.07.07

なぜ、ロールス・ロイス「カリナン・シリーズⅡ」は、最高峰SUVと呼ばれるのか【試乗リポート】

ロールス・ロイスが手がけるSUVの最高峰「カリナン」の最新モデルが登場。「カリナン・シリーズⅡ」は何が最上級なのか? スペイン・イビサ島で開催された国際試乗会をリポートする。

ラグジュアリーライフに欠かせない「カリナン・シリーズⅡ」

SUVのなかでも最上位クラスに入るのが、ロールス・ロイスが手がける「カリナン」シリーズ。2018年の登場以来、人気を博し、2023年のロールス・ロイスの世界販売台数のうち大きな割合を占めるのがカリナンだったという。

そんなベストセラーの最新モデル「カリナン・シリーズⅡ」の国際試乗会が行われると聞いて、スペイン・イビサ島に向かった。

ドイツのフランクフルトを経由して、スペイン・イビサ島に降り立ったのは、東京・羽田空港を出発してから、23時間後。天候は晴れ。2024年6月のイビサは東京よりも少し暖かく、Tシャツに薄手のセットアップでは少し暑いくらい。短パンTシャツが気持ち良い。

日差しは強いが、湿気が少なく、快適。機内で見かけたリゾートウェアに身を包んだ若者たちの影響かもしれないが心が弾んでいた。

今回試乗する「カリナン・シリーズⅡ」は、2018年に登場したロールス・ロイス初のSUV「カリナン」のビッグマイナーチェンジモデルだ。フロントや内装などを中心に変更が加えられているが、エンジンなどの変更はなく、走りのスペックは先代モデルを踏襲している。

改めてじっくりとカリナン・シリーズⅡを眺めてみると、ホイールが一回り大きくなり、タイヤの存在感が増し、品格に加えて、ワイルドさが加わった印象だ。

観音開きのドアを開けて運転席に乗り込むと、これまではアナログの針付きだったメーターが、デジタル・パネルに映し出されるヴァーチャル・メーターに変わっていた。

早速、カリナン・シリーズⅡに乗ってホテルに向かう。島全体が複合遺産として世界遺産に登録されているイビサ島。空は広く、赤い土と真っ白な建物が並ぶ綺麗な街並み。目の前には絵に描いたようなターコイズブルーの海が広がっている。

空港から向かったのは、クラブシーンの喧騒から離れた、島の北東に位置するラグジュアリーホテル、シックスセンシズ・イビサ。

ホテルに到着。入り口に止まるカリナン・シリーズⅡが存在感を放っていた。

部屋に入ると、テラスからは美しい海が見える。海の手前にはインフィニティプール。最高のロケーションだ。さっそく水着に着替え、時差ボケ解消をかねて泳ぎに行った。

プールサイドではスパークリングワインとパエリアを堪能。その後、屋上テラスにて、夕日が沈むのを眺めながら、音楽に身を委ねた。明日はカリナンをじっくり試乗する。高揚感を抑えつつ、明日に備えて就寝した。

夕日にチ〜ン(スペイン語で乾杯の意)。

カリナン・シリーズⅡの乗り心地は格別。まさに“魔法のじゅうたん”だった

翌朝、時差ボケの影響もあるが、朝5時に目が覚めた。景観のいいテラス席で朝食を食べて、試乗に向かう。

カリナン・シリーズⅡの搭載エンジンは6.75リッターの12気筒エンジン。パワーボタンを押すと、品のある美しい低音が静かに、奥底から響いてくる。

今回の試乗会は、オリーブが生い茂る平原を抜け、ゆるやかな勾配の山道を走り、美しい海を見下ろしながら切り立った海岸線を走り抜けるコース。

全長5355mmもあるボディに、12気筒エンジンと、全輪駆動システムが組み合わされているカリナンⅡ。最もロールス・ロイスらしいのは、エフォートレスという製品ポリシー。電気制御式でほぼすべての操作に力が必要ない。

まずは、緩やかなカーブが続く山道を走行。イビサの山道は狭い道が多く、車幅の広いカリナン・シリーズⅡだが、ワインディングロードの苦戦することなく、やわらかさと鋭敏さを備えた正確なステアリングでカーブは滑らか。

そして、街中を走行する。段差が多い道を通るが、怖いくらい振動がなく、道路にタイヤが吸い付いているかのように滑らか。快適な走りは、噂通りの魔法のじゅうたんのよう。その反動はやわらかく繊細で、そのサイズ感に似つかわしくないほど、スムーズだ。

ロールス・ロイスは、言わずと知れたラグジュアリーカー。運転はお抱えの運転手に任せるショーファーカーとしてのイメージが根強くあるかもしれないが、カリナンはオーナーの90%近くの人が自らハンドルを握っているという。

乗りたいクルマではなく、運転したいクルマに変化してきているのも納得の走りだ。

今回の試乗会では420kWの最高出力と850Nmの最大トルクを持つスタンダードなカリナンと、さらにパワフルな441kWの最高出力と900Nmの最大出力を持つブラック・バッジの2台のカリナン・シリーズⅡを運転した。

スタンダードなモデルは、非常にやさしくおしとやか、対してブラック・バッジは、操作性が少しだけ硬い印象。イビサで試乗した感覚では、ブラック・バッジが好みだった。

ブラック・バッジモデルも体感

シックな「ブラック・バッジ」。

走行中は周りの音がシャットアウトされ、運転に集中できる、プライベートな空間が広がっている。

あっという間に、ゴール地点の海に到着。

やわらかさと鋭敏さを備えた正確なステアリング、さらに圧倒的なパワーによって涼しい顔で駆けぬけていく。とにかく運転が怖いくらいになめらか。海沿いにカリナン・シリーズⅡを止め、そこで飲むコーヒーは至福の時間だ。

翌朝、帰路に立った。「世界屈指のスーパーラグジュアリーSUVを大胆に昇華させた」と、ロールス・ロイスが表現する、新しい「カリナン・シリーズⅡ」。ラグジュアリースタイルに欠かせない、エグゼクティブのための最高峰SUVと感じた。

イビサ空港を発った、小型航空機は風で揺れる。窓からは、美しい海。脳裏には、ダイナミックなカリナン・シリーズⅡのスタイル。私の身体は、またあの格別な乗り心地を欲しはじめていた。

◼️ロールス・ロイス カリナン・シリーズⅡ

サイズ:全長5355×全幅2000×高さ1835mm
ホイールベース:3295mm
車重:2725kg
エンジン:6750ccV型12気筒
駆動:電子制御式4WD
最高出力:420kW(441kW)
最大トルク:850Nm(900Nm)
価格:¥ 46,454,040~

問い合わせ
ロールス・ロイス・モーター・カーズ TEL:0120-980-242

TEXT=森田智彦(ゲーテ編集部)

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