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2024.05.16

ポルシェが考える“ラグジュアリースポーツカー”とは。新型パナメーラ【試乗記】

ポルシェパナメーラが8年ぶりに3世代目へとフルモデルモデルチェンジした。パナメーラは、ポルシェのラインアップにおいては、4ドアで大人4人が快適にすごせる空間を有した“グランドツーリングカー”。新型の進化のポイントをジャーナリストの藤野太一がスペインからリポート。

新型パナメーラの前方

タイカンはスポーツカー、パナメーラはラグジュアリーカー

パナメーラはデビュー以来、約15年で3代目へと進化してきた。そうしたなかで、2019年には同じく4ドアの電気自動車タイカンが登場している。パナメーラとタイカンは、パワートレインこそ異なるもののカニバリゼーションを起こしているようにも見える。パナメーラの開発責任者に、内燃エンジン車が欲しければパナメーラを、電気自動車が欲しければタイカンを、という棲み分けなのかとたずねてみたところ、それもあるが本質的には違う役割を担うものという。

「タイカンはスポーツカーであり、いわば4ドアの911、一方でパナメーラはスポーティではあるけれどもコンフォート性能を重視したラグジュアリースポーツカーなのです」と説明する。

新型パナメーラは、ガソリンエンジンモデルの「パナメーラ」と「パナメーラ4」、そして「4E-ハイブリッド」、「4S E-ハイブリッド」、「ターボE-ハイブリッド」の3種類のプラグインハイブリッドモデルをラインアップ。

新型パナメーラの国際試乗会は、2024年2月下旬、温暖な気候に恵まれたスペイン南部、アンダルシア州の州都セビリアで開催された。出発地点である市内のホテルには、ベースモデルのパナメーラが用意されていた。ボディサイズは全長5052mm、全幅1937mm、全高1423mm。ホイールベース2950mmで先代とほぼ変わらない。

エクステリアでは、ボンネットがより彫刻的になりフェンダーの峰が911や718のように高くなった。運転席からの眺めはまるでスポーツモデルに乗っているように感じるものだ。4つのモジュールが特徴的なLEDヘッドライトのエッジが鋭くなり全体的にシャープさが強調されている。ナンバープレートホルダーの上に、新たに追加されたエアインレットは先代とのわかりやすい識別点だ。歴代パナメーラの特徴である、スポーティなサイドビューをかたちづくる“フライライン”は、もちろん継承されている。ちなみにワゴン版であるスポーツツーリスモはこの3世代目では設定されないようだ。

ハザードボタンやエアコンの操作スイッチや音量調整ダイヤルなど
すべてをデジタル化するのではなく、ハザードボタンやエアコンの操作スイッチや音量調整ダイヤルなどには物理スイッチを残しているのがポルシェらしいポイント。パナメーラとして初めて、10.9インチの助手席ディスプレイがオプション設定する。

インテリアはタイカンにはじまった最新のデザイントレンドを踏襲する。メーターはひさしのない自立型の12.6インチディスプレイで、オプションでヘッドアップディスプレイや助手席用ディスプレイも用意されている。オートマチックトランスミッションのセレクターレバーは、センタコンソールからステアリングホイールの右側奥に移設されている(右ハンドル仕様では左側に配置される)。したがってセンターコンソールまわりからはスイッチ類などが省かれスッキリとした印象になった。

パナメーラと4輪駆動のパナメーラ4に共通のエンジンは、2.9リッターのV6ターボ。ブーストアップなどの改良により先代比で23PS/50Nmアップの最高出力353PS、最大トルク500Nmを発揮。トランスミッションは8速PDKを組み合わせる。

標準装備されたエアサスペンションについて
新型パナメーラは、足回りに2チャンバー・2バルブ方式のエアサスペンションを標準装備。コンフォートからスポーツまで、幅広い減衰特性を実現。

意のままに動くその瞬間にポルシェを感じる

セビリアの市街地を、全長5m超であることを忘れさせるほど軽快に走る。PDKは低速域でもまるでトルコンATのようにまったくギクシャクすることなく、素早く、滑らかにシフトチェンジする。試乗後に開発者に確認してみたところ、新型では911と共通のPDKを使っているとこっそり教えてくれた。

足回りには、ポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)を備える2チャンバー、2バルブ技術のエアサスペンションを標準装備する。これによってダンパーの伸び側と縮み側とを別々に制御し、コンフォートとスポーツとの振り幅を拡大する。石畳のような道でもゴツゴツとしたショックを大幅に吸収し、高速区間では抜群の直進安定性をもってひた走る。そして、ワインディング区間では操舵に対してまさに意のままに動く。この瞬間がポルシェだねと思わされる。

午後のセッションの舞台は、セビリアの市街地から西へ約50kmのところにあるモンテブランコサーキット。全長約4.4km、ホームストレートは約1km、18のコーナーからなる本格コースだ。

サーキットを走る「ターボEハイブリッド」
モンテブランコサーキットを走る「ターボEハイブリッド」。現ラインアップにおいてトップパフォーマンスモデルとなる。

ここで最上位グレードとなるプラグインハイブリッドモデルの「ターボEハイブリッド」に試乗する。総出力は680PS、トルクは930Nmを発揮。0−100km/h加速3.2秒は、まさにスーパーカーだ。ちなみにポルシェはこの新型パナメーラからターボモデルのクレストをゴールドにかえてメタリックグレーに変更する。その名はTurbonite(ターボナイト)。接尾語の[ite]は石の意味だ。クレジットカードに例えるならゴールドよりプラチナ、というイメージだろうか。

メタリックグレーのエンブレム
この新型パナメーラから“ターボ”モデルには通常のゴールドのエンブレムに代えて、メタリックグレーのエンブレム「Turbonite(ターボナイト)」が採用される。今後は他のモデルにも展開されていく。

新型サスがもたらす未知のフラット体験

サーキットでは、その速さはもちろんだが、Eハイブリッドモデルにオプション設定される「ポルシェアクティブライドサスペンション」の体験に重点が置かれた。これは新開発のアクティブショックアブソーバーに、前後アクスルのそれぞれに配置された電動式の油圧ポンプを接続したもので、ボディの動きに応じてダンパー内に瞬時に正確なオイル流量を発生させることが可能。この油圧ポンプは400Vシステムによって駆動するため、Eハイブリッドモデルのみの設定となっている。

新型パナメーラの後方
ポルシェアクティブライドサスペンションのダンパーは最大13Hzで作動し、1秒間に最大13回の設定調整が可能。走行状況や路面に瞬時に反応し、ピッチやロールの補正や、乗降時のボディの上昇など、革新的な機能も可能にする。

まずこのシステムを使って乗降性を高めるため車高を上下させる。ドアを開けると、瞬時に車高が5.5cm跳ね上がる。閉めればスンと下がる。あまりにも素早く動くので驚いた。そして走行モードをハイブリッドモードにすると、「ポルシェアクティブライドサスペンション」が起動する。

加速時のフロントリフトやブレーキング時のノーズダイブをなくし、そしてコーナリング時にはまるでバイクが内側に倒れ込むように内輪側を沈みこませ、外輪側をもちあげるアクティブチルトコントロールまでを駆使して常にボディを水平に保つ。波板の上を50km/hで走行したり、パイロンスラロームなどを試したが、これまで味わったことのない未知のフラットさだった。

この動画をみてほしい。デモ用にスマートフォンの動きと連動するようになっているが、これほどフレキシブルに車体が動いて、常にフラットな状態を保とうとするのだ。

波板の上を50km/hで走行するテストではスタンダードサスペンションでは後半にいくほど車体の揺れが収まらず大きくなることがわかる。アクティブサスは上屋がまったくブレず、車内にいても何事もないように走る。

ベースのエアサスだって十分な性能なのに、なぜこの複雑なサスペンションシステムを開発したのか開発者にたずねてみたところ、「パナメーラはこれまで以上にもっと乗り心地を良くしたかった。そのためにはスタビライザーをなくして、4輪を独立して制御する必要があった」と教えてくれた。なるほど新型パナメーラはラグジュアリースポーツカーなのだという冒頭の開発者の言葉に合点がいった。

TEXT=藤野太一

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