和歌の作成技法のひとつで、古歌の一部を意識的に自作に取り入れたうえで、新たな歌を作る技法「本歌取り」。この精神で先人が残したものを取りこみながら、今の時代に即した表現をする現代美術作家・杉本博司氏の現在地がわかる展覧会だ。
古典と共鳴する新作の数々
葛飾北斎の《冨嶽三十六景 凱風快晴》を本歌とした、巨大な新作《富士山図屏風》は圧巻の迫力。杉本氏の新たなる解釈とデジタル処理により、北斎が実際に見たであろう当時の景色が誕生した。
このほか、書の技法そのものや、中国南宋〜元時代の画家・牧谿(もっけい)の水墨画技法などを本歌取りした氏の代表的作品も併せて展示される。
写真、工芸、芸能をも包みこむその世界観に浸りたい。
「杉本博司 本歌取り 東下り」展
会場:渋谷区立松濤美術館(東京都渋谷区松濤2-14-14)
会期:2023年9月16日(土)~2023年11月12日(日)
開館時間:10:00~18:00(※金曜は~20:00。入館は30分前まで)
休館日:月曜
料金:一般¥1,000ほか