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2021.02.19

セブン−イレブンのデザインに見るデザイン整理術【佐藤可士和の仕事】

コンビニエンスストアの最大手、セブン−イレブン。そのブランディングプロジェクトの中核となる「セブンプレミアム」のデザインの秘密を解説!

佐藤可士和のデザイン整理術

佐藤可士和が手がけたディレクション数、実に4000点以上!!

2019年度のアイテム総数は4150点にもなるセブン&アイ・グループのプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」。そのデザインを支えているのが佐藤可士和だ。

「セブン‐イレブンのブランディングプロジェクトを依頼されたのが11年前で、セブンプレミアムがスタートして3年後。当時はPB=安価というイメージもありましたが、セブン‐イレブンではおいしさと品質を向上させたオリジナル商品を提供しようとしていたので、それをデザインで伝えたい。PBをメディアにしたブランド戦略を進めていくべきだと考えたのです」

しかし、すでに約1000のアイテムがあり、ロゴやパッケージデザインもバラバラ。そこでフォーマット作りから始めた。

「セブン‐イレブンではオリジナル商品の味や素材にはすごく力を入れていましたが、デザインに関しては正直弱かった。それこそ主力商品のおにぎりやサンドウィッチにもロゴはついていなかったのです。そこでカテゴリーを整理し、デザインフォーマットを作成し、すべてのオリジナル商品にロゴをつけることに。その結果、店内でのPBの存在感が一気に増し、ブランドが際立ちました」

毎年数百点もアイテムが増え、千単位でリニューアルされる商品を束ねるうえで、さらにデザインの力は重要になっていく。

「SAMURAIの仕事は、“デザインのルール”をつくること。書体やロゴ、写真の撮り方などその方針に沿って、社内のMDや協力会社のチームがデザインを進めていきます。4000を超えるアイテムをひとつのデザインコンセプトで作り上げる案件は、世界に類を見ないと思います」

セブン‐イレブンでは常に新商品や味、素材のリニューアルが行われ、それに伴いパッケージのリニューアルが頻繁に行われている。しかしルールが明確なので、進行が滞ることはない。

「ルールに則ってデザインが生成されるため、SAMURAIはイレギュラーなものや判断が難しいケースの対応をします。例えば中身は違うけど見た目は似ているパンなどには断面図を入れるなど、その都度ルールを改定していく。ルールができたらおしまいではなく、ブランドイメージをキープしながらアップデートする。難しい仕事ですが、これだけの商品群をデザイン管理するには、柔軟さと厳しさの両方がなければバラバラになってしまうでしょう」

パッケージデザインは3年ごとに大幅リニューアルされ、現在はシズル感を重視した“美味しさファースト”というコンセプトで、全面写真を活かすルールとなっている。佐藤の明確なビジョンによって、数千の商品群が存在感のあるブランドへと昇華しているのだ。

 

2個入り ハンバーグ

惣菜のカテゴリーである「2個入り ハンバーグ」は、昼食のシチュエーションをつくって撮影している。

2個入り ハンバーグ

〈画角・アングル〉 画角は斜俯瞰または真俯瞰のどちらかで撮影。
〈ライティング〉 明るく。影が多く、暗くならないように注意する。
〈被写界深度〉 訴求ポイントにピントを合わせ、周りは浅く撮影。※ただし、浅くなりすぎないように。
〈背景〉 色の強い背景はNG。背景はあくまでも背景であり、商材・商品が際立つよう留意する。
〈皿・小物〉 商材の色、盛りつけに合わせたものを選び、目立ちすぎないように注意。シーンにあったスタイリングを行う。絵柄の個性・色が強いものはNG。

 

厚切りポテト|石垣の塩味

厚切りポテト|石垣の塩味

〈ロゴ〉 商品名に対してセンターに配置。サイズは19mm。使用する色は、■アカ(PANTONE 185X2 C)、■オレンジ(PANTONE ORANGE 021 C)、■ミドリ(PANTONE 355 C)。
〈冠・商品特性コピー〉 素材、味種、調理法を「わかりやすく」「短く」表現。推奨は12~14文字程度。パッケージの全幅80%程度に収める。書体は正体で配置。書体:たづがね角ゴシック Heavy 42.5pt
〈商品名/一般名称〉 ひと目でわかるよう短くする。推奨は8~10文字程度(基本2行まで)。パッケージの全幅80%程度に収める。書体は正体で配置。書体:たづがね角ゴシック Heavy 77pt
〈英文〉 できるだけ短く、わかりやすく端的に。推奨は24文字程度(最大2行まで)。パッケージの全幅70%程度に収める。書体は正体で配置。書体:たづがね角ゴシック Heavy 17.5pt
〈数量・g・kcal〉 書体:たづがね角ゴシック Heavy 21pt
〈注釈〉 書体:たづがね角ゴシック Regular 8pt
〈写真〉 商品の「美味しさ」を表現する。カテゴリー内で味種違いの展開がある場合は、シズルで「味種」が伝わるように。また商品のコンセプトに準じたシズル表現とする。惣菜であれば朝食・昼食をイメージし、つまみならば夜食を。嗜好品であればそのシーンをイメージし撮影する。

 

TEXT=篠田哲生

PHOTOGRAPH=隈田一郎

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