コンビニエンスストアの最大手、セブン−イレブン。そのブランディングプロジェクトの中核となる「セブンプレミアム」のデザインの秘密を解説!
佐藤可士和が手がけたディレクション数、実に4000点以上!!
2019年度のアイテム総数は4150点にもなるセブン&アイ・グループのプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」。そのデザインを支えているのが佐藤可士和だ。
「セブン‐イレブンのブランディングプロジェクトを依頼されたのが11年前で、セブンプレミアムがスタートして3年後。当時はPB=安価というイメージもありましたが、セブン‐イレブンではおいしさと品質を向上させたオリジナル商品を提供しようとしていたので、それをデザインで伝えたい。PBをメディアにしたブランド戦略を進めていくべきだと考えたのです」
しかし、すでに約1000のアイテムがあり、ロゴやパッケージデザインもバラバラ。そこでフォーマット作りから始めた。
「セブン‐イレブンではオリジナル商品の味や素材にはすごく力を入れていましたが、デザインに関しては正直弱かった。それこそ主力商品のおにぎりやサンドウィッチにもロゴはついていなかったのです。そこでカテゴリーを整理し、デザインフォーマットを作成し、すべてのオリジナル商品にロゴをつけることに。その結果、店内でのPBの存在感が一気に増し、ブランドが際立ちました」
毎年数百点もアイテムが増え、千単位でリニューアルされる商品を束ねるうえで、さらにデザインの力は重要になっていく。
「SAMURAIの仕事は、“デザインのルール”をつくること。書体やロゴ、写真の撮り方などその方針に沿って、社内のMDや協力会社のチームがデザインを進めていきます。4000を超えるアイテムをひとつのデザインコンセプトで作り上げる案件は、世界に類を見ないと思います」
セブン‐イレブンでは常に新商品や味、素材のリニューアルが行われ、それに伴いパッケージのリニューアルが頻繁に行われている。しかしルールが明確なので、進行が滞ることはない。
「ルールに則ってデザインが生成されるため、SAMURAIはイレギュラーなものや判断が難しいケースの対応をします。例えば中身は違うけど見た目は似ているパンなどには断面図を入れるなど、その都度ルールを改定していく。ルールができたらおしまいではなく、ブランドイメージをキープしながらアップデートする。難しい仕事ですが、これだけの商品群をデザイン管理するには、柔軟さと厳しさの両方がなければバラバラになってしまうでしょう」
パッケージデザインは3年ごとに大幅リニューアルされ、現在はシズル感を重視した“美味しさファースト”というコンセプトで、全面写真を活かすルールとなっている。佐藤の明確なビジョンによって、数千の商品群が存在感のあるブランドへと昇華しているのだ。
2個入り ハンバーグ
惣菜のカテゴリーである「2個入り ハンバーグ」は、昼食のシチュエーションをつくって撮影している。
厚切りポテト|石垣の塩味