一世を風靡した実力派シェフが新しい舞台に立った。日本の選りすぐりの食材そのものの個性、香りを生かした軽やかかつ華のあるモダンチャイニーズの最先端を体験したい。今回は、東京・六本木の「KOBAYASHI」を紹介する。
深化する名匠の集大成をふたつの異なるコースで堪能
2005年に三田にオープンして以来、味とシェフ・小林武志氏のホスピタリティ溢れる人柄でグルマンの舌と心を魅了してきた「桃の木」。小林氏は中国全土の伝統料理を勉強し、そのなかで日本では知られていない料理を親しみやすい味にアレンジして名品を生みだしてきた。
例えば、よだれ鶏をいち早くメニューに載せたのも小林氏。ミシュランガイドが日本に初上陸した当初から16年連続で星を維持する。そんな中国料理の巨匠がついに店名に自分の名を冠した店を六本木に構えた。
ユニークなのはカウンターと個室で料理がまったく異なるということ。シェフが鍋を振るカウンター席を“ULTRAK”と名づけ、「桃の木」では実現できていなかった新しい表現、つまり小林氏の進化を体験できるコースを提供。5部屋ある個室では往年のファンが歓喜するに違いない、至高のスペシャリテコースを堪能できる。
石や木などの自然素材を多用したインテリアは、小林氏の世界観と呼応し、凛とした気品に背筋は伸びると同時に優しい人柄に包みこまれる。サービスもつかず離れずで心地いい。東京チャイニーズを代表する名匠のさらなる深化に心打たれる。
KOBAYASHI/コバヤシ
住所:東京都港区六本木3-3-29六本木アーバンレックスB1
TEL:050-1809-4801
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜・不定休
座席数:カウンター8席、個室5部屋(2~8名)
料金:カウンターコース¥38,500~、個室コース¥36,300~、ワインペアリング¥16,500(5種)/¥27,500(7種)