1743年創業、世界で最も飲まれるシャンパン、モエ・エ・シャンドン。そのモエ・エ・シャンドンから今年8月に届いたニュースは、新しい時代の幕開けを想像させた。
山下智久、フレンズ オブ ザ ハウス就任
ブランド創業280年という節目を迎える記念すべき年に、山下智久さんをフレンズ オブ ザ ハウスに起用。フレンズ オブ ザ ハウスとは、モエ・エ・シャンドンが誇る価値観を共有し、あらゆるシーンでその多様な魅力を発信するメゾンが認めた「友人」のことだ。
海外での活動にも注目が集まる山下さんはフレンズ オブ ザ ハウスに就任するにあたり、フランスのモエ・エ・シャンドンのメゾンを訪問。伝統、歴史、格式とともにあるメゾンの歩みを目の当たりにし、自身の人生で得難いほどの感動に包まれたと、その体験について語っている。
山下さんのように実際にメゾンを訪れることは難しくてもシャンパン愛好家にとってモエ・エ・シャンドンは、いつでも深い喜びや未知の驚きを感じさせてくれる存在。そしてこの度、モエ・エ・シャンドンの最高醸造責任者、ブノワ・ゴエズ氏が新たに発表された「Tale of Light(3つの光の物語)」について語った。
シャンパンを読み解くとき、ヴィンテージは切っても切り離せない要素となる。今回の発表に先駆け、4年ぶりに来日したゴエズ氏にとって、「グラン ヴィンテージ(モエ・エ・シャンドンのヴィンテージ シャンパン)」とは、その年に対する自分の解釈であり、それぞれ異なる個性を持つものだという。
それゆえにモエ・エ・シャンドンが誇る「グラン ヴィンテージ」を光の物語になぞらえて“3部作”としたのはごく自然なことだったのかもしれない。
そのトリロジーにゴエズ氏が選んだのは「グラン ヴィンテージ2015」、「グラン ヴィンテージ コレクション2006」、「グラン ヴィンテージ コレクション1999」。
この3本に“光”を当てた理由と、実際にこれらのヴィンテージを体感した感想をゴエズ氏と山下氏に聞くことができた。
山下智久が体感した壮大なロマンと、モエ・エ・シャンドン最高醸造責任者が創造する3つの光の物語
まず、ヴィンテージが異なるシャンパンを“3部作”とした理由についてゴエズ氏は「それを語るには、これらのシャンパンの個性を紐解く必要があります。モエ・エ・シャンドンの『グラン ヴィンテージ』は特定の年に収穫されたブドウの個性を解釈することから生まれます。
1842年にモエ・エ・シャンドンから初のヴィンテージ シャンパンが誕生し、現在は70を超えるヴィンテージを有します。そのなかから今回選んだ3つのヴィンテージに共通するのは、それぞれがとても暑く、乾燥した年に収穫されたブドウということです。
2015年は、とくに1961年に酷暑を記録して以来のもっとも暑い年でした。他のふたつの年は、断続的な暑さや不規則な気候のもとに育ったブドウです。近年、地球温暖化がすすむなかでモエ・エ・シャンドンはあらゆる対策を講じてきました。
ブドウ栽培の研究に真摯に取り組み、収穫時は適切なタイミングを見計らい迅速かつ的確に選果するなど、これまでにシャンパン造りで得た知恵をすべて注ぎ、さらにそこに安住するのではなく常に自然と共生しながら先進的である努力をしているのです」と語る。
つまり「Tale of Light(3つの光の物語)」を持つシャンパンはすべて、太陽が主役だった年のヴィンテージということになる。
ゴエズ氏の話に真剣に耳を傾けながら山下さんは「この3つのヴィンテージを味わう前に、それぞれのストーリーをうかがいました。2015年は、目覚めを連想させるヴィンテージ。光輝く朝と名付けられているようにフレッシュでエネルギーに溢れている印象を受けました」と話す。
ヴィンテージ3部作は太陽が主役の物語
続く2006年は“まばゆいばかりの天頂”。ゴエズ氏はその味わいについて「スモーキーで伸びやか」と表現。強い太陽によって完熟したシャルドネを主体にベースワインがアッサンブラージュされ、15年間の熟成によって、1日のうちで太陽がもっとも高い時間を思わせる煌めきに満ち、モエ・エ・シャンドンらしさを体感できる風味に。
そして高温と豪雨に見舞われた1999年に収穫されたブドウから生産されたヴィンテージは“鮮やかなトワイライト”と表現。フルボディで温かみのある強いブーケは太陽が沈む直前の真っ赤な夕暮れを思わせるほどドラマティックな味わいだ。
「このように光の質は違うけれど、共通点を持った3つのヴィンテージをファミリーとして捉えています」とゴエズ氏。
山下さんは「貴重な3つのヴィンテージを体感させていただき、光栄という言葉しか出てきません。このストーリーを実感するには、やはりこの順番で1日の“光の移ろい”を楽しむことができたら素敵ですね。家族や友人とその変化を楽しむことができたら、言葉に尽くしがたい感動をシェアできると思います。
僕はメゾンにうかがわせていただいたとき、そのテロワールを肌で感じ、心が洗われるような思いでした。歴史とこの土地のエネルギーがすべてボトルに詰まっているのだということ、そして時を超えてシャンパンが僕らにもたらしてくれる喜びと感動にロマンを感じました。
ゴエズさんが仰っているように、ずっと同じものはないと僕も日頃から思っています。そして、なにかが変わることは常にポジティブな意味合いを持つものであってほしいと心から願っています。それを受け入れ、前を見ることで新しい世界が必ず見えてくると思うから」と静かに微笑む。
モエ・エ・シャンドンは、しばしば「シャンパンの魔法を世界中に」と表現するが、山下さんもどうやら「Tale of Light(3つの光の物語)」に心から魅了された様子。
「シャンパンを通して喜びや幸せを大切なひとと共有することに真の価値を感じます。もちろん僕も、モエ・エ・シャンドンの素敵な魔法にずっとかかっていたいと願うひとりです」
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