4頭の大型犬と1匹の小型犬とともに、険しい森を開拓して暮らす、鈴井貴之氏。最新エッセイに込めた想いとは――。
すべてを変えてくれたのは犬と森だった
「走りだしたら止まってはいけないなんて思わなくていい、何度でも立ち止まって、何度でもリスタートすればいいんです」
北海道初の芸能事務所「クリエイティブオフィスキュー」の創設者で、『水曜どうでしょう』などのヒット作を生みだした鈴井貴之氏が北海道の赤平の森で暮らし始めたのは12年前。エンタメ界の最前線に立っていた男がなぜ突然森に入っていったのか、これまでその詳しい理由は明かされてこなかった。
しかし今回、ともに暮らす愛犬を語り手に、その理由と、森での暮らし、そして新たに見えてきた生き方を語るエッセイ『RE-START 犬と森の中で生活して得た幸せ』を上梓した。
「年齢を重ねると残り時間が少ないと思いがちですが、それでもまだあと20年あると思えば、自分を変えるのに遅いなんてことはない。森での生活は失敗だらけ、作物を枯らしたり、水が出なくなったり。でも失敗するほどに、61歳の僕でも変わっていける。僕と同年代の方こそ、失敗を恐れず何度でもやりなおしてほしい、そんな想いを込めて書きました」
犬とともに森に入った男の「人生やりなおし」の物語は、大人にこそ深く響く。