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2023.08.11

『水曜どうでしょう』鈴井貴之が選ぶ、とっておきの札幌グルメ&スポット

地元の人が通う札幌の旨い店。カウンターに座れば、北海道への思いが溢れてくる。今回は、クリエイティブオフィスキュー会長の鈴井貴之が偏愛するグルメと場所を紹介する。【特集 北海道LOVE!】

「いそのかづお」のカウンターに座る鈴井貴之氏
鈴井貴之/Takayuki Suzui
クリエイティブオフィスキュー 会長
1962年北海道赤平市生まれ。『水曜どうでしょう』(HTB)など数々の番組の企画・出演に携わる。映画監督として4作のメガホンを執り、赤平を舞台としたドラマ「不便な便利屋」では脚本・監督を務めた。

ここのラーメンがやっぱり最高!

「札幌といえば味噌ラーメンが有名ですが、僕は断然、醤油派なんです」

クリエイティブオフィスキュー会長で、映画監督の鈴井貴之さんが連れていってくれたのが、22時から営業のラーメン屋「いそのかづお」だった。黒醤油を使うこの1杯を求め、行列が絶えない超人気店だ。

暖簾をくぐる鈴井貴之氏
暖簾をくぐればいい香りが漂う。

10年通う鈴井さんも、最近はあまりの行列に、店の前まで来て諦めて帰ることが多かったという。この日、久しぶりにニンニクの効いた濃い味のラーメンを啜(すす)ると、幸福そうな顔で微笑んだ。

「いそのかづお」の札幌ブラック
「札幌ブラック」¥950
「いそのかづお」の調味料
卓上には、がごめ昆布粉末、一味、胡椒、エビの粉末、魚の粉末が置かれ“味変”が可能。鈴井さんはこの日、魚の粉末をチョイス。ちなみに店主の飯島啓介さんが、某アニメキャラクターに似ているので「いそのかづお」という店名に。

「北海道で生まれた僕は、若い頃、札幌は東京へ行くための人生の通過点に過ぎないと思っていました。けれど演劇を始めて、ここに留まり、ここでやっていこうと決めたんです。以来この街とともに自分がどう成長していくか考えてきました。札幌に足りないものがあるなら、自分でつくればいいと」

約30年前、演劇文化が盛んとはいえなかった札幌で、劇団を立ち上げた。それまでコンサートにしか使われなかった札幌の大きな会場を、演劇で次々満員にし、名を轟(とどろ)かせていく。

さらに自身の監督作や、手がけた企画・ドラマのほとんどは北海道を舞台とし、今や多くのファンがロケ地北海道を「聖地」として訪れるようになった。北のエンタテインメントを開拓してきた鈴井さんは、今改めて札幌の街を歩くのが楽しいと言う。

「今は、週の半分を故郷の赤平に建てた家で、半分を札幌で過ごしています。赤平に住んでからは『札幌って都会だな〜』と毎週感動してしまうんです(笑)。だからか、最近は地下鉄やバスに乗ったりして札幌を歩き回っています。やっぱり札幌、面白いじゃないかと」

改めて今、好きな札幌の景色をたずねると。挙げたのはクラーク博士像のある羊ヶ丘展望台。

「クラーク博士の有名な『Boys,be ambitious(青年よ、大志を抱け)に続く言葉は諸説ありますが、こう続くとされています。『Boys,be ambitious like this old man .(青年よ、大志を抱け。この老人のように)』。つまり発破(はっぱ)をかけているんです。このジジイでも頑張っているんだから、お前らも頑張れよと。いいなぁと、改めて思うんですよ。俺もジジイだけど頑張ろうと。そういう思いで、クラークさんの像を今、眺めているんです」

鈴井さんは、そうして空(から)になったどんぶりを店主に返し、すすきのの街へ消えていった。

ラーメンを食べる鈴井貴之氏
太麺がスープによく絡む。「く~! この味
たまらない!」

札幌|いそのかづお
2012年開業。たまり醤油とマー油を使った黒いスープで、すすきのの〆の1杯として人気に。「濃い味なのでメニューにある卵かけご飯と一緒に食べるのも最高」(鈴井さん)

住所:北海道札幌市中央区南5条西5-21 第2旭観光ビル1F
TEL:011-520-5533 
営業時間:22:00~翌6:00
定休日:日曜

Recommended Restaurant&Place in Hokkaido 5選

札幌|蕎麦たぐと
「蕎麦が好きでいい店を探していたら、辿りつきました。店主の方も僕と同じで大型犬を飼っているので、親近感もあります」

住所:札幌市西区西野1条3-2-2
TEL:011-663-6733

札幌|まる鮨
「東京での長期の仕事がある際は、札幌を出る前に必ずここで寿司をいただきます。気合を入れるためのゲン担ぎになっているんです」

住所:札幌市中央区南6条西4丁目西向
TEL:011-552-6266

丘珠空港緑地
「犬の散歩でよく行く場所です。空港が近くにあるので、飛行機の発着陸も見えるんです。先日散歩で訪れたら、ドラマのロケをしていて、普通に見学していました。うちのタレントの安田顕の出演ドラマでした(笑)」

道央自動車道江別西インターから札幌方向へ向かうカーブ
「初監督映画の最後のロケを終え岩見沢から帰ってくる際、ここからの夜景が美しかった。暗いなか、札幌の夜景だけが輝いていたんです。監督作を撮り終えたという、達成感とともに見た景色で、今も大好きな場所です」

羊ヶ丘展望台から望む札幌ドーム
「J1の試合があるので、よく通っています。結局クラークさんの像も好きだし、あの丘からの景色がいいんですよね。ここで羊を見ながらみんなジンギスカン食べてますが、それはちょっと残酷だなと思います(笑)」

【特集 北海道LOVE!】

この記事はGOETHE2023年9月号「総力特集:北海道LOVE!」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら

TEXT=安井桃子

PHOTOGRAPH=池田直俊

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