東西に長い日本列島は、テロワールも百花繚乱。造り手の個性もあいまった、その多様性を存分に楽しみたい。すでに入手困難なワインばかりだが、見つけたら即購入を。今回はワイン賢者3人が選ぶ、山梨のプレミアムワインを紹介する。【特集 日本ワイン】
山梨ワインの特徴
ワイナリー数、生産量ともに全国1位の山梨県には大小新旧さまざまなワイナリーがひしめく。
1. 岩崎醸造×wa-syu「イワイ・カモシースパークリング・No.3」
老舗を受け継いだ、勝沼のライジングスター
2022年、老舗ワイナリーの代表に就任した醸造家・白石壮真さんの活躍から目が離せません! ワイン輸入商社での経験もあり研究熱心な白石さんですが、wa-syuとのコラボをきかっけにスパークリングワインにも挑戦。新たな取り組みを始めるなど、勝沼に新しい風を吹かせています。
このワインは、甲州を勝沼古来の技法「醸し」で醸造したスパークリングシリーズの完結作。瓶内二次発酵後13ヵ月熟成の、複雑性と深みのある味わいです。(選者・菊地)
「完全な菜食」を目指したヴィーガンワイン
農薬・肥料・添加物・発酵助剤などいっさい不使用の「完全な菜食」をコンセプトにしたミディアムボディの赤ワイン。生産本数もごくわずかです。カシス、バラ、赤スグリの香りのあとに果熟香などが感じられ、ゆるやかな酸の奥にマスカット・ベーリーA由来のスパイシーさが残ります。
造り手の渋谷英雄さん曰く、人のDNAに溶けこむかのように、優しく全身に染みわたるとのこと。自然体なヒデさんが造るワインに今後も注目です。(選者・矢田部)
3. 紫藝醸造「翠翠 白 2022」
真っ当な価格で届ける、脚色のない穏やかな味わい
パイナップルのような果実味とほろ苦さが絶妙なバランスで、フレッシュさに加えて飲みごたえもあります。2022年、北杜市にワイナリーを設立した原田純さんはかつてワインの輸入元に勤務。その経験ゆえに約¥2,000とコスパは高いです。
可能性を感じた北杜市明野と長野県塩尻市に自社農園を開園。脚色しない穏やかな味わいを目指し日々精進しています。山梨県一宮の畑も譲り受け、ブドウはpocanとpointというワインとしてすでに販売。(選者・鹿取)