東西に長い日本列島は、テロワールも百花繚乱。造り手の個性もあいまった、その多様性を存分に楽しみたい。すでに入手困難なワインばかりだが、見つけたら即購入を。今回はワイン賢者2人が選ぶ、関東のプレミアムワインを紹介する。【特集 日本ワイン】
関東ワインの特徴
近年、ワイナリーが増えつつある関東地方。とりわけ増加傾向が強いのは東京都と茨城県だ。
1. フジマル醸造所「テーブルトップ橙色」
近年増えてきている都市型ワイナリーにも注目!
最近では東京でもワイナリーが増えてきましたが、アーバンワイナリーは、地域のワイン文化を促進する場所としても注目されています。
こちらは、山形県産デラウェアを100%使用し、清澄白河のワイナリー内で醸造されたオレンジワイン。白葡萄を醸すことで旨みが出るオレンジは、風味を引き立てる酸がキープされてストラクチャー(骨格)もあり華やか。香りが強いが味わいが驚くほど優しく感じる心地よい飲み口が親しみやすいです。(選者・矢田部)
2. ル・ボワ・ダジュール「モン・プティ・ルージュ」
筑波山麓で目指す、環境に優しいワイン造り
爽やかなスモモの風味が印象的で、旨みと酸のバランスが心地よく従来の巨峰のワインと一線を画しています。
青木誠さんは、ワインと農業の結びつきを知りワイン造りを志しました。渡仏してガヌヴァ、ミロワールなどで修業。帰国後の2020年、妻のあずささんとワイナリーを設立。自社農園は生食用のブドウ棚と新植の垣根の畑があり、いずれの畑でも環境への負荷を極力減らした農法で栽培し自生酵母に委ねてワインを造っています。(選者・鹿取)
3. Y'sヴィンヤーズ「ツヴァイゲルトレーベ」
ワインから伝わる柔軟さと実直さ
立ち上ってくる花やスパイスの香り。まだ若く味わいはやや固いが、時間と見えてくる潜在力は十分です。
山崎賢子さんは大学時代に出合ったワインへの思いが徐々に強くなり、地元栃木県でブドウ栽培を開始。2021年にワイナリー設立。この間、ニュージーランドの大学で栽培醸造も学んでいます。目指すは飲んでいてどこか美味しさを感じるワイン。そのためにもブドウやワインに対して、柔軟に素直に向き合うよう日々心がけているそうです。(選者・鹿取)