GOURMET

2022.06.03

こま田|鮨職人の美しき所作に心酔する伊勢の名店

食に対して尋常ではない情熱を傾ける、秋元康小山薫堂中田英寿見城徹が厳選したとっておきの店を紹介する、最強のレストランガイド「ゲーテイスト2022」。凛としたカウンターで、美しいにぎりを口に運ぶ。それは頬が緩む口福な瞬間。鮨には人を幸せにする不思議な力がある。【Part5:弩級な鮨】

こま田

蛤。弱火でゆっくりと味を煮含める。むっちりとした食感のなかに豊かな旨味と上品な甘味が。口の中ではらりとほどけるしゃりと相まって、しばし陶然。

中田英寿「誠実な人柄、実直な仕事に職人の粋を感じます」

東京で江戸前を極める鮨店もあれば、地方で土地の利を生かした仕事を追求する店もある。伊勢の『こま田』は全国の鮨好きが目指す店。研ぎ澄まされた技と細部に宿る美意識が食べ手の心を強く惹きつける。

 地方でもよく鮨店にうかがうのですが、木屋正酒造の大西唯克さんに教えていただいた伊勢の『こま田』は印象的です。

 いつもながら、ヒデは本当にいろいろ行っているよね。

 見城さんもこちらのお店はお好きだと思います。店主の駒田(権利/けんり)さんはもともと松阪の出身で、地元でお店を開いた後にやっぱり、東京の鮨を見たいと奥様と一緒に上京されて。

 東京のお鮨屋さんで修業されたんだ。

こま田

小肌。塩をあてる時間、酢に漬ける時間をともに長くすることで、身の中心までしっかり締める(写真の料理はすべて¥27,500~のおまかせの一例)。

こま田

鱚(きす)。伊勢の漁師に昔から好まれるべっこう漬けで。土佐醤油に漬けた飴色の鱚の美しさに目を奪われる。

 上野毛時代の『あら輝』で。東銀座に移転してからもいらしたと聞きました。

 あの『あら輝』に! 荒木(水都弘/みつひろ)さんはロンドンから香港に移ったと聞いたけど、そのお弟子さんが三重にいるんだね。

 伊勢の駅からクルマで10分もいかないところに河崎というとても雰囲気のいい町があるんです。江戸時代は商人の町として栄えた場所で、古い蔵や切妻妻入(きりづまつまい)りの建物が残っていて、とても趣がある。そこにお店を出されたのが10年前だそうです。

 鮨好きの方はみんな、すごくいいと言いますよね。

 店主が本当に柔和な方で、仕事がとても丁寧でした。

こま田

右:虎ふぐの白子。天然虎ふぐの白子に、すだちをたっぷりしぼったポン酢をかけて。 左:流麗な所作に思わず見惚れる。コースはつまみ3品、にぎり15種前後が登場。

 『あら輝』出身ということは鮪ですか?

 つまみが数品出て、一貫目は鮪です。そのあと、白身にいく流れですね。しゃりに使う米は、産地とか品種よりも寝かせることでいかに粘りを少なく、鮨向きにするかということを考えているとおっしゃられていて。地物の魚も使うけれど、そこに捉われすぎているわけでもなく、すべてにおいて自然体なところがいいなと思いました。

 行ってみたいけれど、予約が取れないんだろうなあ。

 3ヵ月分の予約しか取っていないというのも無理がなくていいなと。ぜひ、次回は皆さんとご一緒したいです。

こま田

凛とした空気が通う空間。店主の駒田権利氏はこの場所に店を開いて10年目を迎える。

こま田

昔ながらの町家を改装。杉板の刻み囲いの外観や小石が敷かれたアプローチにも情緒が。

Komada
住所:三重県伊勢市河崎2-14-18
TEL:0596-28-7747
営業時間:18:00~22:00
定休日:不定休
席数:カウンター 6席
料金:おまかせ¥27,500~

【ゲーテイスト2022】
「秘密の店」
「和の神髄」
「洋の絢爛」
「名人の店」
「弩級な鮨」
「肉の魔力」

TEXT=小寺慶子

PHOTOGRAPH=東谷幸一

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