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2025.03.27

日本最強の教育機関“防衛大流”リーダー論、部下の「頑張ります」も「数値化」せよ

部下に「来月は頑張ります」で終わらせるのは上司失格!? 幹部自衛官を養成する日本最強の教育機関「防衛大学校」が教える、必ず結果を出すためのリーダーの哲学・所作とは。『防衛大流 最強のリーダー』より一部を抜粋してお届けします。

部下のやる気は数値化しろ

仕事を共にする部下の中には、いろいろな性格の人がいる。意識の高い人もいれば、低い人もいる。現在リーダーの立場にある方だったら、頭を悩ましたことが一度はあるのではないだろうか。

そのやる気も、数値化するとはっきりと見えてくる。

例えば、目標数値を決める話し合いのとき、10人のチーム全体で1000万円の利益を目標として決めたとする。そのとき、意識の高い人は「では、私は300万円の利益を上げます」「私は200万円でいきます」などと積極的に言うものだが、意識の低い人は、「じゃあ、まあ、50万円ぐらいってとこですかね、私は」などと言う。

そういうとき、私は息もつかせず、「なるほど、あなたは50万円なので、チームへの貢献度は5%ということだね。10人いるのだから、1人およそ10%は貢献してもらいたいのだけど、君は5%が限界かな?」と、はっきり数値化して確認する

すると、「あ、いえ、では10%頑張ります」などと、自分の低い数値目標を撤回することが少なくなかった。

また、やる気はあるけれど、なかなか成果が上がらない部下もいる。彼らはやる気があるから「来月は頑張ります」「残り5営業日頑張ります」と「頑張ります」を多発する。

この「頑張ります」に安心してはいけない。この「頑張ります」すらも、全て数値化するのだ。つまり、「何をどれくらいいつまでに行動するのか」ということだ。営業担当だったら、「先月は30社のお客さまを開拓して3件の成約でしたので、今月は60社のお客さまを開拓して6件成約します」といった具合だろうか。そして、成果が上がっていない部下にはとことんマンツーマンで一緒に考えていこう、というスタンスで臨むことをお勧めする。

一緒に考え決めていこうというスタンスを取れば、チームの1人ひとりに対して、「俺はお前を絶対に見捨てない」という気持ちが伝わりやすくなる。部下任せにしたり、突き放してしまうと、部下が何を考えているかも分からなくなり、結局、リーダーである自分の足も引っ張られることになる。そうなると本末転倒だ。しつこいようだが、リーダーの仕事は部下の力を借りて組織として最大のアウトプットを出すことだ。

気合や根性ですら数値化する習慣が部下全体につくと、チーム全体の空気も良くなる。そして、仮に思ったような成果が出なかったとしても数値化した行動内容に焦点を当てて、次のアクションプランを考え、実行することができる。

部下教育に数値化は欠かせない。

強いチームも目の前の部下の教育から

とはいえ、5、6人から10人くらいのチームなら可能だが、100人、1000人の会社になっていくと、部下1人ひとりと向き合うような教育もなかなか難しくなる。

だからこそ、「目の前の部下」にリーダーは全力で向き合い、同じようなマインドをどんどんつくって浸透させ、広げていかなければならない。同じマインドの部下が増えるとリーダーシップも発揮しやすくなるし、チーム全体の空気も良くなり、何よりも一枚岩のチームに近づく。

私が在籍していたころの防衛大では部屋の人数の最小単位が5~6人だった。これは、しっかり目の前で見て、行動だけでなく、感情まで把握できる人数を考慮していたのだと思う。

また、防衛大と違って、会社ではチームで寝起きを共にしているわけではないので、日中仕事をしている姿しか分からないと思う人もいるだろう。

だからこそ、目の前の部下のマインドにおいても、技術においても、考え方においても、それらを力強く高めていくリーダーシップが必要となる。

最初のうちは、このような部下教育に相当な時間を要する。しかし、時間がかかるからといって目の前の部下の教育を怠っては絶対にいけない。

とはいえ、リーダーが部下を絶対に見捨てないと思っていても、箸にも棒にもかからない部下はいるものだ。真面目だけれど自信が持てない部下には、じっくり時間をかけて自信が持てるだけの実績をつくれるように教育していけばいいが、もし、不真面目でやる気のない部下であれば、向き合う教育というよりも、チームとしての仕組みを変えていったほうが賢明な場合もある

いずれにしても、他の人と比べることなく、「自分は周りに比べるとちょっと劣っているな」ということを分からせるシチュエーションに置き、自分自身で悟らせる教育も必要だろう。

この記事は幻冬舎plusからの転載です。
連載:防衛大流 最強のリーダー
濱潟好古

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