お洒落とは洋服選びだけにあらず。着こなしの術やヘアスタイルすべてを追求し、初めて完璧なスタイリングが生まれるのである。細かな部分まで自身でこだわりぬいた“ファッション”がここに。
1.スパンコールの輝きとともに襟元ですべてを表現する
胸元に施されたスタッズ刺繍がアクセントとなるマックコート。インナーのプルオーバーを襟元から覗かせることで、スタイリングに統一感を持たせた。エッジがききすぎないよう、敢えてネルシャツをレイヤードすることで、温かみを感じられる。細かな部分まで抜かりなくこだわれば、襟元のみですべてを語ることができるのだ。
2.後ろ姿だけで語れる贅沢なタペストリー
背面全体に彩られる絵画は、写実派のギュスターヴ・クールベが描く「The Painter’s Studio」。クリエイティヴ・ディレクターのヴァージル・アブローは、洋服に落としこむ際に、贅沢にもタペストリーで表現した。土くさくなりがちなデニムのセットアップが、アートの世界観にまで見事に昇華されている。着こなしにおいては、あくまで背面に描かれているという点が重要だ。
3.統一感ある着こなしで新たな男性像を体現する
胸元に花のコサージュが施されたダブルジャケット。腰に巻いたミニスカートにタックインするというスタイリングをさらりと着こなした。ただし、ジャケットはタブルに、すべてのセットアップをピンストライプの上質なウールで統一することで、決してフェミニンになることはない。日々価値観が移りかわるなか、新時代の男らしさを体現するスタイリングといえる。
4.繊細な色使いによって、上品に着こなすライダーズ
絶妙な色合いを、まるでカラーパレットのようにスタイリングで体現した。上質な素材であることは間違いない。それでもライダーズジャケットにトラウザーというスタイリングを、いかにもではなく上品に構築できるのは他には表現できないカラーがあってこそ。インナーのシャツに採用したブラウンも、コーディネイトを上手くなじませる。あくまで大人に着こなせるライダーズスタイルだ。
5.敢えて抜け感を表現しても美しさを感じるウェア
今季、アトリエへの回帰を感じさせるコレクションを発表したディオール。代表的なテーラリングのコートを、さり気なく着こなした。裾や袖口、足元の抜け感に加え、ヘアスタイリングまでこだわり、自分らしいスタイルを表現した。この抜け感があってでもなお、美しさを感じるディオールのウェアは魅力的である。
6.初のコラボレーションをあくまでモードに着こなす
グッチとアディダスのデザインコードが融合された、初のコラボレーション。カレッジスタイルからインスピレーションを得たウェアはカジュアルさを連想させるが、さすがはアレッサンドロ・ミケーレ、ジップやエポレットを効果的に配することで、モードの空気感を匂わせる。イヤーカフとアイウェアのアクセントも、そのモード感に一役を担う。
Ryo Narita
1993年埼玉県生まれ。2014年にドラマ『FLASHBACK』に主演し、俳優デビュー。以降、ドラマや映画を中心に活躍し、日本アカデミー賞新人俳優賞や同優秀助演男優賞などを受賞。’23年1月9日からの舞台『宝飾時計』のチケットが販売中。