連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第94回は、ロレックス「GMT マスターRef.6542」を取り上げる。

ディテールが際立つロレックス「GMT マスター Ref.6542」
1955年に発表された「GMTマスター」は、赤青の24時間ベゼルとGMT針という2つのパーツを巧みに使うことで、2つのタイムゾーンをシンプルに表示することに成功した画期的なモデルだった。
中でも初号機にあたる「GMT マスター Ref.6542」はユニークな特徴があり、コレクターズピースとして知られている。リューズガードがない38mm径の小ぶりのケースがポイントだ。
「Ref.6542」の重要なパーツはいくつかあるが、最も希少なのは、このモデルのみに採用されたベイクライト製のベゼルインサートだろう。
ブラックライトを当てると24時間目盛りの夜光部分が光るベゼルインサートは強度が弱かったので、ぶつけて割れてしまったり、ラジウム夜光の放射線でヒビが入ったり、壊れたりで交換される事が多く、現存されているものが少ない。そのため、社外品が取り付けられている個体がかなり多い。
次に注目したいのが文字盤だ。ミニッツサークル入りのミラーダイヤルは、夜光塗料にラジウムが使用されていたことから傷んだものがかなり多い。
6時位置のクロノメーター表記、通称“OCC”(OFFICALLY CERTIFED CHRONOMETER)のレターも「Ref.6542」らしい特徴のひとつ。
偶数が赤、奇数が黒で記されたルーレットカレンダーや+マークのリューズも1950年代のロレックスらしいディテールだ。
これらの条件を満たしたこちらの「Ref.6542」は、ヴィンテージウォッチとしての価値が非常に高い。気になる方は早めの来店をオススメしたい。
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