連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第40回は、ロレックス「サブマリーナー Ref.6536-1」を取り上げる。
“レッドトップ”のベゼルを持つ通称、通称“ボンドサブ”の廉価版
リューズガードがない時代のロレックス「サブマリーナー」は黎明期であったこともあり、デザインが定められなかったことから、何度もモデルチェンジを繰り返し、なかには風変わりなディテールを持つモデルも存在する。
この「Ref.6536-1」は、リューズガードがない「サブマリーナー」の第2世代にあたるモデル。映画『007』で主人公のジェームズ・ボンドが着用していた「Ref.6538」の廉価版だと言われている。
両者の明らかな違いは防水性能にあり、「Ref.6536-1」が100m防水であったことに対して、「Ref.6538」は200m防水であった。そのため、双方でリューズのサイズに違いがあり、8mm径の「Ref.6538」に対して、「Ref.6536-1」は6m径という小ぶりのタイプを採用していた。
ちなみに「Ref.6538」の製造期間は、1956~1959年とかなり短い。
1950年代の「サブマリーナ」を語るうえで最も重要なパーツが、“レッドトップ”と呼ばれているベゼル。これはベゼルの12時位の三角形が赤で表示されたものを指し、希少性が非常に高い。
1950年代の「サブマリーナ」のベゼルは、刻み無しべゼル(0~15分の1分刻みの目盛り無し)、刻み無しの“レッドトップ”ベゼル、ロング5“レッドトップ”ベゼル、そして刻み有りの“レッドトップ”ベゼルに分かれる。
今回の1957年製の「Ref.6536-1」は、刻み無しの“レッドトップ”ベゼルを持つレア個体だ。
もうひとつ「Ref.6536-1」を評価するうえで欠かせないのが秒針であり、オリジナルは人気のホワイトの秒針が装備されている。
コンディションについては、70年近く前の時計であることを踏まえるとデッドストックのような保存状態を求めることは難しい。ただ、愛好家ならば完璧なコンディションは無理でも、パーツの整合性は求めたい。
その意味で、この1本はコレクター垂涎の逸品といえるのだ。
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