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2024.01.21

ブランパンと“深奥な海”とのつながりを、南仏カンヌの地で知る

2023年9月、南仏のカンヌでブランパンのダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」誕生70周年を祝うツアーイベントが開催。地中海に面した高級リゾート地、かつダイビングのメッカでも知られるカンヌにて、ブランパンと海とのつながりを体感した濃厚なるひと時をお届けする。

「フィフティ ファゾムス」のアイデアが生まれた場所、カンヌ

ブランパンの名作ダイバースウォッチ「フィフティ ファゾムス」は、ディテールや素材の技術的進化をしてきた一方で、基本デザインにおいては初代から現代までほぼ変わっていない。それが時計界のマスターピースといわれる要因にもなっている。

去る2023年9月、カンヌで「フィフティ ファゾムス」誕生70周年を祝うイベントが開催された。ゲストはダイビング体験をし、ウォッチヒストリーを知り、最新作のローンチイベントに参加。さらに、ブランパンがかかわる海洋保護活動プロジェクトのカンファレンスにも出席できるという内容で、本格ツールとしての長い歴史や高い機能性、そして腕時計としての美しさを兼ね備えたアイコンウォッチの全貌を知れる絶好の機会となった。

当時のジャン=ジャック・フィスターCEOがダイビングに興じる写真と、1953年発表の「フィフティ ファゾムス」。

時計好きならば、“現代ダイバーズウォッチの元祖“と呼ばれる腕時計は、1953年に発表されたブランパンの「フィフティ ファゾムス」であることをご存じの方も多いはず。ファゾムとは水深を表す単位で、50ファゾムスは約91m。モデル名自体がこの腕時計の防水性能を表しており、当時の防水時計のなかでは圧倒的に高性能だった。

実は「フィフティ ファゾムス」開発のスタートは、カンヌの海中でのある出来事がきっかけとなっている。

当時のブランパンのCEO、ジャン=ジャック・フィスター氏は熱心なダイバーでもあった。とある日、氏がお気に入りの場所である南仏カンヌでのダイビング中、潜ることに熱中するあまり酸素ボンベの空気低下に気づかず、危うく事故になるところだったという事態が起きる。この時、スキューバダイビングのニーズに適合した時間計測器が不可欠であることを痛感。世界初の本格ダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」の開発に取りかかったという。

ダイビングに明るいCEO自らが「これはダイバーにとってニーズがある」とアイデアを思いつき、開発行動に移した。いわば、ひとりの熱狂が生みだした腕時計が「フィフティ ファゾムス」というわけだ。

「フィフティ ファゾムス 70周年記念 ACT3」をローンチ

三部作を締めくくる「フィフティ ファゾムス 70周年記念 ACT3」。

70周年を迎えた「フィフティ ファゾムス」は昨年、シリーズ三部作の腕時計を発表することでアニバーサリーを祝ってきた。先に発表された「ACT1」は2003年に誕生した復刻モデルへのトリビュートモデルで、「ACT2」は3時間計を備えた未来志向の高性能ダイバーズウォッチだった。

そして、ついに待望の三作品目である「フィフティ ファゾムス 70周年記念 ACT3」をカンヌでローンチ。ブランパンの伝説のミルスペックダイバーズウォッチからインスピレーションを受けた腕時計のお披露目だ。

会場となったのは、カンヌからフェリーで約15分の場所に浮かぶ、サント・マルグリット島にある要塞。この要塞はかつて牢獄だった歴史があり、中世時代にはのちにバスティーユ牢獄に移送された鉄仮面の男が留置されていたことでも知られている。

ブランパンのマーク A・ハイエック社長兼CEOは、70周年を迎えた「フィフティ ファゾムス」についてこう話す。

「『フィフティ ファゾムス』は1953年以来、ブランパンのアイコンであり、私たちの誇りでもあります。それはなぜか。『フィフティ ファゾムス』は、ダイビング用計器として誕生しましたが、市場で成功を収めようとする意図はなく、リスクのある挑戦でした。しかし、これほど巨大な存在となったのは、それだけ独創的な時計だからです」

ブランパンのアイコンウォッチは、自由かつ創造的な精神をもとにつくられており、それが70周年を迎えた「フィフティ ファゾムス」の三部作にも脈々と受け継がれているのだという。

「『ACT1』は2003年からのモダンな『フィフティ ファゾムス』のルーツを振り返り、『ACT2』は未来を示しました。最終バージョンの『ACT3』は、歴史へのオマージュを体現した1本となっています」

海洋自然保護活動と海洋探査に、真剣に取り組む

左が、ブランパンのマーク A・ハイエック社長兼CEO。

また、ブランパンは2014年からブランドのグローバルコンセプトとして「ブランパン オーシャン コミットメント(BOC)」を提言。数多くの海洋保護プロジェクトで海洋探査に参加し、プロジェクトを世界に広く知らせるための情報発信も行っている。また、ハイエック氏自身がダイバーであり、水中写真家でもあるため、海洋自然保護活動と海洋探査の必要性を訴えているということも、BOC発足に起因している。カンヌでは当プロジェクトのカンファレンスも行われた。

ブランパンはダイバーズウォッチをとおして海洋自然を守りたいと真剣に考え、海へ愛情を注ぎ続けている。これはラグジュアリーブランドであるブランパンの使命でもあるのだ。

ハイエック氏はプロトタイプの「フィフティ ファゾムス」トゥールビヨン搭載モデルを装着してダイビング。氏はよく実験のために開発中の腕時計を海底に連れて行くのだそう。

「ダイビングや海はあなたにとって、そしてブランパンにとって何を意味するのか?」 という問いに、ハイエック氏はこう答えてくれた。

「私にとってダイビングとは、幼い頃から自由を意味していました。そして海は生命の源であり、ブランパンにアイコンを与えてくれました。私たちは、海洋保護のプロジェクトやそこに携わる人々に関わっていきたいと考えています。美しい海を愛することは、ごく自然なことなのです」

カンヌでの体験をとおして触れたのは、ダイバーズウォッチ、そして海に対して本気で向き合い続けるブランパンのモノづくりと企業姿勢。「フィフティ ファゾムス」はダイバーならずとも、本気で日々戦う男の腕元にも共鳴するものがあると感じぜざるを得ない。

問い合わせ
ブランパン ブティック 銀座 TEL:03-6254-7233

TEXT=池上雄太(ゲーテ編集部)

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