どんなに高級な時計や鞄を持っていても、それを身につける装いがなおざりでは、かえって悪目立ちする結果になりかねない。誰もが憧れる名品には、それに見合った着こなしが必須である。今回は着こなしに合わせて選びたい、4つの名品時計を紹介。【特集 テーラード2023】
1. ブレゲ「Classic 5177」
熟練の職人技が光る究極のシンプル顔
究極にミニマルな時計はブレゲを置いて他にはない。一見すると実にシンプルだが、ブレゲ針やギヨシェ彫りなど、装飾やロゴではなく、あくまで視認性を考えたうえでらしさを滲ませている。そのためドレススタイルはもちろんのこと、レザージャケットやコートなど、これからの季節に欠かせない重衣料との相性も抜群なのだ。
時計好きなら誰もが一目置くブレゲだが、その理由のひとつは革新的な技術力。世界三大複雑機構の開発も、創業者であるアブラアン‐ルイ・ブレゲによるもの。ブレゲの代名詞ともいえるギヨシェ彫りもそのひとつだ。文字盤やムーブメントなどに刻まれる紋様もさまざまで、本作はピラミッド型のクル・ド・パリを採用。光の反射を抑えて視認性を高める機能と同時に、熟練した職人の手仕事に、ロマンを感じずにはいられない。
2. A. ランゲ&ゾーネ「Lange1」
色気と余裕を薫らせ進化するエレガンス
18KPGケースにブラウンのアリゲーターストラップ。今では色気演出の王道だが、ランゲ1のそれは、シルバーのダイヤルの輝きが加わり、洗練さの漂うラグジュアリーを醸しだす。ドイツ・グラスヒュッテにルーツを持つ、伝統的な職人技と完璧を追求した高精度と最高品質ゆえの佇まいは、一生をともにできる相棒というにふさわしい。
初登場からおよそ30年。大きく形を変えずにリリースを続けているのも、ランゲ1がブランドを代表するモデルになった要因だ。アウトサイズデイトや黄金比を取り入れたアシンメトリーなダイヤルデザインは、発表時時計界に衝撃を与えたとか。そんなデザインの根幹を担うキャリバー L121.1は、細部まで職人の手作業による装飾が施され、機構としてだけではなく、ひとつのアートを見ているような鑑賞用としても目を引く。
3. リシャール・ミル「RM 72-01 Automatic Flyback Chronograph」
豪華絢爛にして視認性も高い逸品
リシャール・ミルのなかでは落ち着いた印象だが、強いインパクトを放つのは変わりなく、身につけるなら他にアクセサリーは不要。手元に視線が集まるのは間違いない。一方で、発光素材のインデックスやクロノグラフに配したマルチカラーが、視認性を高めて、遊び心と時計らしさを両立している。
完全自社開発したブランド初のフライバッククロノグラフを搭載。文字盤の2時位置に60分積算計、5時位置に24時間積算計、9時位置にスモールセコンドを備え、限界まで拡大。その視認性の高さは、顔を寄せずとも計測時間を知ることができるほど。地板とブリッジの素材はグレード5のチタンを採用しており、高い剛性を持つ合金であることから輪列のスムーズな作動を実現。経年劣化にも耐えるので長く愛用することが可能だ。
4. オーデマピゲ「Royal Oak Offshore」
アクティブシーンを華やかに彩る名機
スポーツウォッチにおいてこれほど、リッチな大人に似合う時計はそうない。何よりデザインの振り幅の広さが物語っている。グリーンとブラックのコンビカラーが、装いのアクセントになるとともに、メカニカルな文字盤をさらに際立たせインパクト大。アクティブな休日のお供に連れ歩きたい1本だ。
厚さ15.5㎜のケースが存在感を後押し。フライング トゥールビヨンとフライバッククロノグラフを備え、パワーリザーブも65時間と充実の機能性を誇る。キャリバーが覗くケースバックは、オフショアコレクションでは初のセラミックを採用しており、サファイアクリスタルガラスとともに強度を向上。ケースバックには、本作が世界100点限定のリミテッドエディションである刻印が施される。この特別感がまた男心をくすぐる。
この記事はGOETHE2023年11月号「総力特集:型にはまらない紳士服」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら