連載「意欲的新作ウォッチ」第161回は、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク オフショア フライング トゥールビヨン クロノグラフ」を取り上げる。
オーデマ ピゲの超絶コンプリケーション
「ロイヤル オーク オフショア」の誕生30周年を記念する2023年、オーデマ ピゲはさまざまな記念モデルを展開し、話題となっている。そのなかでも圧倒的な存在感を放つ1本が、世界100本限定で発売された「ロイヤル オーク オフショア フライング トゥールビヨン クロノグラフ」だろう。
2021年、「ロイヤル オーク オフショア フライング トゥールビヨン クロノグラフ」は、43mm径のモデルの新機軸として登場。今回の新作ではブラックセラミックケースを用いた迫力のあるスタイリングを披露している。
ブラックセラミックケースは、複雑な製造工程を不可欠とした最新のテクノロジーの産物だと言える。その工程は、5軸CNC(コンピュータ制御切削)機械を使い、最初のケースの形状を作成とバインダーの除去を行うことから始まる。次に、その塊を約1000℃で焼結することで硬度を高め、この時点で最終的なカラーが決定。その後、最高精度のダイヤモンドツールで硬素材の専門的な加工を行い、プレポリッシュ、プレサテン仕上げへ進む。
こうして出来上がったブラックセラミックは、オーデマ ピゲのトレードマークである手仕上げのサテンブラッシュとポリッシュ面取りを組み合わせて完成する。この努力はセラミックのケースバックにも及んでおり、そこには「Royal Oak Offshore Limited Edition of 100 Pieces」と刻印されている。
ブラックセラミックの質感を引き立たせるのは、アクセントに取り入れたグリーンのカラーにほかならない。建築的なブラックPVD加工のチタンブリッジは、サテンブラッシュとハンドポリッシュ面取りの仕上げ。鮮やかなグリーンのインサートは、「アルマイト(陽極酸化)」と呼ばれる電解加工によるアルミニウムコーティングが施されている。
ブラックリングで縁取りされた2つのクロノグラフカウンターはバイカラームーブメントであることを強調している。そして、蓄光処理が施された18Kピンクゴールドの時針と分針は輝きを放ちながらダイヤル上を回る。ブリッジのインサート、ストラップとカラーを合わせたグリーンのインナーベゼルは分目盛として機能。レッドのクロノグラフ針は程よいアクセントになっている。
このモデルには、43mm径の「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」と同じくストラップの交換システムを採用。ケースのスタッズとバックルから工具を使わず簡単に、付属するブラックラバーストラップへと交換することが可能だ。
もうひとつ「ロイヤル オーク オフショア」らしい特徴は、100mの防水性能、約65時間のパワーリザーブなどの実用的な側面にある。超複雑機構をデイリーユースで着用できるという愉悦に浸れるコンプリケーションには、オーデマ ピゲが考えるコンテンポラリーなウォッチメイキングが息づいている。
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■連載「意欲的新作ウォッチ」とは……
2023年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる“活きのいい”モデルを厳選! 時代を超えて輝き続ける、腕時計のパワーを改めて感じて欲しい。