連載「意欲的新作ウォッチ」第160回は、パテック フィリップの「ワールドタイム」を取り上げる。
「ワールドタイム」の限定モデル
先日、大盛況で終えた《パテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エキシビション(東京2023)》。このエキシビションの開催を記念してパテック フィリップは、「東京2023 リミテッド・エディション」として6本の限定モデルを発表した。
ここで紹介する限定300本、全面にプラムカラーを取り入れた「ワールドタイム」の最新作Ref.5330もそのうちの1本である。サファイアクリスタルバックには「PATEK PHILIPPE - TOKYO」の転写が入る。
40mm径の18Kホワイトゴールドケースは、ヴィンテージ調の2段ラグを備えており、ブラックのアリゲーターストラップには、プラムカラーのハンドステッチを施している。
パテック フィリップが1930年代に時計師ルイ・コティエとともに開発した腕時計式ワールドタイムは、2つの回転リング(都市表示と24時間リング)によって、24のタイムゾーンの時刻を瞬時に読み取れる複雑機構として知られている。
Ref.5330では、革新的な差動システムを備えた新しい自動巻きムーブメントCal.240 HU Cを搭載。先端をレッドに塗装したハンマー型の透明ガラス製センター指針が文字盤外周に日付を表示することで、12時位置に選択したタイムゾーンの時刻(センターの時・分針が表示する現地時刻)と同期するという特許を取得した、世界初の機構を備えている。
基本的な時刻合わせの操作は10時位置のプッシュボタンで行う。1回押すごとに1時間ずつ時針が進むため、分と秒の精度に影響を与えずに、すべてのワールドタイム表示(都市表示リング、24時間表示ディスク、センター時・分針)のタイムゾーンを変更することができる。
エキシビションのテーマカラーであるパープル系のプラムを採用した文字盤は、中央に手仕上げのギョシェ装飾が施されており、ベベルカットされた文字盤フランジ上にある日付は、先端をレッドに塗装したガラス製センター指針により表示される。この指針を作動させることに対して、2つの技術に関する特許を出願中だという。
24のタイムゾーンを示す都市表示リングには、東京の都市名をレッドで記載。また24時間リングは通常のモデルでの太陽のシンボルの代わりに、日本の象徴である赤い太陽のシンボルを配している。
オークランドとミッドウェイの間に記された赤いドットは日付変更線を示し、12時位置に表示されている選択されたタイムゾーンの時刻は、南十字星からインスピレーションを得たオープンワークの時針、菱形にカットアウトをされた分針で表示する。
ウォッチメイキングの限界へと挑み続けるパテック フィリップの創造性はとどまることを知らない。シンボリックなカラーを纏った「ワールドタイム」はコレクターズピースにふさわしい魅力を放っている。
問い合わせ
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL:03-3255-8109
■連載「意欲的新作ウォッチ」とは……
2023年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる“活きのいい”モデルを厳選! 時代を超えて輝き続ける、腕時計のパワーを改めて感じて欲しい。