ヴィンテージ専門店や有力コレクターの協力のもと、ヴィンテージロレックスの奥深い魅力を解説する本特集。第3回は、ダイバーズウォッチの代名詞であり、ロレックスの名を一躍世に広めた人気モデル「サブマリーナー」のヴィンテージモデルについて解説する。#1 #2
進化の足跡が見られる「サブマリーナー」のヴィンテージモデル
ロレックス史上初のダイバーズウォッチ「サブマリーナー」は1953年の発表以来、基本的なデザインコードを変えず、マイナーチェンジを繰り返しながら製造され続けている。特に進化の過渡期であったリファレンスナンバーが4桁のモデルは様々なバリエーションがあり、そこにはマニアックな世界が広がっている。
これらを大別すると、1953年の初代サブマリーナーRef.6204から始まる初期のモデルと、1959年のRef.5512以降のモデルに分けられる。両者のディテールにおける主な違いは、“リュウズガードの有無”にある。まずは前者から例を挙げてみよう。
注目ポイントはリュウズガード
「サブマリーナー」の名を一躍有名にしたきっかけのひとつに、映画『007』シリーズでショーン・コネリー扮する主人公のジェームズ・ボンドが、NATOストラップに付け替えて愛用していたエピソードが挙がる。着用していたモデルとして有力視されているのが、通称“ボンドモデル”と呼ばれるRef.6538だ。最大の特徴は、200mの防水性を実現させるために欠かせないパーツであった8mm径の大きなリュウズ、通称“ビッグ・クラウン”にある。
このリュウズを採用した最後のモデルとして1958年のわずか1年のみ製造されたRef.5510は、れっきとしたコレクターズアイテムに数えられる。“レッドトップ”と呼ばれるベセル、リュウズガードがない厚みのあるケース、ラジウムのドットインデックス(6時位置のみトリチウムを使用)、白く塗装された秒針など、ヴィンテージモデルならではのディテールが楽しめる。ただし、かなり古い年代の時計であるのと製造本数が少ないことが重なるため、完璧に整った個体を探し出すことは困難を極めるだろう。
1958~1962年まで製造されたRef.5508は、コレクターから“ガードレス”と呼ばれるリュウズガードがない「サブマリーナー」の最終モデル。ほぼ同時期に発売されたRef.5510との仕様の主な違いは、一回り小さな6mm径のリュウズと薄型ケースの採用にあり、防水性能は100mになる。現代的かつスマートな印象に映るため、このスタイルを好むコレクターも多い。ちなみに、Ref.5508までの「サブマリーナー」の回転ベゼルは真鍮で作られており、側面のコインエッジ仕様のグリップは経年によってメッキが剥がれることが多い。
ケースの大型化とともに初めてのリュウズガードが採用された200m防水仕様のRef.5512が1959年に登場したことによって、現代に通じる「サブマリーナー」の基本的なデザインがほぼ完成された。その後、1969年には、「サブマリーナー」では初めてカレンダー表示が搭載された「サブマリーナー デイト」のRef.1680が発売。1979年までの約10年間製造されたRef.1680のうち、文字盤の「SUBMARINER」の表記が赤でプリントされたモデルは、“赤サブ”という呼称でヴィンテージロレックスのファンに親しまれている。マニアの間では、現在6つのダイヤルバリエーションが確認されており、こちらの個体は“マーク2ダイヤル”にあたる。このダイヤルのなかには稀にブラウンに変色したものが見つかる。
ここで紹介したモデルは、ヴィンテージモデルに該当する「サブマリーナー」のほんの一例に過ぎない。気になるスタイルを掘り下げてみると、そこには新たな発見があるはずだ。
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