エンツォショップ・オーナーの中井一成さんをゲストに招き、ヴィンテージロレックスの購入ガイダンスを展開する本特集。前編に続き、後編では、ヴィンテージロレックスの顔である手巻きデイトナの話題を中心に、3つのトピックスを紹介。
3.文字盤にモデル名の表記が入らない手巻きデイトナの希少モデル
前編では「1.『コスモグラフ デイトナ』のRef.16520」「2.ヴィンテージロレックスの3大定番」と2つのトピックスを解説した。
今回、3つ目のトピックスとしてヴィンテージロレックス屈指のコレクターズアイテムである「コスモグラフ デイトナ」の手巻きモデルを紹介したい。高級時計の世界でステータスシンボルとしての確固たる地位を確立しているモデルだ。
「手巻き時代の『コスモグラフ デイトナ』は品番やダイヤルの種類が多いことから、パーツの整合性を見極めるのが非常に難しいのですが、大きな欠陥がある個体の購入はなるべく避けたいところです」
オークション界隈を賑わす“ポール・ニューマン ダイヤル”をはじめ、「コスモグラフ デイトナ」の手巻きモデルには、コレクターから羨望を集めるスタイルが存在する。
「1963年から1988年にかけて製造された手巻きモデルの一部には、『DAYTONA』の表記が入らない文字盤があり、マニアから珍重されています。該当するモデルのなかでもRef.6240の通称“ソロ”は、文字盤の12時位置に『ROLEX』のロゴのみ入るユニークな1本。希少性という意味でなら“ポール・ニューマン ダイヤル”よりも遥かに上です」
資産価値、ステータス性、さらには希少性と、ヴィンテージロレックスの魅力が凝縮された手巻きデイトナの希少モデルを覚えておきたい。
4.自分好みの1本にアレンジできるブレスレットの組み合わせ
機械式時計はオーバーホール(分解洗浄)などのメンテンスを行うことで、長い時間使い続けることができる。ただし、ヴィンテージウォッチに関して言えば、迂闊にパーツ交換をすると、オリジナリティや資産価値を損ねてしまう危険がある。
「ロレックスは他社に比べるとアウターパーツが充実していますが、今となっては入手困難になっているアイテムがたくさんあります。私たち専門店やコレクターがパーツにこだわる理由はそこにあって、つまり購入後にパーツを揃えるのが難しい場合が多いのです」
特に外装パーツはスタイリングの一部を担う重要な役割を持っているので、たとえ純正のパーツで交換したとしても年代が合わないと違和感を感じるのはそのためである。
またパーツの組み合わせについて、正解がひとつではないこともヴィンテージロレックスならではの醍醐味である。「GMTマスター」のRef.1675を例に取ると、年代の合うベゼルインサートやブレスレットに付け替えることで自分好みの1本にアレンジできる。
「パーツの付け替えは、ブレスレットから始めてみるのがいいと思います。これひとつ変えるだけで時計の雰囲気がだいぶ変わります。スイス、アメリカ、メキシコと、ブレスレットの生産国によってデザインが異なるのも注目すべきポイントです」
5.世界的に評価が高まる人気上昇中のゴールドウォッチ
この数年、高級時計の市場ではゴールドウォッチがじわじわと盛り上がりを見せている。その余波はヴィンテージウォッチの世界にも押し寄せていて、価格が高騰し続けている。
「オークションハウスの落札履歴などを見れば分かりますが、ヴィンテージロレックスでのゴールドウォッチの人気は今に始まったことではありません。しかし、ここに来てさらに盛り上がりを見せています。経年変化で変色したゴールドはこなれた雰囲気があり、着用しやすいモデルが見つかります」
なかでも注目すべきは、やはりプロフェッショナルモデルだろう。天井知らずの人気を誇る「コスモグラフ デイトナ」の手巻きモデルのほか、「GMTマスター」や「サブマリーナー」のゴールドモデルも見逃せない。
「それともうひとつ、ロレックスのプレステージモデルである『デイデイト』もこの機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。日本よりも海外での評価が高く、ステータス性においても申し分ありません。Ref.1803などの定番モデルなら落ち着いた価格で購入することが可能です」
ドレスウォッチにはない汎用性を持つゴールドウォッチは、デイリーユースでこそ本領を発揮する。ファッションや腕元のアクセントとして活用したい。
次回以降は計4回にわたり、ヴィンテージロレックスの中心に立つプロフェッショナルモデルの魅力について、基本となるポイントを踏まえながら紹介する。